八条学園騒動記
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第七百話 工作員の表の仕事その四
「武道だな」
「スポーツそして格闘技ではなく」
「そう呼ぶな」
「そしてです」
上等兵は大尉に話した。
「忍術もです」
「忍道か」
「そう呼んでいて」
この時代ではそうなっている。
「武道としてです」
「励んでいるな」
「連合では。手裏剣や様々な道具を使い」
忍者のそれをだ。
「跳躍や疾走の鍛錬をです」
「日々しているな」
「まさにスパイです」
今で言うならというのだ。
「隠れることもしますので」
「あの不思議な服も用いてだな」
「忍装束ですね」
「頭巾のあれで顔全体を覆い」
「そうですね」
「忌々しいが絵になる」
大尉は顔を顰めさせて述べた。
「忍者はな」
「恰好いいと言えばですね」
「侍や力士、公達もだがな」
こうした者達と共にというのだ。
「陰陽師といいな」
「あまりにも独特なので」
「恰好がよくだ」
それでというのだ。
「連合の中でも特に腹立たしい国だが」
「印象に残りますね」
「連合の文化は全否定されている」
エウロパではだ、さながらかつてのナチスの様にそうされているのだ。
「真似るなぞだ」
「悪役としてしない限り」
「肯定するなぞな」
「有り得ないですね」
「連合では我々を否定している」
エウロパをというのだ。
「特に貴族をな」
「エウロパ自体を全否定で」
「貴族はな」
「とりわけですね」
「否定しているが」
それと共にというのだ。
「我々もだ」
「連合は全否定ですね」
「だから日本文化もな」
「同じですね」
「剣道も柔道もでな」
「空手もですね」
「かつては柔道はフランスやオランダで盛んだった」
オランダは東京オリンピックの金メダリストだったアントン=ヘーシングの影響が大きかった。欧州柔道界きっての実力者でもあった。
「しかしこの時代ではな」
「最早ですね」
「誰もだ」
それこそというのだ。
「柔道をしていない」
「レスリングですね」
「そちらだ」
「それをして」
「柔道はな」
「しませんね」
「エウロパではな」
絶対にというのだ。
「そしてだ剣術もな」
「フェシングですね」
「剣道なぞだ」
それこそというのだ。
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