私の 辛かった気持ちもわかってよー
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お盆の大文字焼きの夜、山水君と一緒に見る約束をしていて、私はひまわりの絵柄の浴衣をお母さんに着せてもらっていた。髪の毛が短いので、髪飾りに苦労していたみたい。桔梗が珍しく、家に居るので
「一緒に行く?」と、声を掛けたのだけど
「ジョーダンでしょ お邪魔虫になるのは やーだもん どうぞ 楽しんできてくださいな」
7時に駅で待ち合わせをして、私の浴衣姿をしばらく見ていた。
「うふっ 男の子が着てるみたい? 顔も黒いしね」
「いいや いいよー 可愛い」
地下鉄で鴨川近くまで行って、たらたら歩いて河原に出て行った。その間、手を繋いでいてくれたんだけど、私は、そのうち腕を組んでいって歩いていたのだ。
「なぁ 琵琶湖 行ったんやろー? どうだった?」
「あぁ 高校で仲良くなった奴も一緒にな 亜里沙と付き合うようにと思ってな」
「あっ そうなんだ それで どうなったの?」
「うーん まぁまぁ なんじゃぁないかなー 今日も 多分 ふたりでどこかに来ていると思う」
「へぇー そーなん うまく いくと良いね 白木君達も来てるのかなー」
「さぁー どうかな 夜はダメなんじゃぁないかな キラちゃんとこ 割りと厳しいみたいだよ」
「そうかー お嬢様ぽいもんネ」
河原まで出て、8時の点灯まで、しばらく時間があったので、上に向かって歩いて行って、途中であちこちの山で点々と煌めき始めた、その場でしばらく見ていて。
「なんか 良かったぁー 山水とこうやって 見れて」
「なんだよー どういう意味?」
「うん もぉー ええねん 山水がウチのこと想ってくれてるって わかったから」
そして、灯が消え始めた頃、河原町のほうに戻って、進々堂の2階で休んでいて
「なぁ ウチ等って こんなもんやねなぁー ウチが悪いねんけど、これ以上のことってないなぁー」
「なんや これ以上って あれっ したいんか?」
「アホっ なに ゆうねん ちょっと ぼやいてみたかっただけ! 変なこと考えてへんでー」
「ふーん」
「あのな ウチ 最近 戸惑ってることあるねん テニスのことでな まぁ 気にせんとって」
「そうか なんかあるんやったら 聞くからな 話すんやでー あいつとのことか? なんでも 相談になるかどうかわからんけど」
「うん ありがとー」
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