ハッピークローバー
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第八十一話 甲子園へその十一
「昔はそうだったのね」
「子供は皆ね」
「巨人好きだったの」
「そうだったのよ」
「何処がいいのか、あんな悪いチーム」
一華は口をへの字にさせて言った。
「本当に」
「昔はそういうの皆知らなかったからよ」
「人気あったの」
「幾ら汚いことをしても」
巨人の十八番であった、今はそれも出来なくなっている。
「それでもね」
「皆知らなくて」
「人気あったのよ」
「絶大だったのね」
「そうよ、それでね」
そのうえでというのだ。
「昔は巨人ファンがダントツで多かったのよ」
「関西にもいたのよね」
「関西は何といっても阪神だけれど」
それでもというのだ。
「巨人ファンも結構ね」
「いたのね」
「今じゃ未確認動物見付ける様なものだけれど」
そこまで稀少だというのだ。
「それでも昔はね」
「そうだったのね」
「けれど驕る平家は久しからずで」
一華にこの諺を出して話した。
「悪事の報いは受けるものよ」
「因果応報ね」
「そして自分が蒔いた種もね」
これもというのだ。
「逃れられないのよ」
「自業自得になるのね」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「巨人はもうね」
「万年最下位で人気も最低の」
「どうにもならないチームになっているのよ」
「選手とかフロントの不祥事はいつもだしね」
「問題ばかり起こしてるわね」
「毎年ね」
そうしてゴシップを騒がせているのだ、最早球界の紳士という言葉は完全な皮肉になってさえいる。
「そんなチームになってるのよ」
「そうよね」
「まあほぼ確実に勝つから」
「安心して」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「気楽にね」
「観に行けばいいのね」
「それよりも危険なことはしないで」
「危ない場所には行かないで」
「達川君と仲良くね」
こう言うのだった。
「そうしてきなさい」
「球場デートね」
「これもいいものよ、八条グループはグループでプロ野球のリーグ持ってるでしょ」
「八条リーグね」
「グループのそれぞれの企業がチーム持ってね」
そして親会社になっているのだ。
「球場も持ってるでしょ」
「それぞれのチームでね」
「そこでの観戦も多いから」
「グループの社員さんやご家族は」
「その時デートもね」
これもというのだ。
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