新オズのカボチャ頭のジャック
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第九幕その六
「軍隊を指揮して戦っても」
「凄いらしいね」
「そんな人でもね」
「蚊には負けるんだね」
「そうよね」
「蚊って怖いね」
「一匹の蚊でも」
それでもというのです。
「外の世界ではね」
「英雄をも倒すんだね」
「そうみたいね」
「あんな凄い人でも」
「それじゃあです」
恵梨香はここまで聞いて言いました、五人も浴衣を来ています。お酒を飲んで枝豆を食べて周りにいる蛍達に天の川を見ています。
「織田信長さんや真田幸村さんでも」
「ええ、蚊にはね」
「勝てないんですね」
「そうよ、どんな英雄でもね」
「そうなんですね」
「それこそね」
まさにというのです。
「どんな強い素晴らしい人も」
「一匹の蚊にはですね」
「敵わないのよ」
「そう思うと蚊って怖いですね」
恵梨香はしみじみと思いました。
「どんな強い人も勝てないって」
「そうよね」
「これからは蚊に気をつけます」
「刺されると痒いっていうし」
「実際に痒いです」
「けれどね」
それだけでも嫌なことなのにです。
「マラリアとかにもなるから」
「だから予防接種があるんですね」
恵梨香はわかりました。
「日本脳炎の」
「お外の世界ではあるのね」
「打ってます」
「打ってるのね」
「学校で注射で」
「それは嫌かしら」
「凄く」
恵梨香が言うと他の四人もそうしたお顔で頷きました、そして恵梨香はさらに言いました。
「怖くて」
「注射はそうよね」
「はい、ですが」
「打たないとね」
さもないと、というのです。
「外の世界ではね」
「大変なことになりかねないですね」
「そうよ」
「だから怖くてちくりと痛くても」
「予防注射は打たないと駄目なのよ」
「日本脳炎も」
「そうよ、だから打ってね」
オズマは恵梨香達五人に言いました。
「自分の為だから」
「わかりました」
五人はオズマに答えました。
「そうします」
「ほんの一瞬痛い思いをして」
そしてというのです。
「それからは大丈夫だからね」
「そう思うとですね」
「いいものよ、日本脳炎やマラリアもだけれど」
オズマはこうも言いました。
「昔は天然痘もあったわね」
「あの病気もまた恐ろしいものだったよ」
教授が言ってきました。
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