ハッピークローバー
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第七十九話 夏の終わりでその十五
「いいだろうな」
「それお母さんも言うし」
「気を付けてくれよ」
「実はそうしてるけどね、もう」
「おばさんに言われてか」
「身体も冷えるし」
「ああ、クーラーでな」
鳴海は冷えると聞いて頷いた。
「夏でもな」
「そうなるって言って」
それでというのだ。
「それでね」
「いいことだよ、本当にな」
「夏でもなのね」
「家の中でもな」
「あまり露出ない方がいいのね」
「そうだよ、家族だって変に刺激したらな」
それが例え親兄弟でもというのだ。
「よくないし」
「冷えるし」
「かな結構冷え性だろ」
「あれっ、知ってるの」
「冬よく言ってるからな」
冷え性だと、というのだ。
「だからな」
「それでなのね」
「ああ、俺も知ってるよ」
こうかな恵美自身に話した。
「そうなんだよ」
「そうなのね」
「ああ、そうした意味でもな」
「露出は控えめね」
「そうしろよ、それでだけれどな」
鳴海はあらためてだ、かな恵に言った。
「今度どっちもオフか夜にでもな」
「夜にする?」
かな恵は自分から言った。
「どっちもいるし同じ団地の中でもご近所同士だし」
「だからか」
「夜にね」
この時間にというのだ。
「どっちかのお家に行って」
「それでか」
「お酒とかおつまみそれぞれ用意して」
「飲むか、じゃあかなの家行くな」
「結局鳴海っちが来るの」
「俺の家に来たら誤解されるだろ」
このことを考えてというのだ。
「だからな」
「私が鳴海っち呼んでも一緒でしょ」
「おじさんおばさんに明男もいるだろ」
「家族の目があるから」
「噂になってもな」
例えそうなってもというのだ。
「ちゃんと家族いたって言えるしな、最近うち父ちゃんも母ちゃんも帰り遅くてな」
「お家にいないの」
「どっちも仕事忙しいんだよ」
だから二人共帰るのは遅いというのだ。
「それで夜家にいるの俺一人のこと多いしな」
「何時位?おじさんとおばさん帰って来るの」
「九時位だよ」
夜のというのだ。
「母ちゃんが作っておいてくれた晩飯食ってシャワー浴びてな」
「寝てるの」
「普段はな、けどな」
それでもとだ、鳴海はかな恵に言った。
「二人きりだからな」
「言い逃れ出来ないわね」
「それに俺も万が一ってな」
「だから私はいいけど」
「それは早いって言っただろ」
またこう言うのだった。
「それでだよ」
「真面目ね、その辺り」
「真面目かよ、俺」
「それか奥手か」
「それかへたれってなるか?」
「そうかも。けれど間違いがない様に」
「ああ、かなの家に行ってな」
そしてとだ、鳴海は答えた。
「飲んで食ってな」
「お喋りして」
「会ってそうしような」
「それじゃあね」
「ああ、じゃあ明日か?」
「早速?」
「思い立ったらでな、夜だったらな」
この時間ならというのだ。
「二人共いるしな、コンビニで酒とか飼って行くよ」
「じゃあ私も買っておくわね」
酒やつまみをとだ、かな恵も答えた。
「それじゃあね」
「ああ、行かせてもらうな」
「待ってるね」
二人で最後は微笑んで話してだった。
この日はやり取りを終えた、だがかな恵は電話の後で鳴海に久し振りに直接会えることに喜びもう明日の夜のことを考えていた。
第七十九話 完
2023・3・23
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