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仮面ライダー剣 悲しみが終わる場所

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第八章

「あいつ等は確かに」
「じゃあ何でここで出て来るんだ!?」
「わからない、俺にも何が何だか」
 上條は今度は三原に述べる。そう、確かに彼等は封印した筈なのだ。
「これは私の中にあるアンデッドの記憶だ」
 不意にしわがれた男の声が聞こえてきた。
「記憶!?」
「そうだ、私の中にあるな」
 声は六人にそう語る。
「無論他のアンデッドも出せる。ただし、封印はされずに死を迎えるが」
「それを出せる・・・・・・まさか御前は」
「そう、統制者だ」
 声は相川に答える。
「私はモノリスの調停者なのだ。ジョーカー、いや相川始よ」
 統制者は相川に語り掛ける。
「戦いを再開するのだ。剣崎一真との戦いをな」
「戦い!?」
「まさかそれで」
「ああ、そのまさかだ」
 相川は乾と三原に言葉を返した。
「何故ここにライダーが三人しかいないか教えてやろう。最後に残ったジョーカーは」
 相川はライダーの仮面の下に苦悶の顔を隠していた。しかしそれは今声となってはっきりと滲み出ていた。その心までは隠すことができなかったのだ。
「俺だったのだ」
「あんたがか」
「そうだ。ジョーカーが最後に残れば世界は滅ぶ」
 彼は言う。
「何故なら俺は。何者のルーツでもないのだから」
「そうか、あんたがジョーカーだったのか」
 草加は彼を見て言う。それから問う。
「じゃあどうしてあなたがここにいるんだ?封印されずに」
「戦いを止めるには二つの方法があった」
 相川は彼に応えて今三人に語る。
「俺が封印されるか。もう一人アンデッドが現われてバトルファイトを再開させるかだ」
「バトルファイトの再開・・・・・・そんなものはどうやって」
「あんた達はそこまでは知らなかったのか」
 三原の言葉にそれを気付いた。
「かなり知っているようだが」
「生憎まだ調べている途中だったんでね」
 草加がそれに答える。
「バトルファイトが終わっていたってことだけは知っていたさ。あのダークローチが出たこともな」
「それだけだったのか」
「ああ。それでどうやって再開させたんだ?」
 今度は乾が問う。
「そんなことが可能なのか」
「アンデッドになる人間がいればな」
 橘が答えてきた。
「それで可能なのだ」
「アンデッドに!?そういえば」
 三原はここで頭の中で今ここにいない剣のことに気付いた。
「まさか剣、剣崎一真が」
「その通りだ」
 答える橘の言葉が険しくなる。
「あいつは全てを捨てて世界を救う為に」
「そうだったのか」
 乾がその言葉に仮面の下で暗い顔になる。
「それで三人だったのか」
「ふふふ、安心し給え」
 統制者の声が彼等に応える。6
「彼は戻って来る。もうすぐここにな」
「何っ!?」
「まさかそんな筈が」
 上條も相川もその言葉に声をあげる。信じられないといった様子であった。
「あいつが戻って来る。しかし俺の闘争本能は」
 相川はそこに何も感じない。何もだ。
「それも当然のことだ。まあそれはおいおいわかる」
「何が言いたい、統制者」
「私は何も言うつもりはない」
 笑いながら相川に返す。
「最早ジョーカーではなくなった君にはな」
「どういうことだ、さっきからわからないことばかり」
「けれど剣崎さんが戻って来るなら」
 上條はそれを心配していた。相川との間でバトルファイトが再開されればどうなるのか。そのことに怖れを抱いていたのである。
 しかしそこに彼が来た。人の姿で。
「剣崎・・・・・・」
「剣崎さん・・・・・・」
 相川と橘、上條がそれぞれ彼を見て声をあげる。特に相川はその表情を強張らせていた。
「御前、どうしてここに」
「始、俺は」
「運命と戦うんだな」
 ここで相川は彼に言った。
 
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