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ハッピークローバー

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第七十六話 愛国心その七

「貿易してもね」
「貿易嫌い?」
「日本の経済侵略とか言ってたし」
 これは運動家の主張である、貿易や企業の進出で利益を得ればこう言っていた。昭和や平成の初期ではよく言われていたことだ。
「アジア再侵略とかね」
「ああ、食べものだけそう言うのも」
「貿易嫌いで」
「鎖国したいとかね」
「それじゃあ北朝鮮よね」
 鎖国と聞いてだ、かな恵はまたこの国を思い出した。
「あそこ鎖国してるし」
「だからああなってるしね」
「じゃああの人って」
「あの国の機関紙にも出てたし」
「あの国好きみたいね」
 北朝鮮をいうのだ。
「やっぱり」
「日本は嫌いでね」
「ううん、そう思ったら」
「あの人もあの作品もね」
「いいものじゃないわね」
「だからああした漫画を読んでいいことはないし」
 百害あって一利なし、ウェールズの娘は語りながら思った。
「ああした人の言うこともね」
「聞かないことね」
「最初からね」 
 最早というのだ。
「おかしな人だってわかったら」
「聞かないことね」
「若し聞いて変な影響受けたら」
 そうなればというのだ。
「よくないしね」
「自分もドキュンになるから」
「そうよ、それよりもね」
「それよりも?」
「純粋にね、家族にそうするみたいに」
「自分の国を好きならいいのね」
「それでいいでしょ、愛国心が軍国主義なら」
 またこう言うのだった。
「北朝鮮はね」
「どうなるか」
「あんな国よりも」
「日本はまともね」
「他のどんな国もよ、相当な毒親でもないと親は好きになるし」
 自然にというのだ。
「日本が普通にね」
「いい国なら」
「それならね」 
 それでというのだ。
「いいでしょ」
「好きになっても」
「むしろ自分の祖国を愛さない」
「しかも嘘まで吹聴して周りにもそうさせるとか」 
 戦後日本の知識人に多く見られたことだ、実はそうなったはじまりはスターリンが発したコミンテルンのテーゼと知ればその実情がわかるだろうか。
「おかしいなんてね」
「ものじゃないわね」
「それでそんなこと言う奴が」 
 ウェールズの娘はさらに話した。
「あれでしょ、テロがあって」
「日本にもあったしね」 
 かな恵は眉を曇らせて答えた。
「テロって」
「そうよね」
「過激派とかカルト教団がね」
「それであれでしょ」 
 そのかな恵にさらに話した。
「カルト教団がテロして」
「それで?」
「大阪のお店であったんでしょ」
「ああ、あのお話ね」
 かな恵は大阪と聞いてすぐに察した、かなり酔っていても自分の記憶の中を辿る位にはまだ自分を保っているのだ。 
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