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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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崩壊する迷宮

 
前書き
あと3、4話くらいで原作に追い付きそうな現在。
原作があるとここまでストーリーを進めることが楽なんだと認識していて毎日書けてます。
この作品を更新し始めた当初もそれくらいやれていたのを考えるとモチベーションって続けやすさは大事な要因なんだと認識しました。 

 
「この道、さっきも通らなかったか?」

見覚えのある道を通りながら隣にいる緋色の女性へと問いかける黒髪の青年。それは彼女も気が付いていたようで、周囲を見渡しながら腕組みをしていた。

「さっきのモンスターといい・・・なんなんだここは・・・」
「さぁな・・・とと」

道に出来ている亀裂に足を取られバランスを崩したグレイ。しかし彼は近くにあった壁に手を伸ばし転ぶことを回避した。

ガチャッ

「「ん??」」

それと同時に何か音がする。青年は何かを手で掴んだ感触があるためそれを見ると、そこには丸い宝石のようなものが握られていた。

「あ・・・」


明らかに取ってはいけない何かを取ってしまったことで額から吹き出る汗。二人は地形が変わっていくのに気を取られていると、突然二人がいる足場が大きく開き、下へと落下していくのだった。

















シリルside

ディアボロスの黒滅竜騎団の一人、ハクを倒した俺たちは意識を失っている彼を背負いながら変わり行く地形をはぐれないように進んでいた。

「てか黒滅竜騎団って何?」
「さぁ?」

あのカラスのヒカゲも言ってたけど、それが何なのか聞いてなかった俺たちはよくわからずにここまで来ている。もしかしてディアボロス内でも別格のメンバーたちとか?それならハクの実力が高かったことも頷ける。

「にしても暑いね~」
「本当・・・ナツが暴れてるんじゃない?」
「ははっ、そうかもね」

迷宮内の温度が先ほどまでとは比べ物にならないほどに上がっている。その理由をナツさんに押し付けていた俺たちだったけど、突然不審な匂いを感じ顔を上げる。

「何?この匂い・・・」
「迷宮に何者かが侵入した!?」

誰のものかはわからない・・・いや、微かに誰かに似ているような気がするけど、それを思い出すことが出来ない。

「どこから入ってきた!?」
「あっちの方かな?」
「待って!!」

その匂いの方へと足を向けようとした俺たちだったが、シャルルに呼び止められ彼女の方へと視線を向ける。

「エルザが危ないわ!!」
「エルザさんが!?」
「もしかして予知能力!?」

ウェンディの問いに頷くシャルル。シャルルは予知能力が使えるためそれを生かして危険を回避することも出来る。発動するのはごく稀にしかないけど、それが外れることはほとんどない。

「こっちよ!!こっちに行けばエルザがいるはずだわ!!」
「わかった!!」
「急げ~」
「待って待って!!」

ハクを背中に担いでいるため三人から少し遅れて後を追いかける。しかしこの匂い、誰なんだ?ナツさん以上の炎の魔導士がいるということなのだろうか?そんなことを考えながら、俺たちはシャルルのあとを追いかけていった。


















第三者side

「はっはー!!もう奇跡は起こらんぞ!!」

次々に繰り出されるキリアの斬激。ルーシィはそれを回避することもガードすることもできずにその身一つで受け続けている。

(あたしじゃ・・・あたし一人じゃかなわない・・・)

全身がボロボロになり血塗れの彼女は今にも事切れそうだった。諦めてそのまま倒れれば楽になれる。そんな気持ちさえ出てきたその時・・・

『ルーシィ』

頭の中に響いてくる仲間の声。

「みんな・・・」

走馬灯なのかとすら思えるほど今まで出会った仲間たち・・・いや、多くの人々の姿が頭へと浮かんでくる。そしてそれは、彼女を勇気づけるには十分だった。

「そうだ・・・あたしたちの強さはギルドの絆なんだ!!」

倒れかけた身体を持ち直し敵を見据える。一糸纏わぬ目の前の敵はなかなかにシュールだが、彼女はそれを気にすることはない。

「絆だぁ?そんなんで腹がふくれるのかい?一人ぼっちで切り裂かれるお嬢さんよぉ」
「一人じゃない。あたしの身体には仲間の記憶が染み付いてる」

目を閉じればいくらでも思い出される記憶の数々。それがある限り、彼女に不可能はなかった。

星霊衣合体(スタードレスミックス)・アクエリアス×ジェミニ!!」
「姫!!そのフォームはまだ16秒しか維持できません!!」
「その16秒にかける!!」

黒と白の水着のような衣装へと変身した彼女は詠唱を開始する。するとキリアの周りに海のように水が押し寄せ、ルーシィの形をした水の人形が彼女へと襲いかかる。

「本体はどこじゃ!?」
「ここだぁ!!」
「エルザ!?」

突然背後から斬りかかってくる緋色の剣士を凪ぎ払うがそれも水でできた人形。次から次に妖精の尻尾(フェアリーテイル)の姿をした水人形たちが襲ってくるが、突然一切見覚えのない二人の女性の姿の水人形に囲まれる。

(ギルドだけじゃない。今まで出会った全ての人の記憶があたしの力になるんだ!!)

ルーシィ、ユキノ、ヒスイ、三人の星霊魔導士がキリアを囲むと彼女たちを繋ぐように魔力の囲いができる。それはまるで正三角形のようにバランスが取れていた。

「星霊三位一体超魔法・ゴッドフリート!!」

星の瞬きのような光が中心にいた女性を襲う。そのあまりの破壊力に彼女は意識を失い、水の中に沈んだ。

「これが・・・絆の力よ」

そして自らの限界をも引き出した星霊魔導士は力尽き、その場に伏せるのだった。


















シリルside

シャルルの後を追いかけ彼女が見た悪い未来を回避するために走る俺たち。すると、向かっていく方向からグレイさんとエルザさんの匂いがしてくる。

「この先か」
「エルザさん!!・・・あ!!」

ようやく二人の姿が見えてきたかと思うと、そこには地面に伏せている、恐らくディアボロスと思われる女性と彼女の横に伏せているエルザさん。そして二人を見ていたグレイさんの姿が見えた。

「うあああああ!!」

まもなく二人に合流できるかと思われたところ、突然顔面蒼白になり悲鳴を上げるエルザさん。それを見た瞬間、ウェンディが魔法を発動する。

「天竜の伊吹!!」
 恐らくシャルルが見た未来はエルザさんが・・・今目の前で気絶している女性に与えられたであろうダメージで取り返しがつかなくなるというもの。それをウェンディの素早い治癒により、なんとか回避することができた。

「しっかりしろ!!エルザ」
「エルザさん!!大丈夫ですか!?」
「一応回復の魔法をかけてますが、思ったよりダメージがひどいです」

気を失っている彼女をグレイさんが抱き上げる。それに俺とウェンディが駆け寄り、治癒魔法をかけようとした。

「シリル」
「はい?」
「なんだ?そのガキは」

グレイさんに背中にいる少年のことを問われたので俺はまずは返答することにした。

「俺が倒した敵です。ウェンディが放っておけないって」
「ウェンディらしいな」
「あの女性のそばに寝かせておけば平気ですかね」

恐らく仲間であろう女性の横に寝かせようとそちらへ向かおうとした。いい加減重たいと思い始めていたのでいいタイミングだと思っていると・・・

「やだーっ!!シリルとウェンディと一緒にいるぅー!!」
「どわっ!?」
「きゃっ!!」

突然目を覚ましたハクが俺たちに抱き付いてきた。

「痛いわ!!」
「ぎゃふ!!」

不意を突かれたことで首が締まり怒った俺は彼の頭部を叩きつける。すると、当たりどころが悪かったようで少年は目を回して地面へと倒れていた。

「これであとはナツとルーシィ、ハッピーか。どうにかして合流してーな」

ほぼ全てのメンバーが集まることができた。残りはナツさんたちだけど、彼らは先程不審な魔力を感じた方向にいるような気がしたため、そちらの方へと向かうことにした。

ゴゴココゴゴゴ

その道中、意識を失っているエルザさんをグレイさんが背負ってくれているのだが、突然先程のような自信のような震動が襲ってくる。

「なんだ!?」
「迷宮城揺れてます!!」
「崩れたりしないよね!?」

なかなか揺れが収まらないことに不安が募っていく。本当は脱出した方がいいんだけど・・・

「どうしよう~?脱出する?」
「でもナツやハッピーたちと合流できてない!!」

仲間を置いていくことなどできるはずもなく、とにかくまだ合流ができていない三人を急いで探すことにする。

「ん?」
「どうしたの?シリル」

そのまま走っていると前方に空間の歪みのようなものが現れ足を止める。そこから出てきたのは傷だらけになっているセレーネと彼女に手を引かれるハッピーだった。

「ハッピー!!」
「セレーネ!?」
「グレイ!!シャルル!!みんな!!」

てっきりナツさんたちと一緒だと思っていたハッピーだったが、予想外の人物と共に現れたことに困惑する。

「ちょっと・・・ナツたちは!?」
「どうなっているんだ一体・・・」

何がなんだかわからない俺たちをよそにセレーネはグレイさんへと視線を向ける。

「グレイ・・・だったか?そなた、宝石を拾ったな」
「いや・・・これは・・・」

何やらポケットから宝石を取り出したグレイさん。その慌てようから最初の震動の原因は彼なのかとも考えたが、セレーネはそれを力が入らない様子の身体で受け取る。

「これが土神竜ドグラマグの力の一部、ドグラコア」
「「??」」

なぜ今土神竜の話が出てきたのかはわからないが、彼女はそれを鷲掴みにし力を入れていくと、宝石は粉々に砕け散った。

「今から残り71個のドグラコアを破壊する。手伝え」
「はぁ?」
「何を突然・・・」
「いきなり何の話なの?」

勝負を仕掛けてきた相手からの協力要請に呆然としている。しかし、横にいるハッピーが大慌てで何かを話している。

「話してる時間がないんだよ!!今・・・ナツと土神竜が戦ってて・・・その宝石を壊さないとナツたちが負けちゃう!!」
「土神竜!?」
「なんで死んだドラゴンと戦ってるの!?」

土神竜はエレフセリアさんの手によって100年前に殺されたという話だった。それなのに、今ナツさんはそいつと戦っているという。

「それが生き返って暴れてて・・・ナツの攻撃が効かなくて・・・うわーん!!」
「ハッピー落ち着いて~」

相当ナツさんが危険な状態なのであろうと、ジタバタしながら泣き叫ぶハッピーを見て想像できる。しかし、セレーネがいると本当に大変な状況なのか信憑性にかける。

「手を貸そう」

どうするべきか迷っていた俺たちだったが、いつの間にか意識を取り戻したエルザさんが誰よりも先にそう答えた。

「エルザ、大丈夫なのか?」
「ああ」

グレイさんの背中から降りたエルザさんはまだ本調子ではなさそうではあるが、仲間がピンチということもあり彼女の誘うに乗った。その回答を待ち望んでいたのか、セレーネは指で空間に円を描くと、そこからルーシィさんが現れる。

「え?みんな?」
「これで全員集まったようだな」
「何?なんでセレーネがいるの?」

突然呼び出された彼女も敵であるセレーネが俺たちと一緒にいることに驚きを隠せない。だが、セレーネはそれに答える時間すらも惜しいようだった。

「説明はあとだ。このままでは世界が滅ぶ。頼む、ドグラマグを倒すために力を貸してくれ」

その言葉だけではルーシィさんも承諾できなかったが、エルザさんが彼女と視線を交じ合わせると、ただ事ではないとすぐに察知してくれたようで何も言わずに頷いてくれる。

「これから残り71個のドグラコア付近に転送する。私はここで中継しよう」
「よくわかんないけどそれを全部破壊しないとナツが土神竜に勝てないってこと?」
「あい」
「うーん・・・ナツくんならなんとかなりそうな気もするけどな~」
「そう言う相手ではないのだ」

彼女の空間移動の魔法でそのドグラコアと呼ばれるものを破壊することが今回の俺たちの役割・・・なんだけど・・・

「俺たちが加勢に行けばいいのでは?」

俺たちがいけば人数的にも十分だし、何より俺とウェンディは滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)。生き返ったばかりのドラゴンなら、アルドロンの時と同様になんとかできそうな気もするけど・・・

「何人で立ち向かおうが相手に全くダメージが入らなければ無意味と知れ」
「確かに・・・そうですね」
「わかったよ。じゃあ急いだ方がいいってことだな」

ウェンディとグレイさんがそう言う。ドグラマグの肉体はこの迷宮の壁と同じ性質なためダメージを与えることが出来ないらしい。それを覆すためにそのドグラコアを壊す必要があるとのこと。それを聞いたルーシィさんは、嬉々としてある星霊を呼び出した。

「71個もあるんでしょ?人員は多い方がいいわね。プルー!!ピクシス!!手伝って!!」

呼び出された二人のうち、ピクシスは頭の方位磁石を回転させると、ドグラコアの場所を察知したのかある方向を指差す。

「ピクー!!」
「あっちに一つあるみたい!!」
「いや・・・場所は私が把握している」

セレーネの言葉にショックを受け壁際に座り込む二人。哀愁漂うその姿にいたたまれない気持ちになったが、今はそんな時間もないのですぐに行動に移ることにした。

「急ぐぞ!!」
「「「「「おおっ!!」」」」」

セレーネの書いた別の空間への入口に一斉に飛び込む。

「あれか!!」

すぐ目の前にそれらしいものを見つけすぐさま破壊する。破壊したらすぐに入ってきたゲートに飛び込みセレーネのもとへと戻る。

「壊しました!!」
「よし!!次はこちらのゲートだ」
「はい!!」

それを何度も何度も繰り返してドグラコアを破壊していくのだった。

















しばらくその行動を何度も繰り返していくと、ゲートで元の場所に戻った際にみんなが集まっていることに気が付く。

「全部壊せたの?」
「それが・・・」

先にその場にいたウェンディに問いかけるが、何かがおかしい。俺はセレーネの方を見ると、彼女は今にも事切れそうな表情の中、困惑していた。

「あと一つ・・・あと一つ壊せばドグラマグを弱体化できるのに・・・その一つの場所がわからぬ・・・」

どうやら最後の一つが元の場所から移ってしまっているらしく特定することができないらしい。その一つが残っている限り、ナツさんたちがドグラマグに勝つことはできないとのこと。

「これのことか?」

どうすればいいのかわからずにいた俺たちの背後から聞こえてくる女性の声。そこには何度も戦ってきたディアボロスの三人組の姿があった。

「キリア!!」
「お前・・・」
「勘違いするな、スザクのためじゃ。ワシにとっては仲間じゃからな」

どうやらナツさんとスザクさんの共闘で土神竜に戦いを挑んでいるらしく、意外にも仲間想いな彼女は最後のドグラコアを破壊した。

ガクッ

そしてそれを見届けたと同時に、力尽きたのかセレーネが膝をつく。

「セレーネ!!」
「しっかりせんか!!マスター!!」

息も絶え絶えで顔色も悪いセレーネ。しかもさっきまでドグラコアを破壊するために次々に俺たちのことを別空間へと運んでいたこともあり、魔力の消耗も激しい。

「ウェンディ!!治せるか!?」
「ずっと治癒の魔法をかけてますが、魔力の消耗が激しいみたいで・・・」
「全然傷が塞がらない・・・」

話を聞いた限りだと、先ほどここに炎神竜が来ていたらしく、そいつとセレーネは戦って負傷したらしい。神の名がつくドラゴン同士の戦いとなれば、それだけのダメージがつくのも無理はないか。

「これからどうするの?」
「ナツの加勢に行こう!!」
「い・・・いや、迷宮を出よ・・・仲間を信・・・じる・・・ならば・・・」

ナツさんたちの加勢に向かおうにもその場所もわからない上に今のセレーネに無理をさせることも出来ない。そのため俺たちは彼らの無事を祈りながら、その場から撤退することになった。

















「あ!!あのじいさん!!」
「うわ!!大丈夫ですか?」

出口を出ると、いつの間にかセレーネの魔法からこの地へと戻されていたエレフセリアさんが倒れており駆けつける。幸い気を失っているだけで、外傷もほとんど見受けられない。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

その直後、周囲に何度目だろうか、震動と共に地響きが聞こえてくる。その大きさはこれまでの比ではなかった。

「エレフセリア殿を守れ!!」
「任せろ!!」
「おい!!セレーネ!!しっかりせぬか!!」
「だ・・・大丈夫だよ、シャルル」
「痛いわ、ウェンディ」

倒れている二人を守るように声をかけるグレイさんとキリアさん。不安な気持ちを和らげるためなのか、ウェンディはシャルルを抱き締めている。

「シリル~、僕も僕も~」
「はいはい」

それに乗じてセシリーがピョンピョン跳び跳ねて抱っこをねだってくるので抱き締める。その直後、迷宮が崩れているのが目に入った。

「迷宮が崩れているでヤンス!!」
「ナツ・・・」

心配で出口から目を離せなくなる俺たち。もういつ崩れてもおかしくない状況の中、そこから先ほど倒れていた女性とハクが出てくる。彼の手の中には、見たことがある雰囲気の人形が二体抱えられていた。

ポンッ

彼が勢いよくそれを前に投げ出すとナツさんとスザクさんな元の姿へ戻りながら地面へと倒れる。傷だらけの彼らを見た俺たちは二人の戦いが激戦だったことを理解し、また、その勝利を喜んだのだった。






 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
もう少し改編してもよかった気もしますが、あくまで100年クエストは原作に忠実にやっていこうと思ってます。
あくまでオリジナルストーリーに繋げるための一部と言う考え方が私の中であるので・・・
ただ次の話は遊びます。全力で遊ばせてもらいます、思い付いたネタがあるのでそれのためだけに遊びます(*・ω・)ノ 
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