私の 辛かった気持ちもわかってよー
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4-8
8月初め、岸森先輩もインターハイの準決勝で負けたみたいで帰って来て。そして、合宿が始まる。5泊で滋賀県長浜の琵琶湖の近く。コートの近くで琵琶湖のほとりのホテルが取れたみたいだった。ウチの学校の大学のほうのクラブは信州に行くって聞いていた。同じ学校なのだけど、あんまり交流は無いみたい。コートも違う場所だし、コーチも勿論違っていた。
ホテルに着いて、昼食の後、ミーティングから始まった。合宿に応援指導をしてくれるという行長コーチの先輩という人、古賀さんの紹介があった後、岸森先輩のダブルスのペァの2年生西田先輩が、膝関節挫傷でしばらく練習も出来ないので、代わりをということになっていた。
コーチは、1年生なのだけど、このところ伸びてきている1年生の杉田みく美ちゃんに向かって、どうだと聞いていた。だけど、その途端、岸森先輩が私に
「わさび !」と、睨んできていたのだ。私は・・・震えたようになって
「あっ あっ あの私・・・ 組ませてください」と、あーぁ 言ってしまったぁー。
「いいじゃぁないですか? コーチ 私、山葵となら勝ち進めると思います」と、言ったものだから、コーチも岸森先輩の言いなりで決まってしまった。
その日の午後から、古賀さんは、比較的、私に傍に居て細かく指導していた。そして、皆がその日の練習を終えたのに、私は岸森先輩に引き留められて、ボレーの練習を・・・。へとへとでホテルに戻ると、シャワーする間も無く、夕食の時間だった。
部屋は私と美湖、みく美でツインにエキストラベッドを入れた3人部屋、1年生は1部屋3人で、上級生はツインの2人部屋なのだ。夕食の後、8時から有名選手の試合ビデオを説明付きで30分見せられて、明日は6時から1時間のラン・トレーニングなのだ。
「山葵 良かったわー 私 岸森先輩とペァなんて とても 出来ないよー」
「うっ ウチやって 同じよー だけど あの人のお守りは ウチにしか・・ あの人はウチをしごきたいのよー イジメのようにね」
「だよねー 前から 山葵には厳しいものねー まぁ そんなこと忘れて 琵琶湖に散歩行こうよー きれいよー」と、美湖は気楽に言ってきたが
「うーん 寝る ウチ 明日からのこと考えると休息 第一やからー となりの部屋 誘えばぁー」
案の定、次の日から私の地獄は始まった。朝食を挟んでのラン・トレーニングはまだましだったのだけど、9時からのコートに入ってから、岸森璃々香から鬼のようにしごかれていたのだ。
「山葵 助かるわー あなたがペァになってくれて きっと 代表まで行くワ 私の時と 違うものー ターンの速さとか 璃々香の動きも違うしー」と、西田先輩も励ましていてくれていたけど・・・本人は膝にサポーターをして、気楽なものだつた。私は、出来るのなら、逃げ出したかったのだ。だけど、あいつを見下すまではというのだけを目標にやっていたのだ。
そして、最終日午前の練習で打ち上げという前の夜、古賀さんに呼ばれて
「山葵さん よく 頑張ったね 君は根性あるなぁー あのな 璃々香さんのこと憎いと思ったこともあるだろー? だけどな 彼女 君となら、きっと近畿大会の頂点に立てると決めてるんだ 君と立ちたいと その為には、予選では 個人戦はそこそこで棄権すると ダブルスに全力注ぐとな 彼女 足首の状態が良くないみたいなんだよ どの程度が僕にもわからないんだけど 個人戦は自分でも限界を感じているんだろうな 勝てないって だけど、ダブルスなら 君となら勝てると・・兵庫のペァに」
「えっ そんなー 初めて 聞きました 京都代表になるんですかぁー だって あの人は・・」それ以上は言えなかった。きっと、私のこと嫌いなんだと・・
「それとな 山葵は 素質もあるし きっと音女を引っ張って行ってくれるし この地域のエースにもなるんじゃあないかとな だから、練習では厳しくしてきたともな 私を超えてほしいと」
「・・・そんなー なんとでも・・言える・・」その夜、私は混乱していたのだ
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