有栖キャロの小学校物語
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第15話 文化祭に遊びに行きました
「それじゃあみんないるな?」
準備が出来たかアギトがみんなに聞きます。
時刻は8時45分。
お兄ちゃんの学校の文化祭は9時からなのでこれから学校へ向かいます。
「私達は大丈夫だよね?」
「うん!!バッチリ!!」
「朝あんなに早かったのに元気ね………」
キリエさんが疲れたように呟きます。
元気なのはレヴィです。今日も4時半頃に起きて、皆を起こし、ディアに怒られたのにも関わらずそのテンションは下がることを知らないです。
「優理、どうしたのだその頭」
「星にまとめてもらった」
ユーリと優理はどちらも同一人物。双子でも無いので全く見分けが付きません。
喋りさえすれば問題無いのですが、流石に不味いとの事で、優理は髪を後ろに丸く束ねて、ユーリとは別の服を着ています。
ちなみに平行世界から来た皆さんも、それぞれ服をお姉ちゃん逹に借りて着ています。
流石にあの格好では目立ちますからね………
「それじゃあ行くか!」
アギトの一言で皆家を出ました。
「やあ」
学校に向かっている途中、ジェイルさん、ウーノさん、クアットロさん、ディエチさんが私達に気がついて声をかけてくれました。
ジェイルさんは前日にはもう地球に来ていて、軽く観光を楽しんでいたみたいです。
ちなみにジェイルさんは眼鏡をかけ、髪型を若干変えている気がします。
しかしそれ以上にジャケットを着ているジェイルさんに何だか違和感を感じます………
「こんにちはー!」
「あら、レヴィは元気ね」
「うん、楽しみにしてたから!!」
「だからって朝の4時に皆起こさなくていいのに………」
シェテルの呟きが聞こえたのか苦笑いするウーノさん。
「まあ子供らしくていいんじゃない?」
「たわけ!我がどれだけ眠かったか分かるか?」
「いいじゃない、ちゃんと来れたんだから」
「黙れ眼鏡」
「………ちょっと?眼鏡がチャームポイントみたいな言い方やめてもらえるかしら?」
「「違うの?」」
ダブルユーリにそう言われ、崩れるクアットロさん。
真実って残酷ですね………
「………で、これが例の物だよ。問題点などある程度改善できた。エネルギーは使うけど、リスクを減らしてこっちの世界限定だけど次元転移出来るようになったよ」
「あれだけの短時間でそこまで………」
「ありがとうございます、ジェイルさん!」
「いやいや、データも貰えたし私としても嬉しい限りだよ」
ジェイルさんはアミタさんとキリエさんと何やら重要な話をしています。
まあ私には関係無さそうですが………
「それより早く行きましょう」
「そうだね、もう始まっちゃうよ」
シュテルとディエチさんコンビがいつの間にか先にいました。
「アイツらが一番楽しみにしてたんじゃねえか?」
「ふふ、そうですね」
アギトと共に、苦笑いしながら2人を追いかけました。
「大丈夫ですか………?」
「大丈夫よ、だからキャロ逹は友達の所へ行ってきなさい」
学校に着き、私と優理、そしてアギトがエローシュ君逹と共に行動することになっていたのですが、シュテル逹の行動力がどうも心配で、アミタさんとキリエさんだけで大丈夫か不安になってきました。
ちなみにジェイルさん逹は既に別れました。
ディエチさんが教えてくれましたが、どうやらジェイルさんとウーノさんを2人っきりにさせたかったみたいです。
2人って恋人同士だったのですかね………?
「おーい、キャロー、優理ちゃーん!!」
大きな声で呼ぶのは夏穂ちゃんです。既に皆いますね。
あっ、メガーヌさんとゼストさんだ。
「「おはようございます!!」」
「ああ、おはよう。そしてそっちの子は初めてだな」
「初めまして、有栖アギトです」
「ゼスト・グランガイツだ」
「メガーヌ・アルピーノよ、よろしく」
そうだった、アギトは会ったこと無かったんだ。
「私はルーテシア・アルピーノです」
「僕はエリオ・モンディアル」
「私は千歳夏穂」
「僕は小岩井佐助」
「わ、私は真白雫です」
「俺は江「「「「「「「エローシュ」」」」」」」おい、お約束だけどまさか優理ちゃんまで合わせてくるとは………」
「触らないで、喋らないで、変態が移る」
「移らねえよ!?」
これもお約束ですね。ただ優理の場合は真剣に言ってるのでしょうけど………
「じゃあエローシュでいいな」
「………もう良いです、良いですよ!」
不貞腐れたエローシュ君を見て、みんなで笑いました。
自己紹介を終えた私達はルーちゃんのお父さんとお母さんと別れ、私達だけで回る事にしました。
これを気に、ゼストさんとメガーヌさんの仲が進展すればいいんですけど………
「じゃあ先ずはお………」
「ストライクアウト行かない?私野球得意」
「タOガースファンとして挑戦しない訳にはいきません!」
「おばけ屋敷………」
「エローシュ………」
「佐助………」
「「ううっ………」」
「どんだけ行きたいんだお前ら………」
抱き合う2人を見てアギトが呆れながら呟きました。
しかし残念ながらこれだけは譲れません!
入って早々、野球部の出し物にストライクアウトがあったんです。
野球人として、タOガースファンとして、私とルーちゃんが黙っていません!!
と言うことでみんなでストライクアウトをすることになりました………
「じゃあ、小学生低学年の子供逹はここからね。そこの赤い髪の女の子は何年生?」
「えっ、アタシか?」
そう聞かれて戸惑うアギト。
確かにちょっと私達よりは大きいですし、大人っぽい口調なので分かりませんね。
(なあキャロ、どうすればいいと思う?)
(う〜ん、アギトならちょっと小さいけど小4位に見えるんじゃない?)
(そうか)
念話で話した私達。
「アタシは小4だ」
アギトは4年生でいくことになりました。
「そうか、なら後ろにある線からね」
ストライクアウトは私逹全員することになりました。
優理も何故かやる気満々なのが謎ですけど………
「先ずは私からね」
夏穂ちゃんがニヤリを笑みをこぼしながら不敵に言います。
「じゃあ持ち球は12球ね」
「それじゃあ行くわよ!!」
夏穂ちゃんは足を高々と真上に上げ、綺麗に一本足で立ちました。
あれ?何かの漫画で見たことあるような………
「でやー!!」
大きな掛け声と共にボールを投げました。
ボールは真っ直ぐエローシュ君の方へ………あれ?
「ふごっ!?」
「あれ?何で?」
「俺のセリフだー!!何で的に投げないで俺の方へ投げるんだよ!!」
「むしろ何でアンタが的の方へいるのよ………」
ルーちゃんが言うように何故かエローシュ君は的の1m横辺りにいました。
「ごめんなさい、あそこに何か光る物があるって言ったから………」
どうやら原因は真白ちゃんみたいです。
「だけどエローシュに真っ直ぐボールが行くなんて………」
「エローシュはそういう星の下に生まれてきた」
「星かよ………」
アギトの突っ込みは最もだと思います。
星お姉ちゃんはボールに愛されてるとお兄ちゃんが言ってましたから。
「ああっ!?」
夏穂ちゃんは結局3枚だけ抜いて終わりました。
球は速いのですが、ノーコンで、どうしても1枚は取りたいと言ったので、嫌がるエローシュ君をストライクアウトの後ろに縛り付けてやってみたら見事に3枚連続で抜けました。
本当に謎です………
「次は僕。エローシュ、ストライクアウトの後ろに………」
「絶対嫌だぞ!!」
「エロ本2冊」
「乗った!!」
変り身早すぎです。
「まあ当然没収ね」
「あの2人は学習しないわね………」
「まあそれがエローシュ君ですから………」
「何だか零治を見てるみたいだな」
「レイ兄もこんな感じ?」
「う〜ん、お兄ちゃんの場合は隠してるエロ本を星お姉ちゃんに全て没収されてるって感じですかね」
お兄ちゃんも諦めませんからね………
「レイ………ロリータ物以外だった怒る………」
「「「「「「……………」」」」」」
優理の将来が心配でたまらないです………
「次は僕だね」
佐助君は5枚、真白ちゃんが1枚、アギトが2枚とまだパーフェクトは出ません。
真白ちゃんは的にボールが届くか届かないか位の微妙なふわっとしたボールで何とか1枚を。アギトに関しては普通にコントロールが悪くて2枚しか取れてませんでした。
それでも初めてボールを投げるのでかなり凄いですね。
本人曰く、テレビで投げてるピッチャーをマネしただけだって言ってました。
そしてエリオ君の番です。
「よし!」
綺麗なフォームから放たれるキレの良い真っ直ぐは狂いもなく的を抜いてます。
その姿は絵になるほどなのですが………
「「ううっ………」」
私とルーちゃんは素直に応援出来ません。
何故なら………
「くっ、スOローズファンめ………」
ルーちゃんの呟きの通り、なんとエリオ君はスOローズファンなのです!!
エリオ君はあの球の速い佐藤選手が好きみたいです。
お兄ちゃんもいい趣味してると言ってましたが、私にはそうは思えません。
タOガースだって球の速い藤河がいるのに………
ただ単にヤOルトが安くなるだけじゃないですか………
「外せ、外せ………」
もはやルーちゃんは応援すらしてないです。
そしてエリオ君もそんなルーちゃんの思いを踏みにじるかの様に淡々と的を射抜いてます。
「ノーミスで8連続………」
野球部の人も驚いてます。
「これで………最後!!」
「外せー!!」
しかし、ルーちゃんの思いも虚しく、エリオ君の投げたボールは真っ直ぐ的を射抜いたのでした………
「………」
「あのさルー、そんなに睨まなくても良いんじゃないのかな………?」
あの後、私が7枚、ルーちゃんが8枚で結局勝てませんでした。ルーちゃんは3番が最後までどうしても抜けなくて、終わった後とても悔しがってました。
あっ、ちなみにエローシュ君は3枚です。余りにも普通だったのでだれも触れませんでした。
そして優理は………
「………」
「なあ優理も機嫌直せよ。たかがゲームなんだからそんなにむきにならなくても………」
「ううっ………」
優理はボールなんか投げたことが無いので、あっちらこっちらとボールは的を大きく外し、結局フレームにもかすりもしませんでした。
「優理、そんな顔してたらお兄ちゃんが困るよ。もっと楽しそうにしなくちゃ」
「!?分かった!!」
優理は返事をするとさっきまで泣きそうな顔をしていたのに、今では素晴らしい笑顔です。
「零治効果凄いな………」
「まあ優理ですから」
とこっちはこっちで話している内に………
「次、お化け屋敷行こうぜ〜」
次の目的地が決まったみたいです。
「おや?キャロ君逹ではないか」
私達はもの凄くリアルで怖いと噂になってるお兄ちゃん逹のクラスに来ました。
噂になっているのにも関わらず、お客さんが並んでいる訳でも無く、何だかここだけ隔離されてるかのように、お兄ちゃんのクラスの前の廊下だけ誰もいませんでした。
そこにちょうど、ジェイルさんとウーノさんがやってきました。
2人で腕を組んで仲がよさそうです。
「どうしたんだ?」
「娘逹にたまには2人で回ってみたらと言われてね、ここのお化け屋敷を勧められたから一緒に来てみたんよ」
「全く、クアットロ達にも困ったものです………」
と言ってますがウーノさんは嬉しそうです。
「すごい美人………」
「そして男は根暗そうなのに………」
「「ちっ」」
「やめなさい!」
ジェイルさんに舌打ちしたエローシュ君と佐助君に夏穂ちゃんが拳骨をプレゼントしました。
そんな事をしていると、受付をしているの男の人が話しかけてきました。
「………取り敢えず警告しておくけど、入るならそれなりに覚悟するべきだよ。」
「か、覚悟って………?」
「この肝試しをチャレンジして帰ってきたのはこのクラスの零治、アリサペア、それとライだけだ」
「お兄ちゃんとお姉ちゃん、それとアリサさんだけ………?」
「零治の関係者だけってのが怪しいな………」
お兄ちゃんやお姉ちゃん達はかなり怖いと言ってましたが、クリアした人数が3人しかいないとは聞いていませんでした。
しかし………
「それを聞いて………」
「黙っていられないわね………」
「私も俄然やる気出てきた………」
「私もお兄ちゃんに続く!!」
話を聞いたエローシュ君、夏穂ちゃん、ルーちゃん、優理が燃えてます!
「ね、ねえキャロちゃん、私も行かなくちゃいけないのかな………?」
「う〜ん、でも私もお化けとか苦手だから出来れば入りたく無いんだけど………」
「駄目だね、これは強制参加な」
「そうね、2組に分かれましょ」
エローシュ君と夏穂ちゃんに勝手に決められ、私達には拒否権がありませんでした………
チームはエローシュ君チーム(エローシュ君、夏穂ちゃん、私、真白ちゃん)とルーちゃんチーム(ルーちゃん、エリオ君、佐助君、アギト、優理)になりました。
チームを決めている内にジェイルさん達は中に入っていきました。
「さあ、入るならこれを手に着けて」
そう言って受付の人に数珠の腕輪を渡されました。
「これは?」
「その数珠が道を示してくれるので、中に入ったら絶対に無くさないように。無くしたらリタイヤも出来なくなるし、迷って出られなくなるから絶対に無くさないように………」
………何だかとても不安なんですけど。
しかも2回無くさないように釘を刺されましたし………
「じゃあ、気を付けて………」
そう言われて、私達は順番に中に入っていきました………
「ここは………?」
中に入ると何故か景色が墓地に、振り返ると入った筈のドアが消えていました。
「え、エローシュ、これどういう事………?」
「俺にも分かんねえよ………」
そんな状況に困惑するエローシュ君と夏穂ちゃん。真白ちゃんはエローシュ君の服の端をしっかり握って放しそうに無いです。
「そ、それにしてもキャロは怖くないのか?」
「初めてなので何とも言えないです。ただちょっと怖そうですけど」
今の私はどうやら恐怖より好奇心の方が勝ってるみたいです。
怖いですけど、それ以上にどんな感じなのか楽しみです。
「取り敢えず進むか………後真白さん、出来れば放してもらえると助かるのですが………」
(ブンブン!!)
「分かった、このままで良いよ………」
一生懸命首を振る真白ちゃんにエローシュ君は諦めたみたいです。
こうして私達は中へと進む事にしました………
「あれ?エローシュ達は?」
私達が扉の中に入ると、前に居た筈のエローシュ達の姿は無く、いきなり景色が墓地になった。
「本当だ、前にいたはずなのにな………」
「理解不能………」
「何だか別の場所に転移させられたみたいだね………」
エリオの言葉は最もだ。
後ろを見ると入ってきた扉は無くなっていて、完全に別の世界に居るみたいだった。
「取り敢えず進もう。ここにいても埒があかねえ」
「そうだね、行こう」
優理の言葉に私達は頷き、奥へ進むことにした………
「「きゃー!!」」
「ぎゃー!!」
「でやっ!!」
後ろから襲ってきた一つ目の男の人を放り投げる夏穂ちゃん。
これで犠牲になった妖怪さんは数知れず。
最初にこっちに飛んできた火の玉を蹴りでかき消す夏穂ちゃん。
一つ目で一本足の傘が飛んで来た時には石を投げて落とす、そしてエローシュ君に当てるのも忘れていない。
墓下から出てきたゾンビには映画の様に首を90°曲げて倒してました。
泡吹いていましたけど大丈夫でしょうか………
夏穂ちゃん、叫び声を上げながらもよく戦えるなぁ………
「うん!いい運動になる!!」
「もはや普通のお化け屋敷の楽しみ方じゃねえ………」
「夏穂ちゃん強い………」
「伊達に鍛えてないわ、これくらいの相手なら問題ない!!」
「夏穂ちゃんも結構人間離れしてますね」
「………それは私が人外だって言いたいのかしら………?」
「「「ごめんなさい………」」」
「あれ?何で皆謝ってるの!?」
思いは同じだったみたいです。
「………派手にやらかしとるの、ガキンチョ共」
不意に声をかけられたので、その声の方を向くと、そこには無かったはずの満開の桜の木の下に寄りかかってる男の人がいました。
長い黒髪で和服を着ています。手にはお酒の杯でしょうか?
「アンタ誰よ………?」
「口の聞き方には気を付けた方が良いぞ、ガキンチョ」
そう言った男の人はいつの間にか夏穂ちゃんの後ろに立ち、腕を掴んでいました。
「くっ!?」
「しかしこんなにも幼いのに対した腕だの………儂の組に欲しい位じゃ」
「その手を離せ!!」
エローシュはすかさず、その男の人に向かっていきます。
「エローシュ君!!」
「甘いわ小僧」
しかし簡単に退けられ、エローシュ君は足払いをされ転んでしまいます。
「真白!!」
「えい!!」
しかし避けた直ぐ後に太い木の棒で真白ちゃんが男の人の手を叩きました。
「なるほど、自分を囮にするとはの………だけどやっぱりガキンチョの力ではどうしようも………」
「夏穂!!」
「てい!!」
真白ちゃんに注意がいった瞬間に夏穂ちゃんが男の人の腕を絡ませ、転ばせました。
「いててて………こりゃ一本取られた」
男の人は嬉しそうに笑って言います。
「こんなガキンチョな俺達でアンタに勝つにはどうしても夏穂の力がいるからな」
「くく、中々切れ者だの………だが、元々お前達をどうこうするつもりは無いわ」
「えっ!?なら何をしに………?」
「これ以上妖怪達に暴力をしないで欲しいと言いに来んだが………」
「なら手を出さないで下さいよ………むしろアンタ誰なんですか?」
「そう言えば名乗って無かったの、儂はぬらりひょん、妖怪達の総大将にして、この肝試しの責任者だ」
ぬらりひょん?知らないです………
ですけど他の3人はあんぐり口を開けて固まってます。
「夏穂ちゃん、ぬらりひょんって凄いの?」
「キャロは知らないの!?かなり有名な妖怪なんだけど………」
流石の私も妖怪さんには詳しく無いんです。
………まあ知らない事は多いんですけど。
「だからお前らガキンチョをどうこうする気は無いんじゃ。今回もライのお願いで店を手伝っているだけで、本来ならばこんな事はしないのだが………」
「ライお姉ちゃん!?」
「うん?娘っ子、ライを知っているのか?」
「あの………私有栖キャロって言います」
「そうか、お前が!!よく来たの歓迎するぞ!!」
私の手を握り、握手するぬらりひょんさん。
う〜ん、どう見ても妖怪には見えないな………
「あれ?キャロ?」
ぬらりひょんさんと話していると、後から入ってきたルーちゃん達がやってきました。
「何してるんだ?」
「アギト達追いついたんだね。………えっと、ぬらりひょんさんに注意されちゃって………」
「ぬらりひょんって百鬼夜行の?」
「百鬼夜行?」
優理もやっぱり私と同じで知らないみたいです。
「儂が妖怪を引き連れて歩く、パレードみたいなもんじゃ」
「へえ………」
微妙な返事ですけど、分かっているのでしょうか?
「ねえエリオ」
「大丈夫、言いたい事は分かるから………」
私とぬらりひょんさんの会話を見て、ルーちゃんとエリオが話したのでした………
「お〜い、お客連れてきたぞ〜」
あの後、私達はぬらさん(こういう風に呼べと言われた)連れられて、墓地に立つ、年季の入った旅館みたいな所に連れてこられた。
ぬらさんがいると妖怪さん達が大人しいというか、夏穂ちゃんにビビってるというか………
視線は感じるんだけど、ビビってるって感じでした。
ちなみにルーちゃん達は墓地を普通に歩いていただけらしいです。
所々、気絶してる妖怪達を見かけたらしいのですか、驚かされたりはしなかったらしいです。
なのでルーちゃんがつまんないとブーブー言ってましたが、文句なら夏穂ちゃんに言って欲しいです。
「おかえりなさい総大将」
「おう雪江、お客さん連れてきたからジュースとつまみ用意しといてくれ」
「はい分かりました」
出迎えてくれた白い美人の女性に指示を出し、とっとと進んでいきます。
えっと、靴とかどこにおけば………
「ああ、靴は側にある下駄箱にでも突っ込んでおけ」
ぬらさんは大雑把ですね………
まあ言われた通りに適当に入れますけど。
「ほら、座れ座れ」
案内?された先は宴会場みたいな広い部屋でそこには人盛り………いや、妖怪盛り?が出来ていて、中心から聞き覚えのある声が………
「いえーい!僕の勝ちー!!」
「ぬあー!!!!!」
女性の頭が天井まで伸びてる………
「おい、ライお客さんだ」
「お客さん?………ってキャロとアギトにルーとエリオじゃん!それと後は友達?」
「あっ、初めまして。千歳夏穂です」
「真白雫です」
「小岩井佐助」
「江口伸也っす」
「あっ、それは偽名で、本名はエローシュ君だよ」
「ちょっと、キャロさん!?」
「ああ、君がエローシュ君なんだ。話はよく聞くよ」
「絶対良くない話っすね………」
「エロ本が大好きな男の子って聞いてるよ」
「予想通りね」
「まあ真実だしな」
とそんな話をしていると………
「ライ、もう一度勝負よ!!今度こそ勝ってみせるわ!!」
天井まで伸びた首を縮めながらライに話かける女性。
「ろくろ首だ………」
「凄い………」
(ブルブル)
「大丈夫だって真白………」
皆、それぞれ色んな反応ですね。
真白ちゃんだけは夏穂ちゃんの服の袖を掴んで震えていましたけど………
「それよりライは何をしてるんだ?」
「ちょっと様子を見にね。その内ポーカーしよって言われてやってたんだ」
「お前文化祭なのに何してんだか………」
「だって、レイはどっか行っちゃうし、星と夜美も途中ではぐれちゃったし………」
「はあ………まあ人それぞれだけどさ………」
アギトがため息を吐きながら言います。
確かに1人でも文化祭を回ってればいいのに………
「ねえ、ライ姉」
「何?」
「あの子って誰?」
ルーちゃんが言った先にはふすまの影に隠れてる私達と同い年位の女の子がいました。
白くて綺麗な肌、髪は水色でまるで氷みたいに綺麗です。
「ああ、彼女は雪ん子の雪美ちゃんだよ。雪江さんの娘さんなの」
「へえ………」
しかし、ライお姉ちゃんが答える前にエリオ君は雪美ちゃんに近づいていきました。
「ひっ!?」
「あっ、ごめん、脅かすつもりは無かったんだ………僕はエリオ・モンディアル、君は?」
「雪美………」
「雪美ちゃんって言うんだ………ねえよかったら一緒に遊ばない?」
「………良いの?」
「うん、一緒に遊ぼ!!」
「うん!!」
エリオ君はその子の手を掴み、こっちに連れてきました。
「ねえこの子も混ぜて一緒に遊ぼうよ」
「私は良いですよ、だけど………」
「………私も良いわ」
ルーちゃんがもの凄く怖いです………
「よろしくお願いします………」
「じゃあトランプでもしようか、あそこにいるエローシュ達も混ぜて………」
「ロイヤルストレートフラッシュ!!」
「イカサマね」
「イカサマ」
「イカサマは駄目ですよエローシュ君」
「何で俺イカサマ扱いなの!?」
妖怪の皆さんとトランプしてました………
流石、馴染むのが早いです。
「7のダブル………」
「よっしゃ!!1のダブル!!これが通れば俺の………」
「あっ、2とジョーカー使います」
「うそっ!?」
雪美ちゃんの出したカードに頭を抱えるエローシュ君。
あの後、雪美ちゃんを含めた私達は皆で大富豪をしています。
ライお姉ちゃんはまた星お姉ちゃんと夜美お姉ちゃんを探しに行くって出ていきました。
なのでここには私達と妖怪の数人しかいません。
「ナイス、雪美ちゃん!」
「はい」
「これでエローシュがビリそうね」
「ま、まだだ、まだやられんよ」
「じゃあ僕が上がって………」
「アタシも上がりだ」
「あっ、私もです」
順番にエリオ君、アギト、私が上がりました。
「私は2を出して、その後に4で上がりです」
「私は8で切って、3で上がり」
「えっと………私も8で切って、5で上がりです」
その後直ぐに、真白ちゃん、夏穂ちゃん、雪美ちゃんが上がりました。
「頼む、5以下のカードで………」
祈るエローシュ君。対するルーちゃんは顔が険しいです。
「………どうやら俺の勝ちみたいだな」
ルーちゃんの表情を見て安心したのか、エローシュ君が勝ち誇った顔で言います。
「私の負け………」
そう言ってルーちゃんはカードを出します。
「運が無かったなルー、日頃の行いが悪いからこんな事に………」
そう言いながらルーちゃんのカードを見ると………
「日頃の行いが悪いから負けるんだよエローシュ」
カードは6でした。
「うがー!!!」
「キャ!?こら暴れるなバカエローシュ!!」
「がー!!!」
我を忘れて暴れるエローシュ君でしたが、夏穂ちゃんの手によって直ぐに鎮圧されました………
「今日はありがとうございました」
「おう、こっちも楽しかったぞ」
時間は文化祭終わる3時。
結局お昼までご馳走になって、ギリギリまでみんなで遊んでいました。
「………」
「雪美ちゃん、そんな顔しないで………」
「また一緒に遊びましょ」
「だな、ライに頼めば会えるだろうし」
「うん………」
真白ちゃん、夏穂ちゃん、アギトの順に慰めますが、暗い顔のまま下を見ています。
「そんな顔するな。また会えるって」
「雪美はもう友達」
「そうですよ、私達はもう友達です」
エローシュ君、佐助君、私と声をかけてやっと顔を上げました。
「今度は別の遊びもしましょう」
「だからまた今度」
「うん、ありがとうみんな。ありがとうエリオ」
そう言ってやっと笑顔になりました。
「それじゃお世話になりました」
「おう、またなガキンチョ共」
こうして私達は帰りました。
文化祭って言うよりは妖怪達とずっと一緒でしたけど、とても楽しかったです。
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