ハッピークローバー
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第八十三話 映画館へその三
「うっすらとでもね」
「生えてね」
「難儀しているわね」
「そうよ、まあルーマニアだとね」
この国はとだ、姉は話した。
「ファッションでね」
「お髭いいのよね」
「女の子でもね」
それこそというのだ。
「それがお洒落なのよ」
「そうよね」
「あんたもルーマニアからの子から聞いたでしょ」
「いや、ルーマニアって吸血鬼だってね」
「それがイメージよね」
「もうあの国は」
ルーマニアといえばとだ、富美子は話した。
「ドラキュラ伯爵だったけれど」
「そうしたお話もあるのよ」
「そうなのよね、それであっちだと」
「お髭いいのよ」
「女の子もね」
「そうよ、けれど日本ではね」
あくまでとだ、姉は話した。
「あくまでね」
「お髭は剃って」
「毛は全部よ」
「ごく一部を除いて」
その一部が何処かは敢えて言わなかった、富美子はそうしたが姉も無言で頷いてわかったと答えた。
「そうよね」
「それで脇もね」
「いつもつるつるね」
「それはね」
まさにというのだ。
「絶対よ」
「身だしなみね」
「だからあんたもそうしてるわね」
「勿論よ」
言うまでもない、そうした返事だった。
「剃ってるわ」
「そうでしょ、それでそうしたこともして」
「二人きりだと」
「女の子の方からどんどんね」
それこそというのだ。
「攻めることよ」
「そうなのね」
「そうしたら相手は理性がぶっ飛んで」
またダイレクトに言う姉だった。
「来るから」
「そうしてくるの」
「そう、ただやり過ぎには注意よ」
姉はこうも言った。
「攻め過ぎて理性が飛んだら」
「最後までいっちゃうのね」
「ゴムがないなら」
「そこもダイレクトね」
「言いつくろうの苦手なのよ」
今度は開き直った。
「それでよ」
「ダイレクトに言うのね」
「私はね、それでね」
「やり過ぎには注意ね」
「攻めるにしても」
「自分の予想の範囲内でね」
それでというのだ。
「収まる位にね」
「することね」
「さもないとね」
「予想外の事態になって」
「とんでもないことにもね」
それにもというのだ。
「なるから」
「そうなのね」
「そう、だからね」
「攻めるにしてもなの」
「過ぎないことよ」
「ある程度ってことね」
「そう、だからよ」
それでというのだ。
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