魔法絶唱シンフォギア・ウィザード ~歌と魔法が起こす奇跡~
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AXZ編
第157話:閉じた世界を抜けて
本部での諸々の報告を聞き終え、解散となった響は外で待っていた未来と合流していた。
「未来ーッ! お待たせッ!」
未来の姿を見つけた響は待ってくれていた親友に手を振りながら駆け寄り、未来は手を振り返しながら響から話を聞いた。
「翼さん達、大丈夫だった?」
「うんッ! 2人共元気で安心したよ」
「それなら良かった。あ、響。少し寄り道していかない? 今朝の話の続きも聞きたいし……」
今朝の話と言うのは、この日響が本部に向かう事になる前の話。そこで彼女は未来にバルベルデで何が起きたのかを話し、そして今彼女達が抱えている悩みを相談していたのだ。
色々とあった所為で話は途中で途切れてしまい、夕日が差し始めたこの時間になるまで続きが話せないでいた。だが今なら時間がある。未来も話が途中で切れた状態でいるのは気持ちが悪いので、理由をつけて何がそこまで響達を悩ませているのかを知り違った。
2人は近くにあったファミレスに立ち寄ると、そこで飲み物を片手に話した。
「それで、話の続きを聞かせて?」
「うん。バルベルデでの事、話したでしょ?」
「クリスが……その、人を……思わず殺そうとしちゃったって話だよね……?」
なかなかにショッキングな話である。これまでの戦いでも相手はこちらを殺す気で来ていた訳だし、響達も殺意とまではいかないが本気で戦い続けてきた。
だが既に決着がつき、戦意を失っている相手に馬乗りになってまで殺そうとしたと言う事は、相当な殺意を抱えていたと言う事になる。一体何がクリスをそうまでさせたのか、皆目見当がつかない未来は響共々深刻な顔になる。
「うん……それが、昔透君の喉を傷付けた人だったみたいで……。透君が止めるのも聞かずにクリスちゃん、その人の事を……」
「それで、透君はクリスを止める為に頬を引っ叩いたって?」
確認する様に訊ねてきた未来の言葉に、響は言葉も無く頷いた。話を聞く限りにおいては、どちらが明確に悪いと言う事は出来ない。確かに人を殺そうとしたクリスは問題だが、それを止める為とは言え暴力に走るのはいい事とは言えないだろう。だが当時のクリスは半狂乱で、誰の声も耳に届いていなかった層ではないか。そうなると、多少強引にでも止める為に、ショックを与える意味で頬を引っ叩くのは仕方のない事なのかもしれないと言う見方も出来た。
この事で議論すれば決着がつかず長々と続く事になるだろうからそれに関して未来は言及する気はない。それに問題なのはその後なのだ。
「あれから、クリスちゃん透君と全然話さないんだ。何時もならずっと傍にいるのに、今日だって2人の間には距離があった」
「何だか信じられないね。何時もあんなに仲が良かった2人が……」
「うん。だから何とか仲直りしてほしいって思うんだけど――――」
「大きなお世話だ」
突然、響の後ろの席から聞き慣れた声が響いた。驚きのあまり飛び跳ねるように背後を振り返れば、そこには席の境目でもある背凭れの上からこちらを見ているクリスの姿があった。
「うええッ!?」
確かにこのファミレスは本部が停泊している港からほど近い。だからこそ2人もこの場所を選んだのだし、そうであればこうしてかち合う事もそう珍しい事では無いのかもしれない。だがそれとこれとは話が別。まさか悩みの種である人物に話を聞かれる事になるとは思ってもみなかったのだ。
突き返すようなクリスの言葉に、彼女の対面に座る奏と翼は窘めるように話した。
「その言い草は無いだろう、雪音。2人はお前を案じているんだ」
「そうそう。それにクリスだって、何時までも透と疎遠になりたくはないだろ?」
「ええッ!? 奏さんと翼さんも居るッ!?」
「よっ! 奇遇だな?」
世界的アーティスト2人がファミレスに居る光景と言うのも滅多に見れない姿だ。場所が場所で時間が時間だからか他の客の姿は殆ど見当たらないが、下手をすると彼女達のファンが殺到してもおかしくない状況である。
まぁそこは2人も理解しているだろうから、そうならないように何かしらの対策は考えているのだろうが。
「私達だけでなく、皆、雪音と北上の事を心配している」
「分かってるッ! けどほっといてくれ。あたしなら大丈夫だ」
「そんな顔で言われても信じられない事位、言われなくても分かるだろ?」
奏の指摘の通り、今のクリスは酷いとまではいかないが心配になる顔だった。眉間には常に皺が寄っているし、表情からは険しさが抜けていない。例え初対面の人が見ても、今のクリスは大丈夫では無いのが丸分かりだ。
普段であれば彼女の隣には透が居て、彼が彼女の心を宥めてくれるのだが…………
「…………うるせえよ」
と、こんな具合にクリスは心の痛みを無理矢理抑え込むような顔でそれ以上何も言わない。今まで透の存在が清涼剤となって宥めてくれていた分、彼が居ないとこんな時どうすればいいのか分からないのだ。それはクリス自身も自覚している。しかし、今は彼とも顔を合わそうと言う気になれなかった。
未だにクリスには分からなかった。何故透は自分の喉を切り裂き、声と夢を奪った相手を許しておけるのか。自分を引っ叩いてでも仇と言える相手を助けようと思えるのかが、クリスにはどうしても理解できなかったのである。今までは世界で誰よりも信頼で来ていた筈の少年が、初めて遭遇する未知の相手の様に思えて恐怖すら感じていた。そして愛しい筈の透にそんな気持ちを抱いてしまった自分がショックで、クリスは透と顔を合わせる事が出来なかった。
消え入りそうな声で拒絶の言葉を口にし、それから何も言おうとしないクリスに奏は声を潜めて隣の翼と話し合った。
「こりゃ相当骨が折れるな……」
「うん……颯人さんは何て?」
「今回ばっかりは颯人もお手上げだってさ」
「デリケート過ぎる問題故、迂闊な手出しができない?」
「そう言う事らしい」
事はクリスと透と言う、固い絆で繋がり合っていた2人の間の問題。そこに部外者が首を突っ込んでも、無駄に引っ掻き回すだけで事態は好転するどころか下手をすると悪化する危険性がある。触らぬ神に祟りなしとは違うが、第三者が手出しの出来ない状況と言うのはどうしても存在する。今回がその一つだった。何しろ奏達は表面上のクリスと透としか触れ合えていないのだから。
――誰か他に2人の事を良く知る人が居てくれたらな~……――
額に手を当て天井を仰ぎ見ていると、何時の間にか話が響の終わっていない夏休みの宿題の方に移っていた。
「どうしよう、未来ー」
「頑張るしかないわね。誕生日までに終わらせないと」
「立花の誕生日は近いのか?」
「はい、13日です」
もうあと2週間もない。であれば、本当に頑張って終わらせないと誕生日も宿題に追われる事になってしまう。それは是が非でも避けたいだろう。
「ま、今年の誕生日は楽しいだろうから、それを目標に頑張りな」
誕生日を盛り上げるとなれば、颯人の事だからとっておきの手品を用意してくれるだろう。世界的有名マジシャンが盛り上げてくれる誕生日となれば、きっと一生モノの想い出になるに違いない。
そんな話で場が少し盛り上がった時、響の持つ通信機からアラームが鳴った。本部からの緊急の通信を伝えるアラームだ。
それが聞こえた瞬間、装者は全員顔を引き締めた。
「はい、響です」
『アルカノイズが現れたッ! 位置は第19区域、北西Aポイント。そこから近い筈だ。急行してくれッ!』
弦十郎からの通信に、装者達は未来をその場に残して急いで現場に向かい即座にシンフォギアを纏うと、蔓延るアルカノイズ達の殲滅に乗り出す。流石に4人も居ればアルカノイズ程度敵ではなく、このまま何事も無く終わるかに思えた。
しかしその様子を、近くのビルの上から見下ろしている人影があった。パヴァリア光明結社の幹部、カリオストロとプレラーティである。翼とマリアが日本に帰国する際にも攻撃を仕掛けてきた2人が、またしても装者を相手にちょっかいを掛けてきたのである。
だが今回は2人だけではない。前回に加えて今度はティキの起動を終わらせたサンジェルマンも参加したのである。
「ようやく到着と言うワケダ」
「首尾は?」
「まだ誘い出したところよ」
カリオストロの言葉にサンジェルマンは下を見下ろし視線を彷徨わせた。見える範囲において、戦っているのは装者のみ。魔法使いである颯人達の姿は見当たらない。
その事に安堵する様に小さく息を吐くサンジェルマンの左手には、金属製のカプセルが握られていた。カプセルにはスロットマシンのリールの様なダイヤル式の鍵が掛けられており、サンジェルマンが錬金術を使うと象形文字の描かれたダイヤルが動いてカプセルの鍵が開いた。
カプセルが開くと中にはアルカノイズの召喚結晶が3つ入っており、その中の一つをサンジェルマンは取り出し投擲する。
「試作に終わった、機能特化型の使い時……。その力、見せてもらいましょう」
結晶が装者達の直ぐ近くに落下すると、そこを起点に光が広がり空中に星空が広がった。
「あれは、アルカノイズか?」
「新手のお出ましみたいだなッ!」
確かにアルカノイズは出てきた。だがそれ以上に奏達の目を引いたのはその景色である。
つい先程まで街中に居た筈なのに、今彼女達の周囲に見えるのは岩肌剥き出しの大地と怪しい光を放つ結晶、そして空に広がる星空と大きな惑星の姿だった。
「さっきまで街中だったのにッ!」
「んな事言ってる場合じゃなさそうだぞ」
広がる景色に目を奪われてしまいそうになるが、周囲を見ればこちらに近付いてくる無数のアルカノイズの姿が見える。
何がどうしてこんな事になっているのかは分からないが、今確実に言えるのはこのアルカノイズ達を何とかして倒さなければならないと言う事。コイツ等を始末しなければ、周囲の調査も何も出来ない。
疑問はさておき、奏達はアルカノイズを始末しようと戦闘を再開した。ところが早々に彼女達は大きな問題にぶち当たる。
アルカノイズが倒せないのだ。
「馬鹿なッ!」
「攻撃がッ!」
「全部通らねえのかッ!?」
「クソッタレッ!」
斬っても撃ってもアルカノイズ達は塵にならず、元通りの姿へと再生を果たした。その様子は嘗てウェル博士が使用したAnti LiNKERの効果を受けた時と酷似している。
それは本部に居る朔也達も思った。奏達が周囲を星空に囲まれた時、本部からは彼女達の姿が見えなくなったがギアに内蔵されている集音機から音や声を聞いて何が起きているのかは理解できていた。
「まさかAnti LiNKER? でも、一体誰が――」
「いえ、各奏者の適合係数に低減は見られませんッ!」
しかしその可能性は即座に否定された。Anti LiNKERが使用されたのであれば、装者達はギアからのバックファイヤーで苦しむ事になる。それが無いと言う事は、装者達が弱くなったのではなく敵が強くなったと言う事に他ならない。
「つまり、こちらの攻撃力を下げる事無く、守りを固めているのだな?」
『4人共、聞こえるかッ!?』
「おっさんッ! どうなってやがるッ!」
『そこはアルカノイズが作り出した、亜空間の檻の中とみて間違いないッ!』
「亜空間の檻……ですか?」
今一ピンとこない様子の翼だったが、そこはエルフナインが即座に補足してくれた。
『そこでは、アルカノイズの位相差障壁がフラクタルに変化し、インパクトによる調律が阻害されています』
『ギアの出力が下がった様に思えるのはその為ですッ!』
途中エルフナインの説明が専門用語込みだったので少し分かり辛かったが、兎に角こちらの攻撃が効き辛くなるほど敵が固くなっているのだと言う事だけは理解できた。
そうであれば対処は簡単だ。要はこちらも攻撃力を上げてやればいいだけの話である。
「だったら。ドカンとパワーを底上げてぶち抜けばッ!」
「呪いの剣……抜きどころだッ!」
「力を借りるぜ、颯人!」
響・翼・クリスの3人はイグナイトモジュールを、奏は魔力を用いてウィザードギアを使用して火力の底上げを図った。
一瞬透がこの場に居てくれたら、制限時間ありきのイグナイトやウィザードギアに頼らなくてもいいのにと思わなくはない奏だったが、諸事情から透がクリスと行動を分けているので仕方がない。無い物ねだりをして彼女の機嫌を損ねる訳にもいかないので、思い付きに関しては黙ってギアの形状を変化させた。
「「「イグナイトモジュール、抜剣ッ!」」」
【【【DAINSLEIF】】】
「ショータイムだ!」
〈プリーズ〉
黒く変色したギアを纏った3人と、魔法の力を得た奏のギアが暴れ回る。決戦機能の底力で爆上げした攻撃力は、守備を固めたアルカノイズであっても一溜りも無く塵と砕けた。
「はぁぁぁぁッ!」
翼の振るう刃が次々とアルカノイズを膾切りにしていく。それに合わせるように奏は魔法の炎を纏った槍を振るった。
「おらぁぁぁぁぁッ!」
フォニックゲインと魔力、二つの力を合わせた一撃は効果的だったのかこちらもアルカノイズを容易く粉砕した。
これなら守りを抉じ開けて攻撃を届かせることが出来る。
のだが、問題は完全に解決してはいなかった。
それは、兎に角相手の数が多すぎる事だった。
「こいつらに限りはあんのかッ!?」
そうクリスが叫んだ通り、アルカノイズは次から次へと際限なく現れる。これではキリがない。しかも問題なのはただ敵が多いと言うだけではなく、今の彼女達の状態を維持するには制限時間があると言う事。この制限時間を超えてしまったら、イグナイトもウィザードギアも解除されてしまう。そうなれば待っているのは無数のアルカノイズによる嬲り殺しだ。
装者達の状況が芳しくない事は本部の方にも伝わっている。だが待機組に出来る事は無いに等しい。何しろ彼女達が今居る場所は亜空間。一度閉じてしまった空間を外から抉じ開ける事は不可能に近い。
彼女達が生き残る為には、彼女たち自身の力で問題を解決してもらわなければならなかった。
かと言って、はいそうですかと黙っていられない男がここに居た。
「おっちゃん、ちょっと行ってくる」
「何?」
「何もしないで待ってるなんて性に合わないんでね。近くに行けば、何か分かる事があるかも」
〈テレポート、プリーズ〉
そう言って颯人は1人さっさと魔法で現場へと向かってしまった。
残された者達の内、透は何度か颯人が居た場所と弦十郎を交互に見る。そして、何かを決意した顔になると彼も弦十郎に頭を下げてその場を後にした。彼もまた、クリスの窮地を救う為に何か出来る事は無いか探しに行くのだろう。
愛する者を思う若者達の後ろ姿に、弦十郎は仕方がないとでも言うかのように溜め息を吐いた。
一方、発令所の自分の席でエルフナインは必死に頭を回転させていた。この場に居ない了子は必死にLiNKERの改良の為に奮闘し、アルドもまたキャロルの治療と並行して颯人達魔法使いを支援する為奔走している。
そんな中、同じ頭脳担当の自分が何も出来ずにいる訳にはいかないと考えていたのだ。
――何か……僕にも何か出来る筈……ッ!――
敵は位相差障壁を亜空間の檻に、そして強固な鎧と使いこなす新型アルカノイズ。だが肝心のアルカノイズの姿が見当たらない。今奏達が戦っているのはどれも普通のアルカノイズばかりである。
そこで彼女は気付いた。新型が出現する際に観測されたフィールドが半球の形状をしていた事に。
「ッ! 皆さんッ! そこから空間の中心地点を探れますかッ!?」
『こちらで観測した空間の形状は半球ッ! であれば、制御器官は中心にある可能性が高いと思われますッ!』
確かに理に適った意見だ。これだけの空間、用意するには相応の基点となる場所が存在する筈。であれば、それが中心地点にあると考えるのは当然の事と言えた。
問題なのはその中心地点をどうやって特定するかである。
「アタシの魔法で全部焼き尽くすか?」
「いえ、それでは効率が悪すぎる。もっと別の――」
どうやって空間の中心を特定するかで話し合っていたその時、クリスが周囲に弾をばら撒く様に撃ち始めた。放たれた銃弾があちこちに突き刺さる。
「クリスちゃんッ!? 闇雲に撃っても――」
「唄い続けろッ! ばら撒いたのはマイクユニットと連動するスピーカーだッ!」
見ると確かに先程クリスが撃った場所には、ただの銃弾ではなくスピーカーが花開く様に展開されていた。あんな器用な物も撃てたのかと、奏は内心舌を巻いた。
「空間内に反響する歌声をギアで拾うんだッ!」
「そうかッ! ソナーの要領で、私達の位置と空間内の形状を把握できればッ!」
「おぉぉぉッ!」
奏達は戦いながら歌い続ける。その唄声がスピーカーからも放たれ、空間内に幾つもの反響音を響かせる。
その一つ一つにクリスは慎重に耳を傾けた。
――……違う、中心はこっちじゃない。この聴こえ方であたしらの歌が重なる場所は……――
慎重に……慎重に……響く歌声に耳を傾け、それが反射した場所に何があるのかを読み取っていく。生まれ持った才能を駆使し、必死に聞き耳を立てる。
その結果、遂にクリスは探し物を見つける事に成功した。
「……そこだッ!」
[MEGA DETH PARTY]
特定した中心地点に向け、クリスが小型ミサイルを一斉に発射する。大まかな狙いをつけて発射された小型ミサイルは、中心地点付近で炸裂しそこに隠れていた大型のアルカノイズの姿を浮かび上がらせた。
「見えたッ! でっかいのが居るッ!」
「あれが、この空間を作り出しているアルカノイズッ!」
『それですッ! それを破壊してくださいッ!』
そうと決まれば話は早い。装者達は目的のアルカノイズ撃破の為、一気に勝負に出る事にした。
「立花、乗れッ!」
「はいッ!」
翼が構えた刀の峰に響を乗らせた。すると刀が大きく変形し、ちょっとした戦闘機ほどの大きさの大剣となる。さらにそこにクリスの大型ミサイルも合体し、カタパルト上の飛翔体を形成した。
それはイグナイトを起動させた3人の合体技。飛翔した大剣から響を射出し、さらには飛翔体その物も敵に突撃する二段構えの大技であった。
[TRINITY RESONANCE]
「勝機一瞬ッ! この一撃に全てを懸けろッ!」
「なら、アタシがその為の道を切り開いてやるッ!」
〈キャモナ! スラッシュ、シェイクハンズ! フレイム! スラッシュストライク! ヒーヒーヒー!〉
ウィザードギアとなった奏のアームドギアには開閉式のハンドオーサーが取り付けられている。それを開いて左手を重ねれば、奏のアームドギアからもスラッシュストライクが発動できた。
奏が炎の斬撃を飛ばせば、大型アルカノイズまでの間に存在するアルカノイズは軒並み消滅し、響達の攻撃を阻害する者は居なくなる。その瞬間飛び立った大剣から、響が射出され勢いを乗せた跳び蹴りを放ち穿つ。そして更にダメ押しとばかりに残った大剣が突き刺さり、大型アルカノイズは完全に撃破された。
大型アルカノイズが撃破された事で亜空間は消え去り、元の街並みが奏達の前に広がった。
その事に安堵の表情を浮かべる奏達。だが次の瞬間、奏の目にはとんでもないものが飛び込んできた。
「――――え?」
そこに居たのは、倒れ伏した颯人と彼に手を伸ばすサンジェルマンの姿であった。
後書き
と言う訳で第157話でした。
今回は概ね原作通り。ただ奏が居る事と、クリスの抱えている問題が原作と違う事による変化が大きな相違点でしょうか。
戦闘でも大きな変化はなく、奏も特別な活躍は今回はありませんでしたね。今回は、ね。
ただその分次回は大きな出来事が起こる予定です。
執筆の糧となりますので、感想評価その他よろしくお願いします!
次回の更新もお楽しみに!それでは。
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