ドリトル先生と桜島
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第四幕その九
「見たら大柄でお顔はエラが張ってゴツゴツした感じだよ」
「何かそう聞くとね」
「銅像や肖像画の西郷さんと違うね」
「そうだね」
「どうもね」
「僕も写真観て少し驚いたよ」
先生もというのです。
「銅像や肖像画と違うからね」
「そうだったんだ」
「実際の西郷さんはそうした感じだったんだ」
「大柄なのは聞いてたけれど」
「エラが張った感じのお顔だったんだ」
「そうだったよ、ちなみに大久保さんの写真はちゃんとあって」
それでというのです。
「皆が知っている様なね」
「ああしたお顔だね」
「髪の毛整えて立派なお髭生やした」
「それで目の感じもしっかりした」
「そうした人だったんだ」
「そうだよ、銅像や肖像画と実際のお顔が違うことはね」
こうしたことはというのです。
「ままにしてあるよ」
「成程ね」
「それで西郷さんもなんだ」
「そうした風だったんだ」
「夏目漱石さんなんかね」
明治の文豪だったこの人はといいますと。
「実は天然痘に罹ったことがあったんだ」
「ああ、昔はあったからね」
「日本でもね」
「日本は疫病の少ない国だけれど」
「ペストもなくて」
「けれど天然痘はあってね」
それでというのです。
「奈良時代なんか大流行したしね」
「それから日本を護る為にだね」
「奈良の大仏が造られたんだね」
「そうだったね」
「そうだよ、沢山の人が亡くなったから」
奈良時代の天然痘の流行で、というのです。
「大仏さんが造られたんだよ」
「あの世界一大きな仏像だね」
「観れば観る程大きいよね」
「あの仏像はね」
「凄い大きさだね」
「それで漱石さんも罹ってしまって」
そうなってしまってというのだ。
「助かったけれどお顔にね」
「ああ、あばただね」
「それが出来たんだ」
「そうなったんだ」
「そうなんだ、だから写真ではね」
こちらではというのです。
「修正されているんだ」
「そうだったんだ」
「ソ連の独裁者スターリンもそうだったらしいけれど」
「漱石さんもだったんだね」
「天然痘であばたが出来て」
「写真じゃ習性していたんだ」
「今は天然痘がなくなってね」
そうしてというのです。
「あばたもね」
「そうそう、今じゃね」
「まあ見ないね」
「ニキビの跡はあってもね」
「そうしたこともあったんだよ」
こう皆にお話します。
「漱石さんはね」
「成程ね」
「今はじめて知ったよ」
「漱石さんに関係のある場所にも行ったけれどね」
「松山にね」
「坊ちゃんの舞台だった」
「調べていると色々わかるよ」
学問をしていると、とです。先生はお話しました。
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