星河の覇皇
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第八十三部第五章 謎の兵器の正体その二十一
「起こらない様な社会構造です」
「千年前からそうですね」
「政治システムとしてもそうした社会になる様に腐心してきて」
「常に戦争が連合の中で起きない様にしてきました」
「その様に努力してきました」
「中央政府も各国も」
「江戸幕府の様にです」
ここで八条は自国の長期安定政権の名前を出した。
「平和な分権国家を意識してきまして」
「そして、でしたね」
「実際にですね」
「我々はそうした国家を築いていますね」
「国家システムとしても」
「各国の軍事費を抑え」
これを法律で定めたのだ、そうして一国が圧倒的な軍事力を持つことを防いだのである。尚艦艇の保有数も国家によって制限していた。大体連合全土で人口一兆なら千個艦隊三十億の軍隊がある様にしてきた。軍事費は総生産の一パーセント台と定めていたのだ。
「かつ非常時には中央政府が指揮権を持つ」
「各国軍もそうなる」
「そうして軍事をコントロール政策を敷いておき」
「そしてでしたね」
「中央政府も各国を調査出来る権限を持ち」
これが各国政府との対立の温床の一つともなってきた。
「おかしな動きをチェックし」
「何かあれば制裁を科すことも出来ます」
最高の制裁は連合からの追放である、これを行われた国の市民は連合内で完全に法律の保護外に置かれかつ全ての経済活動を禁止され財産も没収される。こうした厳しい罰則の為各国政府も追放の話が出る前に折れることが常だ。尚連合千年の歴史で連合から追放された国は一国もない。その話が現実に出たこともない。
「中央政府の権限は弱いですが」
「連合を統制する力は持っていました」
「千年の間」
「何かと混乱していた時代もありましたが」
「それでも連合は国家の体をなしていました」
混乱していてもだ。
「内乱になったこともなく」
「国家同士の軍事衝突もなかったです」
各国軍は中央政府の許可がないと中央政府が定めた各国それぞれの領土から出ることは出来ないからだ、その為他国との軍事衝突も起きないのだ。
「サイバー攻撃も禁止されています」
「これも行なえば制裁です」
「色々と法を定め」
「内乱が起きない様にしてきましたね」
「国家システムとしても、そして」
八条はさらに話した。
「経済活動を常に活発化させ」
「貿易も行ない」
「まさに生物の血流の如くですね」
「連合全体で経済活動が行われ」
「貿易も行なわれてきているので」
「どの国の誰もその活動を阻害したくはないですね」
「それは連合全ての市民の権益です」
それになるとだ、八条も述べた。
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