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ハッピークローバー

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第八十三話 映画館へその二

「どんどんね」
「アタックしてるの」
「二人きりの時はミニスカか半ズボンよ」
 姉はこうまで言った。
「それで胸元もね」
「見せるの」
「脇もうなじも首筋もね」
「そういうの好きな人いるの」
「これがいるのよ」 
 即座にだ、姉は答えた。
「男の人は女の人のどんな部分にも欲情するのよ」
「物凄くダイレクトな言葉ね」
「事実だから、何でアイドルや女優さんがグラビアのお仕事やるのよ」
「そこで水着や下着になるか」
「男の人がね」
「欲情するからなのね」
「そして欲情してね」
 そうしてというのだ。
「使うからなのよ」
「本当にお姉ちゃんダイレクトに言うわね」
「事実だからね、それで彼氏と二人きりだと」
「ミニスカートとか半ズボンで」
「身体のラインも脚も見せて上着もね」
 こちらもというのだ。
「露出が多いものにして」
「胸元とかうなじとか首筋とか脇とか」
「見せるのよ、そうそう脇見せるから」 
 姉はここでこうも言った。
「わかるでしょ」
「剃ることね」
「女の子だとね」
 それならというのだ。
「もうそれは絶対よ」
「脇をいつもつるつるにすることは」
「女の子では絶対ね」
「アイドルの娘で剃ってない娘いないわよ」
 姉はこのことも言い切った。
「言うまでもなくね」
「言うまでもなく?」
「脛毛も腕の毛もよ」
「ああ、そっちもね」
 富美子もそれはと応えた。
「絶対によね」
「女の子はね」
「剃らないと駄目よね」
「そうでしょ」
「これ男の子は知らないでしょうね」
「知ってるけれど言わないのよ」
 姉はこう返した。
「言うのも野暮でしょ」
「確かにね」
「だから言わないのよ」
 男の方もというのだ、姉は富美子にこの現実を話した。そのうえで妹に対してこうも言ったのであった。
「それがマナーで気遣いよ」
「毛を剃ることを言わないことは」
「そう、あと八条学園だとわかるでしょ」
「何が?」
「だから日本人は毛が薄いのよ」
 姉が今言うのはこのことだった。
「平均してね」
「そうそう、アジア系だとね」
 富美子も姉の言わんとしていることを理解して頷いた。
「そうなのよね」
「逆に白人だとね」
「女の人も毛深いのよね」
「特に寒いところだとでしょ」
「ロシアとか北欧とか」
「そうでしょ」
 こうした地域の人達はというのだ。
「毛深いでしょ」
「それで剃ることにもね」
「結構一生懸命でしょ」
「お髭だってね」
 富美子はこちらの話もした。 
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