ドリトル先生と桜島
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第三幕その十
「明らかだよ、むしろ定免法は大盤振る舞いだよ」
「幕府にとっては」
「年貢を低く定めて」
「それ以上はお百姓さんの分として」
「副産物の分はお百姓さんのものだったから」
「そこまで考えたらだね」
「吉宗さんは悪意なくね」
そうした風でというのです。
「政策を進めていたよ」
「そうなんだね」
「その実は」
「吉宗さんも」
「そう、これは例のマルクス史観の考えだよ」
先生はここでどうかというお顔になりました。
「二十世紀の間日本では強かったからね」
「ああ、あれね」
「経済学や教育でもそうで」
「法曹界でもだよね」
「特にマスコミで強くて」
「日本の学問の世界に変な影響を与えていたね」
「マルクスとか言うとすぐに搾取とか抑圧とか階級とか闘争とか言ってね」
そうなってというのです。
「そこから歴史も経済も観るからね」
「教育だってだよね」
「それこそ何でも」
「そうするからだね」
「おかしくなるのね」
「それで吉宗さんも色々言われていたんだ」
この人もというのです。
「実際はどうでも」
「マルクス史観、共産主義だよね」
「そっちの考えだよね」
「日本って共産主義じゃないけれど」
「その考えが強かったんだね」
「知識人の世界はね」
まさにというのです。
「学問もそうなんだ」
「何か昔のキリスト教みたいだね」
「欧州のね」
「そう考えたらね」
「吉宗さんも可哀想だね」
「事実を捻じ曲げられたからね」
まさにその為にというのです。
「よくなかったよ」
「流石に暴れん坊将軍みたいなことはなかったよね」
ホワイティは時代劇のことをお話しました。
「悪者を成敗するとか」
「けれど実際に政治に心を砕いていて」
ジップも言います。
「民衆の人達のことも考えていたんだね」
「さもないともっと酷いことしているよ」
ガブガブもはっきりと言いました。
「欧州の領主なんか酷かったからね」
「というか奈良県って普通に朝から茶粥食べてたでしょ」
ダブダブは先生からのお話を思い出しました。
「お米のね」
「しかも薩摩芋まで広めるなんて」
「青木昆陽さんのお考えをよしとしてね」
チープサイドの家族は薩摩芋のお話をしました。
「凄い功績だよ」
「このことでもね」
「というか民衆をいじめる悪い人が餓えから救おうとする?」
トートーは疑問符と共に言いました。
「薩摩芋を広めてまでして」
「しかもお砂糖まで広めたのよ」
ポリネシアはこちらのお話をしました。
「凄い功績よ」
「お米も薩摩芋もお砂糖も甘いね」
チーチーはそれ等の味のことを思いました。
「皆に甘いものを食べさせるなんてね」
「餓えから救って甘いものを食べさせるとか」
「凄い善行だよ」
オシツオサレツから見てもです。
「何処が悪い人かな」
「民衆を虐げる様な」
「先生が正しいよ」
老馬は断言しました。
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