ハッピークローバー
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第八十一話 甲子園へその七
「阪神の駅も団地から近いし」
「そうした方がいいわね」
「この辺り夜治安いいけれど」
「休日に行くから行きはお昼でも」
「帰りはね」
「夕方か夜になるわね」
「夜は危ないから」
暗がりに襲われる危険があるというのだ。
「その時にどうするか」
「それが問題で」
「阪神の駅からお家までね」
「すぐに帰ることね」
「そうしよう」
「念の為に二人共ブザーやスタンガンも持って」
「それで行こうね」
甲子園球場までというのだ。
「それで球場じゃ二人でいて」
「応援に専念して」
「変なことはしない」
「それがいいわね、ただおトイレの時は」
一華はこの時のことも話した。
「その入り口まで一緒に行かない?」
「途中で一人になるといけないから」
「おトイレの行き来でね、それでね」
一華はさらに話した。
「待ってる間もね」
「一人になるから」
「だからね」
それでというのだ。
「お互い行き来の間はね」
「一緒に行って」
「入口かその近くでね」
「待つんだね」
「おトイレは誰でもするわよ」
強い声でだ、一華は言った。
「女の子でもね」
「いや、それはさ」
達川は一華の今の言葉に笑って返した。
「俺もわかってるから」
「女の子はおトイレしないとか」
「思ってないから」
「そうなのね」
「そんな人はね」
それこそというのだ。
「現実がわかってないよ」
「そんな男の子いないのね」
「今時いないよ」
これが達川の返事だった。
「少女漫画でもね」
「今ならなの」
「そんな幻想ないしね、というか少女漫画もギャグあるよね」
「普通にあるわよ」
「そうだよね」
「それでおトイレでメイクする場面なんてね」
「普通だよね」
「おトイレでメイクするってことは」
それはというのだ。
「もうね」
「言うまでもないし」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「女の子もよ」
「おトイレ行くね」
「そうしたものだし」
それでというのだ。
「行く時はね」
「一緒だね」
「ええ、ただ夏も終わるけれど」
一華はそれでもとだ、達川に言った。
「甲子園だからね」
「あそこ暑いんだよね」
「只でさえ暑いのに」
「球場はすり鉢型だから熱気が篭るんだよ」
「それに満員になるから」
「人の熱気も凄いよ」
達川も言った。
「甲子園って五万入るんだよ」
「五万の人の熱気があったら」
「物凄いよ」
「汗滅茶苦茶かくわね」
「だからおトイレも」
「その分行かないわね」
「ドームと違って空調もないし」
これもまた甲子園球場の特徴である、その為雨が降ると試合は出来ない。このことはネックであると言えるだろうか。
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