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イベリス

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第百二話 終わりゆく夏その四

「しっかりとよ」
「ガードすることだし」
「ミニスカの下にそうしたの穿くと」
「見えないわね」
「まあストッキングはね」
 愛はこちらの話をした。
「重ね穿きでもね」
「やっぱり透けるわね」
「それでストッキング越しの下着が好きな人もいるのよ」
「そういえばそうね、そういうのが好きな人もね」
「男の人でいるからね」
「フェチっていうか」
 咲はこの言葉をどうかという顔になt6て話した、尚フェチシズムというものは実に多くの種類がある。
「好み?」
「どっちもこの場合大体同じ意味よ」
「そうなるのね」
「それでね」
「そういうのが好きな人もいるから」
「ストッキングだとね」
「透けるのね」
「だからこの場合はスパッツの方がいいけれどね」
「それかタイツね」
「ええ、タイツでも暖かいし」
 これを穿くと、というのだ。
「いいでしょ」
「そうよね」
「しかも脚が奇麗に見えるし」
 このこともあるというのだ。
「いいのよ」
「ああ、脚がぴっしりとなって」
「それで舞台でも人気になった人いるのよ」
「タイツ穿いて」
「宝塚の男役の人とかでもね」
「タイツ穿いて人気になるの」
「脚が奇麗だって」
 このことが評判になってだ。
「それでピーターパンだって」
「あの役女の人がやるからね」
「大抵そうでしょ」
「緑の服を着てね」
 ピーターパンの代名詞とも言っていい色である。
「それで下はね」
「タイツでしょ」
「それでそのタイツ姿がよね」
「評判になった人もいるし男の人でもね」
「えっ、男の人でも」
「そうよ、オペラでね」
 こちらの舞台でというのだ。
「フランコ=コレッリっていうテノールの人がいて」
「男の人の高音ね、テノールって」
「長身でイメケンでね」
 そのコレッリという歌手はというのだ。
「そのタイツ姿もね」
「人気になったの」
「昔の欧州の男の人ってズボンじゃなくてね」
「そうそう、タイツだったわ」
 咲もそれはと応えた。
「シェークスピアの劇がそうだし」
「メフィストフェレスもでしょ」
「王様の肖像画でもね」
「そう、それでオペラでもね」
「男の人でもタイツね」
「それを穿いてね」 
 それでというのだ。
「舞台に出ていて」
「そのコレッリって人もなの」
「騎士とか戦士の役よくやって」
 その時にというのだ。 
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