八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七百話 工作員の表の仕事その十一
「連合への対策をな」
「講じていきますね」
「奥深い国の様でな」
大尉はこうも言った。
「それでだ、図書館や博物館を巡っただけではな」
「わかりきらないですか」
「様々なものを見て聞いてだ」
その様にしてというのだ。
「じっくりと学ばないとだ」
「わかりませんか」
「日本もな、ひいてはな」
「連合も」
「その様だが」
それでもと言うのだった。
「我々は我々の出来ることをだ」
「していきますね」
「そうする、ではな」
「行きますね」
「学園にな、それもだ」
大尉はさらに話した。
「一日だけでなくだ」
「何日もですか」
「巡ってだ」
その様にしてというのだ。
「学ぶぞ」
「そういえば広大な敷地と様々な施設を持っていますね」
「そうした学園だからな」
それ故にというのだ。
「じっくりとだ」
「学びますか」
「何日も、何なら一ヶ月でもだ」
「巡って」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「学ぶかもな」
「一ヶ月ですね」
「保育園から大学院まであり」
八条学園は総合大学でそこまで揃っているのだ、そしてその保育園から大学院まで進学していく者もいる。
「今言った図書館や博物館とな」
「施設もですね」
「充実しているからな」
「一月かけてもですか」
「それでもだ」
「学びがいがありますか」
「そう考えている」
大尉としてはというのだ。
「だからな」
「そうされますか」
「そう考えている」
実際にというのだ。
「私はな」
「そうなのですね」
「その覚悟はいいな」
「はい、実はです」
ここで上等兵は笑って話した。
「私は今少し期待しています」
「そうなのか」
「連合風に言うとワクワクしています」
「ワクワクか」
「はい」
まさにというのだ。
「そうした気持ちです」
「何故そうなっている」
「高校卒業以来久し振りに学校に行き」
そしてというのだ。
「博物館や動物園にも行きますね」
「美術館にもな」
「そうした場所に行くのが好きなので」
「だからか」
「動物園も好きで特に」
上等兵はさらに話した。
「鉄道博物館が」
「あの学園は博物館とは別にな」
「専門にですね」
「鉄道博物館もあるな」
「そうですね、そうした場所もです」
「行きたいからか」
「行けるとなりますと」
それならというのだ。
「まことにです」
「有り難いか」
「はい、では今日からですか」
「そうだ、教会の仕事の傍らな」
「潜入しますか」
「そうしていこう」
大尉は笑って話してだった。
上等兵と共に八条学園の内部に潜入することにした、だが学園の誰もこのことに気付くことはなかったのだった。
工作員の表の仕事 完
2023・1・16
ページ上へ戻る