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八条学園騒動記

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第七百三話 桜だけでなくその七

「また塩分もな」
「摂っていますね」
「濃い味になってもいるしな」
「実に」
「もう素材の味がだ」
 大尉は顔を顰めさせて話した。
「わからない位にだ」
「調味料を使っています」
「そして見るのだ」
 大尉はここでだった。
 自分達と同じ食堂にいる学生達を上等兵にそうする様に告げた、そのうえでこう言ったのであった。
「さらに醤油をかけたりな」
「それぞれ口にしているものに」
「唐辛子もな」 
 この香辛料もというのだ。
「多くかけているな」
「はい、しかも」
 上等兵は彼等を見つつ話した。
「和食以外の多くの料理がありますが」
「アメリカや中国やタイの料理もな」
「韓国料理もありますが」
「どれもかなりな」
「調味料と香辛料を使っていて」
「そこにさらにだ」
「用いていますね」
「あの韓国料理を食べている学生を見るのだ」
 大尉はやや顔を顰めさせて言った。
「如何にも辛そうな料理にだ。
「あれはビビンバですね」
「私達では五人前はありそうだな」
「量もかなりですね」
「そのビビンバにさらにだ」
「何か赤い味噌の様なものをかけています」
「あれはコチュジャンだな」
 大尉は言った。
「韓国の調味料で唐辛子をだ」
「ふんだんに使っていますか」
「あのビビンバの色はマリンブルーだが」
 これは使っている唐辛子の色のせいである。
「そこにだ」
「赤、スカーレッドですね」
「その色のコチュジャンをこれでもかとだ」
「かけて」
「そしてだ」
 その学生がビビンバをここで掻き混ぜだしたのを見て話した。
「食べるのだ」
「辛い料理にですね」
「さらにだ」
「辛い香味料をかけて」
「食べるのだ」
「味がわかるのか」
「素材のだな」
「果たして」
「私もそう思うが」 
 それでもとだ、大尉は言った。
「あれがだ」
「連合の食べ方ですね」
「あらゆるものを食べてな」
「量は多く」
「そして味が濃い」
「それがですね」
「この国ということだ、正直言ってだ」
 うどんを食べながら言った。
「味はいいが品はな」
「ないですね」
「そんなものはない」
「感じられないですね」
「何一つとしてな」
 それこそというのだ。
「これが大衆とやらの料理だ」
「実に品のない」
「そう思うな」
「まことに」
 上等兵もそれはと応えた。 
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