ドリトル先生と桜島
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第五幕その三
「力もないし」
「放っておいてもよかったんだ」
「もうそれで」
「それでよかったから」
「戦も最後の最後の手段だったしね」
そうだったというのです。
「戦もしなかったよ、あとこれはヒントになるかな」
「ヒント?」
「ヒントっていうと?」
「何かあるの、先生」
「豊臣家にはお子さんの秀頼さんしかいなかったよ」
ここで先生はこのことを言いました。
「たった一人だけだったんだよ」
「あっ、当時お子さんはすぐに亡くなったよ」
「そうだったよ」
オシツオサレツは二つの頭で言いました。
「戦前までね」
「ずっと世界中そうだったよ」
「子供の時は身体が弱いから」
こう言ったのはダブダブでした。
「どんな生きものも急に、なのよね」
「それは人間でもそうでね」
チーチーも言います。
「日本でも戦前まで子供が死ぬこと多かったね」
「はしかになったりしたら」
それこそとです、ポリネシアは言いました。
「すぐにだったわね」
「本当に子供は何時どうなるかわからなかったよ」
「ええ、しゃぼん玉の歌があるけれど」
チープサイドの家族はこの童謡のお話をしました。
「生まれてすぐに消える」
「風吹くなっていうけれどあれは風邪なんだよね」
「そして豊臣家はお子さんの秀頼さん一人」
ジップはこのお家のお話をしました。
「だったら何時どうなってもおかしくないよ」
「正直何時潰れるかわからないお家だったんだね」
ガブガブははっとなって言いました。
「まさにね」
「そんなお家どうとでもなるっていうか」
トートーも考えろお顔です。
「皆不安だよね」
「そうしたお家だから皆離れて」
老馬は思いました。
「家康さんについたのかもね」
「そう、豊臣家はもう天下を治めるお家ではなくなっていたんだ」
先生は言い切りました。
「秀頼さんだけになってね」
「他に誰もいなくてね」
「何時どうなるかわならない人だけだと」
「秀頼さんがお亡くなりになったら断絶だよ」
「それであっさり終わるのに」
「力も何もないね」
「成人してもね」
秀頼さんがです。
「やっぱり一人でもうね」
「秀吉さんの頃と違って」
「もう豊臣家に力はない」
「大坂から出てもらったらそれでいい」
「それで大坂が幕府のものになれば」
「それでよかったんだ」
「冬の陣の後で伊達政宗さん達が秀頼さんは切腹にすべきかとお話をしていたら」
仙台藩の大名だったその人がというのです。
「家康さんが止めてるしね」
「若し殺すつもりなら」
「もうそこで切腹させていた」
「そうしていたね」
「大坂を出た後どの国に入るかもお話していたしね」
秀頼さんがというのです。
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