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おっちょこちょいのかよちゃん

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288 ガンマンと怪獣

 
前書き
《前回》
かよ子達と杉山達の戦闘現場となった紂王の屋敷は激しい戦いと紂王達の逃亡によって廃墟と化していた。その場を訪れた長山やさり達はある者達と交戦する。それはプテラノドンのような怪獣とガンマンの集団だった!! 

 
 本部の管制室。フローレンスにイマヌエル、先代の杖、護符、杯の所有者達はある地点を確認していた。
「紂王の東の屋敷の周辺が陥落したが、安藤りえ君も藤木茂君の奪還には失敗してしまった訳か」
「はい、あのレーニンと同化しました杉山さとし君の邪魔さえありませんでしたらできましたはずです・・・」
(かよ子・・・!)
 まき子は娘のおっちょこちょいではないかと僅かに娘を疑った。だが奈美子の方も彼女の次女と戦いに関わったと思うも何とも言えなくなった。
「だが、領土の奪還という点では良かったかもしれない。現に護符の所有者の羽柴さり君達がその場所に進んでいるからね」
「ええ・・・」
 フローレンスは別のある人物が気になった。
「私、少し外させて頂きます」
 フローレンスは退室した。
 
 ガンマンの銃撃を防弾ガラスで防いださりだったが、反対側から怪獣が襲ってきた。
「私が!」
 さきこのエメラルドとアメジストが光った。そしてもと子の玉も黒く光り、見えない所から怪獣を襲った。怪獣が苦しみだす。
「怪獣に気を取られてる場合か!」
「勿論忘れとらんたい!」
 尾藤がボールを蹴った。炎のシュートが放たれた。そしてボールは軌道を曲げてガンマン達を襲う。ガンマンは銃撃で応戦したが、尾藤のボールはそれ以上に威力があったようで、銃弾を跳ね返した。
「おおっ!」
 ボールは三人に順番に命中した。炎のボールのダメージは強烈だったようで、三人は当たった所が火傷していた。
「私とさきちゃんでこっちの怪獣は何とかします!」
「ええ、お願い!」
 さきこともと子で怪獣を相手した。
「私も行きましょう!」
 テレーズは宝剣を怪獣に向けた。
「大天使カマエルよ、どうか我々に勝機を与え給え!」
 テレーズの宝剣が光った。だが、その怪獣も負けじと衝撃波で攻撃した。
「テレーズさん!」
 さきこのエメラルドがもう一度光った。そしてもと子も己に気合を入れて怪獣に攻撃した。しかし、怪獣が放った衝撃波とぶつかった後、双方とも打ち消された。
「あの怪獣、面倒臭いわね!」
「一体何なのかしら?」
 その時、さきこの琥珀が光る。
(そうだ、確か琥珀ってのは・・・!!)
 そしてさきこの身体から怪獣と同じ衝撃波が放たれた。怪獣も同じ衝撃波を出して対処する。二つの衝撃波がぶつかり合ってお互いは一歩も引けを取らない。
「さきちゃん、私も行くわよ!」
 もと子は玉の別の能力(ちから)を行使させた。風が吹き荒れ、更には大地が動く。突風が怪獣を襲った。
「ギエエエ!!」
 怪獣が劣勢となったのか、悲鳴を挙げる。そして地面が爆発し、飛散した土の欠片が怪獣を襲った。
「す、凄いわ、もと子さん!」
 そしてさきこのルビーとサファイアが光り出した。二つの宝石の能力(ちから)がさらに風と地の力を強めて行く。そして怪獣に大量のダメージを与えた。そして怪獣は力が尽きたのか、倒れ、消滅した。

 笹山はその場で途方に暮れていた。藤木に戻るのを拒絶させられた事で己がこの世界にいる理由を見失ってしまったのだった。
《僕はもう君を忘れるって決めたんだ。手紙にもそうあったろ?僕は『前の世界』になんて戻りたくいないんだ。戻ったってまた皆から卑怯者って呼ばれるだけだよ。それにこの世界はとても楽しいんだ。いつでもスケートができるし、笹山さんみたいに可愛い女の子もいっぱいいて僕を卑怯って言わないし、もう他に好きな子だってできたんだ!今更戻って来てなんて言われても嫌だよ・・・!!》
 藤木の言葉を思い出す。藤木は元の世界に戻るのを嫌がっていた。
《僕はこの世界にいたいんだ!絶対に帰りたくないよ!》
(藤木君の決意は硬かった・・・。もう私には無理なのかな・・・?あとは山田さん達に任せて・・・。いや、山田さん達とあっても藤木君は戻って来てくれないの・・・?)
 その時、持っていたボールペンのような道具から音が聞こえた。笹山は何だと思ってボールペンを手にとって近づけた。
『こちらフローレンスです。笹山かず子ちゃん、聞こえますか?』
「フローレンスさん・・・!?」
『藤木茂君とはお会いできましたようですが、拒絶されましたのですか?』
「はい、帰ってくれって頼まれました・・・」
「そうでしたか・・・。しかし、笹山かず子ちゃん、ですからと言いましてそこで諦めましてはいけませんよ。藤木茂君がどんなに拒否し続けましょうとも取り返さなくてはいけません。そしてその道具を使用しました事で山田かよ子ちゃんに藤木茂君が何処にいるのかを教える道標を作ります事ができましたのです」
「え?そうなんですか?」
「はい、山田かよ子ちゃん達はそれで先程藤木茂君を追い詰めましたのです。残念ながら逃してしまいましたがね。何処までも藤木茂君を追い続けますのです。私達もできますだけの支援をして差し上げますので頑張ってくださいね」
「フローレンスさん・・・」
 フローレンスはそれ以上何も言ってこなかった。
(そう、だよね・・・)
「姚崇さん、 張説さん、私、この先も行くわ!」
「笹山かず子殿・・・」
「ああ、その通りだ!ここで諦めては何もならぬからな!」
 笹山達は気を取り直し、藤木を探しに出発した。

 その一方、さり、清正、長山、尾藤は三人のガンマンと交戦を続ける。
「相手がガンマンならこっちもピストルがいいかしらね!」
 さりは護符でピストルを出現させた。火傷で藻掻いているガンマン三人組に発砲した。しかし、転がりながら避けられた。
「はは、お嬢ちゃん。舐めてもらっちゃ困るぜ。銃ならこっちの方が扱いがうめえんだ!」
 ガンマンが反撃の銃撃を行った。さりは瞬時に防弾ガラスを出現させた。だがこれでは防御するのに精一杯となってしまう。
「もう一回やったるばい!」
 尾藤がボールをもう一回蹴った。だが、ガンマン達も尾藤のシュート攻撃には攻略できるようになったのか、ボールを狙い撃ちし、パンクこそしなかったものの、ボールを撥ね返されてしまった。さり達の所に尾藤のボールが帰って来る。そのボールは防弾ガラスを破壊してしまった。
「今だ!」
 ガンマンがさりに向けて発砲した。
(お、終わり・・・!?)
 さりは護符でまた防弾ガラスを出そうにも間に合わない。
「さりさん!!」
 長山が神通力の眼鏡の効果を発動させた。更に清正が空間の槍を地面に突き刺した。弾丸は長山の念力によって肉眼で確認できるようになる程遅くなり、清正の空間の槍の効果で軌道が逸れて別の方向へと飛んで行った。
「かわしやがったな!」
 ガンマンは幾つも発砲してきた。だが、それ以上弾が来ない。
「ちい、弾切れだ!」
「よし、今ね!」
 さりは自分が持っているピストルで応戦した。だが、瞬時に避けられた。
「へ、なんてな・・・」
 ガンマンが別の銃を出してさりを狙って早撃ちした。
「さりさん!」 
 その時、怪獣との交戦を終えたさきこともと子が戻って来た。さりへの銃撃がさきこのエメラルドの能力(ちから)とさり自身の武装の能力(ちから)が合わさって防御された。
「な・・・!!」
「ちい、もう一度だ!」
 ガンマンのもう一人が発砲しようとした。だが、長山の眼鏡の神通力で引き金が弾けない。そしてさきこのルビーが光り出す。
「さりさん、今よ!」
「うん!」
 さりがガンマンをめがけて三発、発砲した。ガンマン達は余裕の回避を試みた。だがさきこのサファイアも光り、ガンマン達は身体の動きも封じられてしまった。もと子の玉が黒く光り、見えないところでガンマンを攻撃する。さりともと子の攻撃が命中した。
(やった・・・?)
 さりはこれで敵を倒せたのか疑わしかった。 
 

 
後書き
次回は・・・
「屋敷での手がかり」
さり達は果たしてガンマン達を打ち破る事ができたのか。その後、長山はその廃墟で何があったのかを確認する。そしてそこで紂王がある行動をしていた事が明らかになる。それは護符の所有者の従弟にとって都合よい情報で・・・!? 
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