| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

その小さな女の子のことが気になってしまったんだが、どう接していけばいいんだろう

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

13-2 初めての 二人だけでお泊り旅行

 4月に僕は、本庁のスポーツ振興課に転属になっていた。そして、自分の優柔不断さにあきれる僕は、ななのの押されるままに、4月に入って宿を予約していたのだ。ななのは、覚悟をして出てきているのかは、わからなかったけど、お母さんには僕の実家に行くからと言ってきたみたいだったのだ。

 駅に現れたななのはタータンチェックのワンピースにブラウン系のカーディガンと少し厚底のスニーカーを履いて、トートーバッグを肩から下げていた。僕の気のせいか、大人びた恰好をしてきたようだ。

 まずは、神戸異人館街を目指していた。ななのも神戸は初めてだと言っていたので、楽しみにしていたようなのだ。三宮から坂道を上っていく途中でも、いろんな店を飲食店なんかも覗いていて、風見鶏の館に着いたのは、もうお昼に近かったのだ。

 僕は、駅で買ってきたサンドイッチをベンチに座って食べ出したのだが、ななのは早く見て回りたいのか、落ち着かない様子でキョロキョロしていた。カーディガンも脱いで腰に巻いたり、肩から巻いたりして、どっちカナーと悩んだりもしていた。

「ななの そんなに 時間も無いからね 異人館はどれか一つ 見晴台にもいきたいだろう? 旅館にも4時ごろには着いた方がいいだろうからー」と、言うとななのは少し、不服そうだったが、旅館にも早く行きたい素振りで納得していた。それでも、見晴らし台に着いた時は

「すごいねー ビルばっかー 私がいつも見ている風景と全然違う」

「そうだねー たんぼなんか無いものなー」

「ねぇ あのビルからは色んな声が聞こえてくる なんか 複雑な声」と、ななのはしばらくの間、声も出さないで街の全体を眺めていた。

 坂を下って来る時、途中の店で僕は、ななのにイァリングを選んでいたのだ。冬に僕がプレゼントしたネックレスをしてきていたので、それと違和感のないものをと思っていたのだが、小さなハートのリングに小さな赤い花をあしらったもの。ななのは左側の髪の毛を留めて耳が出るように、お店の人に手伝ってもらって早速付けていた。

「とっても 可愛らしいですよ」と、店員さんに言われてご機嫌だった。

「なぁ 片側だけでいいのか?」

「うん 慣れないしね 落っことしても、片方残ってるからね なぁ シュウも可愛いって言ってよぉー」

 僕達は、三宮から高速バスで淡路島に渡り、バス停に旅館の車に迎えに来てもらって、チェックインした。もう、陽が傾いてきており、宿の人が貸し切り露天風呂は如何ですか?  今なら空いていますし、丁度、夕陽がきれいですよ と・・。僕は、その時、どうする?というつもりで、ななのを見たのだが、彼女は下を向いたまま黙っていたので、お願いしますと言ってしまった。その時、彼女は下げていたバッグを抱きしめるようなしぐさをしていたのだ。

 部屋に案内されると、和室なのだが窓からは明石大橋と海が大きく眺められるのだ。僕は、直ぐに浴衣に着替えながら

「ななの 直ぐに 風呂に行こう 浴衣に着替えたら?」と、誘ったのだが

「・・・私 このままで・・ 浴衣 持っていく」と、小さく返事してきていた。その後、バッグをごそごそしていて、ようやく浴衣とかタオルそして、多分着替えのものを抱きかかえるようにして、僕の後ろから付いてきていた。おそらく、緊張して歩いているのだろうが、後悔しているのかも知れないと思っていた。

 少し、高台にあって、明石海峡と見渡せるようになっていて、夕陽に橋が照らされ始めていた。僕は、先にさっさと入っていって、湯舟に浸かっていると、しばらくして、ななのが入ってきた。

「シュウ このままで良い? ダメだったら、シュウが取ってくれても・・ネ」と、髪の毛もタオルで巻いて・・・バスタオルを胸から身体に巻き付けていて、震えているような感じで、両方の腕で胸を抱えるようにしていたのだ。

「いいから 早く 入れよ 身体冷えるよ」と、手招きをして彼女を迎え入れると、タオルを抑えるようにして、僕の隣にゆっくりと身体を沈めてきたのだ。

「きれいだよねー 夕陽に照らされて タイミングも良かったよね」と、感嘆するように言うと、ななのも安心してきたのか

「うん 素敵 きれいわぁー」と、僕に寄りかかってきていた。

「ななのだって きれいだよ ななの 僕に乗っかっておいで 横抱きにするから・・」と、ななのの肩を抱き込むようにすると、ビクッとした後、怖がるのかと思ったら、覚悟したように

「こんなの 恥ずかしい」と、いいながらも彼女は眼を閉じて、肩をすぼめるようにして、素直にされるままにしてきていた。彼女の素肌の肩に触れたのは初めてだったけど柔らかくて、なんと か細いんだろう。しばらく、そのままでいた時

「私 しあわせ シュウに抱かれているんだもの」と、ポツンとつぶやいていた。僕は、ななのが可愛くてたまらず唇を寄せていくと、ななのも僕の首に腕を絡ませてきて、応えてくれた。その時、僕は戸惑うななのに構わず、初めて歯のすきまから舌を滑り込ませていたのだ。

 そして、僕が身体を洗っていると、湯舟の中から

「あのね シュウ 私 大浴場に行って洗う 髪の毛もあるし・・ だから、先に出ていってネ 後で、出るから・・・シュウの前で着替えるの 恥ずかしいやんかー」

「そうかぁー うー せっかく ななのの裸 見れるんかと思ったけどな わかったよ」と、言っていたら、ななのは僕の背中にお湯をぶっかけるようにしてきた。もう、普段のななのに戻ったようだったが、僕が振り返った瞬間

「アッ いゃぁーん」っと、ななのは湯舟にかがみ込んでいた。巻いていたバスタオルが外れてしまったようだったのだ。

 僕が、洗い終わって、湯舟に浸かりに行った時も、タオルを抱きかかえたまま湯舟の中でかがんでしまって動かなかったので

「まぁ ななのの可愛い背中を見れただけでもいいかぁー じゃぁ 先に 出てるよ」 

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧