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2学期が始まる。
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ようこそボンゴレⅩ世。実力至上主義の教室へ 作:コーラを愛する弁当屋さん
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あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします♪
2学期が始まる。
昨日で夏休みも終了し、今日からは2学期が始まる。
もちろん通う教室は変わらないので、特に目新しいものはないんだけど、明らかに1学期と違う事がある。
それは……
「あ、ツナ君おはよう〜♪」
「おはよう、桔梗ちゃん」
「お、おはよう、沢田君」
「うん、おはよう佐倉さん」
「……よう」
「おはよう、綾小路君」
「あら、初日からギリギリ登校ね?」
「堀北さん、おはよう。あはは……昨日寝るのが遅くなって」
「おっす、ツナ!」
「遅えぞ、沢田!」
「夜更かしでもしたんかぁ?」
「おはよう、須藤君、池君、山内君」
「あ、ツナ君おはよう!」
「おはようみーちゃん」
「沢田君。おはよう」
「おはよ」
「平田君、軽井沢さん。おはよう」
クラス内に友達が沢山増えた事だ。
確実にクラス内で信頼を得る事が出来ている様で嬉しい。
自分の席に座り、カバンを机に掛けながら、俺は決意を新たにする。
(よし! 2学期も頑張るぞぉ!)
——この時の俺は、2学期にあんなに大変な思いをするとは思ってもいなかった。
—— 1時限目 ——
——ガラガラ。
「……席に付け。ホームルームを始めるぞ」
教室の扉が開き、中に茶柱先生が入ってくる。
教卓に着いた茶柱先生は、クラス全体に何枚かのプリントを配り始めた。
「今日から2学期なわけだが……来月の頭には体育祭が執り行われる」
『体育祭?』
体育祭という言葉に、クラス中が少しざわつき始める。
が、茶柱先生はそれを無視して話を続けた。
「その為、今日から1ヶ月程は体育の授業の比率が多くなる。今配ったプリントの1枚目は体育祭が終わるまでの特別な時間割だ。各自確認しておく様に」
茶柱先生に言われるまま、プリントに目を落とす。
1枚目は茶柱先生の言う通り、新しい時間割だった。そして2枚目以降は、体育祭に関する資料の様だった。
ここで、平田君が挙手をして茶柱先生に質問をした。
「先生! これも特別試験の一つなんでしょうか?」
「どう考えるかはお前達次第だ。が、クラスに大きな影響を与えるのは間違いない」
どっち付かずな言い方だが、試験という名前は付いてないけど、特別試験と言ってもおかしくない行事ってことかな。
「え〜、私運動は苦手なのに」
「俺はまぁまぁ自信あるぜ?」
クラスメイトの反応も様々だ。運動が得意な子は喜ぶし、苦手な子は嫌そうである。
そんな事を考えていると、隣の席のみーちゃんが話しかけてきた。
「ねぇねぇ、ツナ君は運動得意?」
「ん? どうだろう、結構トレーニング頑張っているから少しは自信あるかな」
「そっか〜」
「みーちゃんは?」
「私も結構自信あるよ」
そういえば、みーちゃんは学力も運動能力も高いって桔梗ちゃんに聞いた事があったっけ。
まぁそんなわけで、みーちゃんは結構体育祭が楽しみな様だ。
そして再び資料に目を通していると、茶柱先生から説明が始まった。
「既に目を通して気づいている者もいるだろうが、今回の体育祭は全学年を2つの組に分けて勝負する方式だ。お前達Dクラスは赤組に配属になる。1年生のもう一つの赤組はAクラスだ。つまり、この体育祭の間はAクラスが味方ということだ」
(BクラスとCクラスは白組って事か)
今までの試験なら、基本はクラス毎の戦いだった。
でも、今回はAクラスとのチーム戦になるわけだ。
(……小狼君とみーちゃんが同じチームってのはなぁ。よく見ておいた方がいいかもしれないぞ)
横目でちらっとみーちゃんを見ながら、俺はそう思っていた。
「いよいよお前があいつと接触する機会が出来るってことか」
「……ここでその話をしないで。二度は言わないわ」
後ろの席で、綾小路君と堀北さんがそんなややり取りをしているのが聞こえた。
そういえば、堀北さんのお兄さんは3年Aクラスだったな。
(ん〜、複雑な心境なのかもしれないな)
「……」
——パンパン!
「……お前達」
各自近隣の席の子と話始めたからか、茶柱先生は手をパンパンと叩いて注目を集めた。
「まずは体育祭で起こり得る結果に目を通せ。何度も説明する気はないぞ、一度でしっかりと聞く様に」
茶柱先生は、体育祭における最終結果の決定方法について話し始めた。
先生の説明を聞きながら、再び書類に目を落とす。
○体育祭におけるルール及び組分け
全学年を赤組と白組の2組に分け、対戦方式で行う。
内訳は赤組がAクラスとDクラス。白組がBクラスとCクラスで構成される。
○全員参加競技の点数配分(個人競技)
1位15点、2位12点、3位10点、4位8点が組に与えられる。
5位以下は1点ずつ下がって行く。
団体戦の場合、勝利した組に500点が与えられる。
○推薦参加競技の点数配分
1位50点、2位30点、3位15点、4位10点が組に与えられる。
5位以下は2点ずつ下がって行く(最終競技のリレーは3倍の点数が与えられる)
○赤組対白組の結果が与える影響
全学年の総合点で負けた組は、全学年等しくCPが100引かれる。
○学年別順位が与える影響
各学年、総合点で1位を取ったクラスにはCPが50与えられる。
総合点で2位を取ったクラスのCPは変動しない。
総合点で3位を取ったクラスはCPが50引かれる。
総合点で4位を取ったクラスはCPが100引かれる。
「簡単に言えば、気を抜かずに全力で競技に臨めということだ。負けた組が受けるペナルティは軽くないぞ」
(CPがー100というのは大きいなぁ)
「あの先生。勝った組は何ポイント貰えるんですか? 記載がないみたいですが」
俺も気になっていた事を平田君が質問してくれた。
しかし、茶柱先生からの返答は思っていたものとは違ったようだ。
「何もない。マイナスという措置を受けないだけだ」
『え〜!? ご褒美なしかよ』
どうやら、今までの試験と違って特別な個人の旨みがないらしい。
それでやる気を失う生徒も多いかもしれない。
「言っておくが、学年毎にクラス別のポイントもしっかりと計算されるぞ。仮に赤組が勝ったとしても、Dクラスの総合点が最下位だった場合には、100ポイントのペナルティを受けることになる」
いや、それでもしっかり頑張らないと、自分にもクラスにも不利益が生じるらしい。
決して楽をしてはいけないという事だな。
つまり、損をしない為には赤組が勝つことは大前提。
そしてその結果にDクラスが大きく貢献してる必要がある。
最悪なのは、白組が勝利して1年の総合点でDクラスが最下位になる事。これだとCPが200も削られてしまうからな。
旨みはないのに頑張らないといけない。その事がクラスメイト達のやる気を更に削いでいるが、茶柱先生から朗報があるようだ。
「安心しろ。クラス毎の旨みはないが、個人の旨みはきちんと準備されている」
「個人の旨み?」
茶柱先生の言う個人の旨味とは、ようするにこういう事らしい。
○個人競技報酬(次回中間試験にて使用可能)
個人競技で1位を取った生徒には5,000PPの贈与、もしくは筆記試験における3点分の点数を与える(点数を選んだ場合他人への付与は出来ない)
各個人競技で2位を取った生徒には3,000PPの贈与、もしくは筆記試験における2点分の点数を与える(点数を選んだ場合他人への付与は出来ない)
各個人競技で3位を取った生徒には1,000PPの贈与、もしくは筆記試験における1点分の点数を与える(点数を選んだ場合他人への付与は出来ない)
各個人競技で最下位を取った生徒にはー1,000PP。(所持するポイントが1,000未満になった場合には、筆記試験でー1点を受ける)
○反則事項について
各競技のルールを熟読の上遵守すること。
違反した者は失格同様の扱いを受ける。
悪質な者については退場処分にする場合有。
それまでの獲得点数の剥奪も検討される。
○最優秀生徒報酬
全競技で最も高得点を得た生徒には10万PPを贈与する。
○学年別最優秀生徒報酬
全競技で最も高得点を得た学年別生徒3名には各1万PPを贈与する。
……色々な報酬があるみたいだけど、今までになかったようなものがあるな。
そして、俺が気になっていた事は池君が質問してくれた。
「先生! この1位とか2位とかを取った時の特典なんスけど、 筆記試験の点数を得るってどういう意味っスか!?」
「お前の想像通りだぞ。体育祭で入賞すれば、それに応じて筆記試験に補填できる点数を得る事もできる。勉強が苦手な者にとっては、大いに役立つ報酬だな」
茶柱先生のその言葉に、クラスから歓声が上がる。特に反応を示さないのは、綾小路君、堀北さん、高円寺君くらいか。
この3人はきっと、報酬の影に隠れたデメリットに気付いているのだろう。
それは、報酬が記載された資料の裏に記載されている。
・全競技終了後、学年内で点数の集計をし下位10名にペナルティを科す。ペナルティの詳細は学年毎に異なる場合があるため担任教師に確認すること。
担任教師、つまり俺達は茶柱先生に確認しないといけないわけだ。そしてこの場を逃したら、茶柱先生はもう教えてくれないだろう。一度しか説明しないって言ってたし。
皆がまだ気付いてなさそうなので、ここは俺から質問してみよう。
「先生、このペナルティってどんなものなんですか?」
俺が質問すると、茶柱先生は少し口角を上げた気がする。
「お前達1年生に科せられるのは、次回筆記試験におけるテストの減点。総合成績下位10名の生徒は、10点の減点を受けるから注意するように。どのような方法で減点を適用するかは筆記試験が近づいた時に改めて説明するためここでは質問を受け付けない。また下位10名の発表も同様に、筆記試験説明の際に通告することになっている」
つまり、テストで何点引かれるかは当日まで分からないと言うことか。
勉強が苦手な人からしたら最悪だなぁ。
俺も人ごとではないんだけど……
体育祭についての一通りの説明が終わると、次は体育祭の競技の確認が始まった。
体育祭の種目を分類すると、全員参加と推薦参加の2つに分けられるらしい。
全員参加とはクラス内全員の生徒が参加する種目。100メートル走などの個人競技や、綱引きなどの集団競技も含まれるらしい。
そして推薦参加は、クラスから選抜された一部の生徒のみが参加する競技だ。他者からの推薦でも自薦でも構わないらしく、1人が複数の推薦参加競技に出ても構わないとの事。つまりは話し合いが必要なわけだ。競技内容は借り物競争や男女混合二人三脚、1,200メートルリレーなど。
おそらく、各クラスから運動ができる人達が沢山出てくるだろうな。
「体育祭で行われる種目の詳細は、全てプリントに記載されている通りだ。変更は一切ない」
「まじ!? これめっちゃハードじゃん!」
池君が驚くのも当然。競技の量がとても多いのだ。
○全員参加種目
・100メートル走
・ハードル競走
・倒し(男子限定)
・玉入れ(女子限定)
・男女別綱引き
・障害物競走
・二人三脚
・騎馬戦
・200メートル走
○推薦参加種目
・借り物競争
・四方綱引き
・男女混合二人三脚
・3学年合同1,200メートルリレー
「普通1人がやるのって3〜4個ですよ! ていうか一日でできないでしょ!」
「問題ない。応援合戦やダンス、組体操などの種目は一切存在せず、体力、運動神経を競い合う種目のみだからな」
「えええ〜」
茶柱先生からの嬉しくもない問題なし発言で池君は力なく机に突っ伏してしまうが、そんな池君を無視して茶柱先生は一枚の紙を見せながら説明を続ける。
「ここに参加表と呼ばれるものがある。参加表には全種目の詳細が記載されている。お前達にはこの参加表に自分達で各種目にどの順番で参加するかを決めて記入し、担任である私に提出してもらう」
「自分達で参加する順番を決めるって、どこまでですか?」
平田君からの質問に、茶柱先生は即答する。
「全てだ。体育祭当日に行われる競技の全て、何組目に誰が走るかまで全部お前達で話し合って決めろ。締め切り時間以降は如何なる理由があっても入れ替えることは許されない。それが体育祭の重要なルールだ。提出期間は体育祭の1週間前から前日の午後5時までの間のみ。もしも提出期限を過ぎた場合はランダムで割り振られるので注意するように」
生徒達自身で計画を立て、勝ちを目指す試験という事なのかな? とにかく、参加表の存在は体育祭における最重要アイテムだという事だろう。
先生の説明が一区切りつくと、堀北がさんが手を挙げた。
「私からも質問よろしいでしょうか。茶柱先生」
「ああ。何だ?」
「参加表は受理された時点で変更できなくなるようですが、もしも当日に欠席者が出た場合はどうなるのでしょうか? 個人競技であれば資料に記載されている通りに欠席扱いで済むと思いますが、団体戦、特に数名で行う騎馬戦や二人三脚といった競技では競技そのものが成立しなくなりますよね」
なるほど。堀北さんの言う通りだな。
確かに二人三脚とか1人じゃ走れないもんな。
「全員参加の競技は、当日に必要最低限の人数を下回る場合には失格とされる。騎馬戦であれば1つ騎馬を作ることが出来なくなるから、本番は他クラすより1騎少ない状態で対決することになる。二人三脚も同様だ。パートナー選びも重要かもしれんぞ」
団体戦において、パートナーやチームメイトは運命共同体ってわけだ。
「だが、救済措置も用意されている。体育祭の花形でもある推薦競技のみ、代役を立てることが許される。しかし好き勝手に代役を立てられるわけじゃないぞ。代償としてポイントを支払う決まりだ」
不正行為防止の為の代償を支払わせるということか。
参加表に嘘を書いて、あえてそれを他クラスに流しておいて当日にメンバーを総入れ替えとかすれば、他クラスを出し抜けるもんな。
「付け加えて聞きますが、体調不良や大怪我を負っても、本人が希望すれば参加し続けることは可能でしょうか。それともドクターストップがかかりますか?」
「基本的には生徒の自主性に任せている。自己管理も社会に出る上で必要不可欠な能力だからな。……とはいえ傍観できない状況になれば、さすがに止めざるを得ないぞ」
「分かりました。では代役に必要なポイントはいくらですか?」
「競技に1つにつき10万PPだ」
「……なるほど。ありがとうございます」
代償は安くはないなぁ。でも場合によっては代役が必要な場面になるかもしれない。
「他に質問者がいなければ、私からの話は終わりだ」
教室を見回すも、誰も手を上げないのでこれでホームルームは終了のようだ。
「2時限目は体育館に移動し、各組事に他学年との顔合わせとなる。私からは以上だ。……まだ20分ほど授業時間が残っているな。残りの時間は好きに使うといい。雑談するのも真面目に話し合うのも自由とする」
茶柱先生が教室を出ると、クラス中が騒がしくなる。それぞれ仲の良いメンバーで集まっているようだ。
因みに俺は綾小路君・堀北さん・須藤君・池君・山内君と集まっていた。
いや、集まったというか、いつのまにか皆が堀北さんの机の周りに来ていたんだけども。
「堀北、体育祭で勝つ作戦を話し合おうぜ」
「賛成賛成っ!」
盛り上がっている須藤君達とは対象的に、堀北さんは深いため息を吐いた。
「どうしてこんな人達ばかり集まるのかしら……」
「あはは、そこまで言わなくても」
「事実よ」
文句を言いつつも堀北さんはノートを開いた。
話し合いは必要だと思ってくれている様だ。
「いいわ。何か考えがある人はいるの?」
「ああ、俺に作戦がある!」
元気よくそう言い放ったのは須藤君だ。
何やら自信があるらしい。
「全員参加は難しいけどよ。俺とツナが全部の推薦競技に出れば、組でもクラス毎でも負けねぇんじゃねぇか?」
「え? 俺も?」
須藤君の提案に思わずポカンとしてしまった。
そんな俺の背中をパンパンと叩く須藤君。
「当たり前だろ? このクラスで一番運動ができるのは俺とツナだろうしな!」
「おお! 確かにな!」
「昨日の股関ブロックはすごかったもんな」
……せめてスーパージャンプと言ってくれ。
須藤君の提案を聞いた堀北さんは、少し考え込むと頷いた。
「単純だけど、確実な方法ね。あなたと沢田君はクラス内でも飛び抜けて運動神経がいいもの。全ての推薦競技に参加するのは悪い話じゃないかもしれないわ」
「……俺もそれに賛成だな」
綾小路君も須藤君の提案に賛成の様だ。
しかし、池君には少し不満があるようだ。
「待ってくれよ。健と沢田が推薦に全参加するのは賛成だけどよ。俺らにもチャンスはくれない? 点数欲しいしよ」
「クラスの勝つ可能性を下げるとしてもかしら?」
「いや、そうだけどさ。チャンスは欲しいぜ?」
「推薦競技は普通、運動神経の良い連中が出てくるぞ。寛治は運動苦手だろ?」
「わかんねぇじゃん? 偶然勝てる可能性もあるし、チャンスは公平にすべきだろ」
池君、堀北さん、須藤君が意見を交わすも、このままでは纏まりそうもなかった。
「ん〜。細かいことはクラス全体で話し合うべきじゃない?」
「そうね。クラスの話し合いは必要不可欠でしょうね……」
俺が場を収めるために放った一言に、堀北さんが頷いてくれたが、須藤君は納得いかないようだ。
「運動のできる奴が沢山参加するのが一番だろ。ツナも堀北も甘いぜ!」
「須藤君の言いたいことはよくわかるんだけどさ。体育祭はチーム戦だし、クラスで纏まる必要があると思うんだよ」
「須藤君と沢田君の全種目参加の意志は汲むつもりよ。けれど、手放しで全部の競技に出るのを後押しはできないわ」
「なんでだ?」
「体力には限りがあるもの。立て続けに出れば消耗するし、連勝は難しいわ」
「でも、運動音痴に任せるよりよくね? 疲れてても俺達なら寛治達よりは働けるしよ」
「……今この話を続けても答えは出ないわね。次のホームルームでクラス全体で決めましょう」
堀北さんのその言葉で、俺達は解散した。
席に着くと、学生証端末からメール受信音が鳴り響いた。
(ん? メール……あ、リボーンからだ)
メールの送り主はリボーンだった。
TO ツナ
体育館に行く前に、特別棟の裏に来い。
休み時間に呼び出しなんて初めてだったけど、無視はできないのでとりあえず返信しすることにした。
TO リボーン
わかった。
そう返事を出し、クラス内を見回した。
もう皆休み時間モードらしく、ちらほらいない人も見受けられる。
(……もうすぐ休み時間だし、行ってもいいか)
綾小路君に「用事があるから先に行く」と伝え、俺は教室を出て特別棟の裏に向かった。
—— 特別棟の裏 ——
特別棟の裏には、すでにリボーンが待機していた。
「リボーン、来たぞ」
「おお」
「……で、何か話?」
「そうだ。体育祭があるんだろ?」
「うん……まさか?」
呼び出された理由に心当たりがあった俺は、リボーンの言おうとしている事がなんとなく分かった。
ニヤリと笑ったリボーンは話を続ける。
「そうだ。試験恒例の特別課題発表のお時間だぞ」
「やっぱりか……」
想像通りだったけど、体育祭における特別課題って何なんだろう。
「で? どんな課題?」
「課題はシンプルだ。体育祭の最終結果にて、『最優秀生徒』もしくは『学年別最優秀生徒』に選出されろ」
「ええ!? 厳しいだろ!」
「弱気になってんじゃねぇ。それに体育祭はクラスメイトや同級生にお前の存在をアピールする絶好のチャンスじゃねぇか」
「アピールしてどうすんだよ……」
「バカが。学年全体のボスになるには存在感がないと話になんねぇだろうが」
「あ……それもそうか」
なるほど。体育祭は最終課題をクリアする為にも重要な行事って事か。
——この時、小言丸を飲んで激スーパー化すればいけるんじゃないかと思っていた俺の考えは、次のリボーンの発言で早くも崩れ去ることになる。
「ちなみに注意事項だが……体育祭で小言丸の服用は認めない」
「ええ!?」
「ツナ、体育祭は己の力のみで戦うものだぞ」
「そ、そうだけど、陸上部とかに勝つ為には……」
「死ぬ気で頑張ればいいんじゃねぇか?」
「いや、死ぬ気と言われても、小言丸は服用禁止なのに〜」
厳しい条件に震える俺に、リボーンはもう一度念押しをした。
「もう一度言うぞ。今回の課題はいずれかの最優秀に選出される事。体育祭での小言丸の服用は認めない。あくまで己の力のみで戦うんだ」
「……わかった」
「よろしい。んじゃ、頑張れよっ!」
リボーンはレオンを気球に変化させると、ぷかぷかと空に消えて行った。
1人残された俺は、大きなため息を吐いた。
「……はぁ〜。どうしようかな……」
——そんなツナの姿を、生徒棟の屋上から2人の女子が見ていた。
1人は生気のない目をしたポニーテールの女子、山村美紀。
そしてもう1人は椎名ひよりだ。
「くすっ、沢田さん悩んでますね」
「そうですね。でも、この体育祭でツナ君はもっと強くなってくれますよ」
「ええ。なんてったって沢田さんは、複数のファミリーにより構成される裏社会の自警機関。『調停者コンチリアトーレ』のリーダーですからね」
微笑む山村に、ひよりは首を傾げる。
「……調停者コンチリアトーレ?」
「はい。未来での私達の組織の名前です」
「ああ。そう言う事ですか。ちなみに誰が付けたんです?」
「未来の沢田さんですよ」
「! ふふ、いい名前ですね」
「でしょう?」
その後、2人は笑い合いながら生徒棟内に消えて行った。
読んでいただきありがとうございます♪
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