| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十四部第一章 梟雄の復活その三十三

「ゲーテだったか」
「ドイツの偉大な詩人でしたね」
「小説家でもあり政治家でもあった」
「そして多くの恋愛をした人物でしたね」
「実に複雑な人物だったが」
 その彼がというのだ。
「ファウストで言ったか」
「人間の思考より速い」
「そうした言葉がありますか」
「ゲーテのファウストには」
「そうなのですか」
「確かな、この作品は子供の頃に読んでだ」
 それでというのだ。
「詳しい内容は忘れていた」
「そうでしたか」
「閣下も」
「左様でしたか」
「そうだったが」
 サルマーンはさらに話した。
「人間の思考はこう例えられるまでにな」
「速いですね、確かに」
「かなり考えても一瞬だった」
「その考える時間は」
「そうだった時もありますね、確かに」
「不思議なものだ、躊躇していた時間は相当だった筈だが」
 主観ではそうだったがというのだ。
「それがだ」
「実は、ですね」
「それが違っていて」
「一瞬で考え決めていた」
「そうした時もある」
「不思議なものだ、だがまた言うがその一瞬がだ」
 まさにというのだ。
「問題だ」
「その一瞬でもですね」
「躊躇してはならない」
「指揮官は即座に決めるべきですね」
「やはり」
「そうだ、さもないとだ」
 それこそというのだ。
「隙が出来てだ」
「そこを衝かれ」
「そうしてですね」
「敗北につながりますね」
「戦争自体が」
「そうなるからだ」
 サルマーンはさらに話した。
「我々は決めるべきだ、だが決める際は状況を把握し考え」
「そして決める」
「分析と思考は必要ですね」
「そういったものは」
「それ等全てを一瞬で行い」
 そしてというのだ。
「決断を下し」
「命じますね」
「そうする」
 まさにというのだ。
「それが将官だ、今は我々は戦場にいないが」
「それでもですね」
「将官ならですね」
「それも高位にあるなら」
「そうする、ではいいな」 
 こう言ってだ、そしてだった。
 サルマーンはドライフルーツを楽しみそうしてワインも飲んだ、彼が一本空けた時に若い士官が入室してきて敬礼と共に報告した。
「主席閣下が目覚められました」
「そしてか」
「はい、そして」 
 サルマーンに応えつつ報告した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧