イベリス
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第百一話 残暑を感じてその一
第百一話 残暑を感じて
ふとだ、学校の部活を終えてだった。
咲は風を感じた、それでだった。
そのまま入ったバイト先で速水にその風のことを話すと速水は静かな声で言った。
「まだ夏ですが」
「残暑ですか」
「それに入りましたね」
「涼しく感じた風はですね」
「はい、残暑がです」
それがというのだ。
「はじまったということです」
「そうなんですね」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「その残暑が終われば」
「秋ですね」
「そうなります」
「何かずっと夏で」
今年の夏はとだ、咲は速水に話した。
「長かったですが」
「それでもですか」
「はい、私いつも夏は長く感じるんです」
「そうですか」
「色々イベントもあって」
「イベントですか」
「夏って秋葉原とか行くと色々あるんです」
東京のこの地域のことを話すのだった。
「行かなくても何処でどういったイベントがあるか」
「聞かれますか」
「はい、秋葉原でなくても東京の何処かで」
「イベントがありますか」
「やっぱり東京って色々な場所がありますから」
東京都はというのだ、狭い中でこれ程色々ある街は他にないのではないだろうか。
「イベントのお話が多くて」
「特に夏にですか」
「集中していまして」
それでというのだ。
「今年は私も夏休みあちこち行って部活も合宿があってアルバイトも」
「こちらのですね」
「もう色々あり過ぎて」
それでというのだ。
「あっという間の様で何かとあって」
「長くもですか」
「感じていて」
それでというのだ。
「残暑って言われて」
「その夏もですか」
「終わるのかなって思って」
「感慨をですね」
「持ちました」
「そうなのですね」
「はい、あと少しで夏休みも終わって」
そうしてと言うのだった。
「二学期もはじまって」
「二学期となればですね」
「はい、もう秋ですよね」
この季節になるとだ、咲は自分から言った。
「そうですね」
「はい、まさに」
「二学期になるイコール秋ですね」
「私達の感覚ではそうですね」
「八月三十一日までが夏で」
夏休みが終わることで有名なこの日がというのだ。
「それで、ですね」
「九月一日が秋のはじまりですね」
「季節の変わり目はありますが」
これを土用という、五行思想で言う土の時になるからこう呼ばれている。
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