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八条学園騒動記

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第七百四話 休まず動く国その四

「そうしてだ」
「暮らしているので」
「野蛮だ、余裕がないことはだ」
「野蛮です」
「立場ある者が執務室の自分の席で食事を摂り」 
 そしてというのだ。
「食べ終わるとすぐにだ」
「また仕事に戻る」
「そんなことはだ」
「我々ではありません」
 エウロパではというのだ。
「しっかりと食堂で楽しみます」
「音楽を聴きながらな」
「落ち着いて」
「そしてデザートまで食べてだ」
 そのうえでというのだ。
「こうしてだ」
「コーヒーや紅茶を飲みますね」
「そうする、そうであってこそだ」
 まさにというのだ。
「立場ある者だ」
「食堂で誰もがそうするのは」
「ない」
 連合軍では艦長どころか司令官も兵士達と同じ食堂で膝を向かい合わせて食事を摂る、一般官公庁や企業でもだ。
「絶対にな」
「そうですね」
「ましてや執務室でな」
「インスタントや冷凍食品や」
「コンビニで買ったものをだ」
「手早く口にして」
「また仕事というのはな」
 連合ではごく普通だがというのだ。
「こんな品のないこともな」
「全くないです」
「それをするのだからな」
 だからだというのだ。
「何処でも」
「嫌なものですね」
「蟻だ」
 大尉は顔を顰めさせてこの虫の名前を出した。
「言うならな」
「常に誰もがせわしなく動く」
「そうしたな」
 まさにというのだ。
「蟻だ」
「連合の者達は」
「まさにな」
「その通りですね」
 上等兵も否定せずに応えた。
「強いて言うのなら」
「何かをしていなくてはたまらず」
「せわしなく常に動く」
「そうしたな」
「蟻ですね」
「これが蜂でもいいが」
 それでもというのだ。
「蟻と蜂は同じ仲間だ」
「昆虫としては」
「非常に近い」
 生物学的にこのことがわかっているのだ。
「その実はな」
「そうであるので」
「どちらでもいい」
 蟻でも蜂でもというのだ。
「やはりな」
「連合の者達はですね」
「四兆いるが」
「その誰もがですね」
「蟻だ、階級がないというが」
「その階級がないことがですね」
「四兆の者全員がだ」
「蟻となっていますね」
「蟻は蟻だ」
 大尉はこれ以上はないまでに侮蔑を込めて言った。 
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