自由に創る。世界は私を縛れない
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2話 作者
何もない空間。ここはどこだろう。
いや、どこだろうと聞くのもおかしいかもしれない。ここには何もない。まだ何もない場所である。
「……そうだ。虚空だから、ヴォイドと名付けよう!」
決まりだ。ここはヴォイド。空白地帯。
これで一つ世界を創れただろう。何もない場所から、この場所は「ヴォイド」という世界になった。
でも、これだけでは寂しい。今度はここの世界を充実させてみよう。
「執務室が欲しいでしょー?でも、なんかそこに部屋作るのは微妙……?なんか、扉とかがふっと出てくる感じの方がかっこいいかなー」
扉がふっと出てくるように、世界に情報を書き加える。
扉が出てきた。それを開けて少し中を覗いてみると、奥は重厚な造りをしていて、アンティーク調の執務室になっている。
「おー!超好み!」
扉を閉めると、ふっと扉が消えて、また真っ白な空間に戻る。
「いい感じじゃーん」
こんな感じで、どんどん書き加えていこう。
ここの"果ての地"は、暗い闇にしよう。そして、私はそこで管理するのがかっこいいかもしれない。
世界がガラス玉のように浮かんでいるのもいいけど、私は本みたいな感じで管理するのがかっこいいと思うから、そういう本を作ろう。
それなら図書館みたいなのがあってもいいかもしれない。作ろう。
あ、いや。やっぱり、重要なものなんだし、果ての地に置いておくほうがいい。図書館は削除しよう。
どんどんと、世界が作られていく。作者である私が、最もいいと思う世界が。
「うーん、楽しい!このまま、他の世界を……の前に、私一人じゃ寂しいから、なんか人がほしいなー……ああーでも、それなら先にルール作っとこ!私が自由に操れるけどー、物語なんだから説得力がなきゃね」
『創造:新たなキャラクターを生み出すこと。創造したキャラクターの存在の隠滅、不必要な再構成及び削除、管理の放棄は禁止とする。権限を持たない者がキャラクターを創造することは固く禁じられている。』
『再構成:創造したキャラクターの設定を変更し、存在を作り替えること。管理人はまず再構成を試した後に、必要ならば削除の手段を取ること。再構成の権限は、緊急時には管理人以外のキャラクターにも許可されることがある。』
『削除:最終手段であるため、使う機会は少ない。序列1位の管理人には削除の最終決定権が与えられていて、最終的に削除するかどうかは序列1位の管理人の判断に委ねられる。』
「ほいほい作れましたと!」
作者だと物語的にはなんだかメタいから、呼び方は管理人にした。
序列1位の管理人は私。おもしろくなってきたらこれから作るキャラクターに1位を譲るのも面白いかもしれない。
まだまだ、世界の創造は続く。
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