チートゲーマーへの反抗〜虹と明星〜
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13話 GATEKEEPER【処刑人】
前書き
⚪︎仮面ライダーゼニス
変身者 ウィル・ゲーテ
パンチ力 333t
キック力 666t
ジャンプ力 108m
走力 6.66秒
グレアなどヴィジョンドライバー系ライダーの色違いで黒装甲をベースにして青・紫のラインを纏う(スーツはほぼグレアと共通)。
詳しくはライダー設定集より。
「速人くん……大丈夫かなぁ。」
嵐千砂都は1人、公園のベンチに座って物思いに耽る。
かのんの歌についても気になるが、それ以前に彼女は速人の心を案じていた。
『どうしたの?ちぃちゃん♪』
「えっ!?!?」
千砂都の後ろに現れた女性……プリズムのように輝く髪の女性。前に千砂都が会った時とは違い、左側頭部を6の形に結っている。
どう考えても怪しさが半端ないが、神秘的なオーラがそれを全て打ち消してくれる。
「あの時の……」
『1人で寂しく座ってるから声かけたの。』
「あはは。まぁ、ちょっと友達が心配で———」
愛想笑いと共に話をぼかして、お婆……お姉さんに話す千砂都。
しかし彼女はそれを易々とは信じなかった。
『本当に友情だけの関係なの?』
「えっ?」
『あなた、恋してるでしょ〜?』
「なっっっっ//////」
図星を突かれ、一気に赤面する千砂都。
「な、なんで、そんなこと……!?」
『これでも陰ながらあなた達のこと見てきたんだから。私にはオミトーシよ?』
「見てきた…?」
『ええ。やっぱりあの子は女誑しなのね……あの人に似て。』
「あの人って———」
不思議にも次々と疑問が湧いてくるのに、質問しようという気にすらならない———ただただ一方的に自らの心を語ってしまう千砂都。
むしろこの女性がそうさせているかのよう……
『いつまでもあの子と距離置いちゃダメよ?今こそ1番近くに行くべき……さもないと、かのんちゃんに取られちゃうわよ?』
「!!!」
沈みかけの太陽が目を眩ませる。
次の瞬間には——
「いなくなった……」
〜〜〜〜〜〜
そして———その数時間後。
ガシャン!!
ブロック塀に窪みができるほどの強い力で壁ドンする———俺。
相手は言うまでもなく———ハイパーロードAだ。
『あら、壁ドンなんて古いわね〜♪』
「ふざけんな……お前、『俺の忠告を無視したみてーだなぁ。』
俺の低く、威厳あるエコーがかった声が夜の公園に響く。エコーがかった声は神モード(仮)になった証拠。
衣装は黒いタキシードから漆黒の袈裟へと変わる。
それを側で見た双子のセフィオスとグリフォスが縮こまって震えている。
「「お父さまこわいこわい———」」
『言われてるよまーくん♪』
『とぼけあがって……!』
俺は壁から手を離し、彼女にイラつきながらも事の大きさを述べる。
『何度も言うが、お前の愛は度が過ぎる。【人間を超越してしまった】俺たちが易々と一人の人間に関わることはあってはならない———そう言ったはずだが?』
『いいじゃないの。私の子どもたちを可愛がってあげる事の何がいけないの?』
『恩恵は無償じゃねぇ。修行の末に与えられるべきなんだよ……お前のやっていることは甘やかしにすぎん。愛情などではない!!』
『ふん……!』プンスカ
ハイパーロードAの瞳が金色から赤に変わる。
『あーはいはい!!全部私が悪いんですよーだ!!』
『おう、よくわかってるじゃねぇか。』
『……は?』
俺の期待していたのとは異なる反応に彼女はヒステリック気味に怒り出す。
『どうしてそうなるの!!今のは明らかに僕が悪かったって言う展開でしょーが!!』
『知らねーわそんなの。てか僕なんて一人称じゃねーし。』
『はぁ……ほんと、こんな乱暴な男が夫だなんて私は何て不幸なの———』
『クソめんどくさいな、このヤンデレ女神。』
『あーひどい!!子どもにも言われたことないのに!!』
『そりゃお前が洗脳してるからだろうに。』
『洗脳……ふーん。』
急に冷静になった彼女の瞳の色が琥珀色へと変わる。
『洗脳なんて人聞きの悪い。そっちこそ、私を洗脳してるのに。』
『はぁ?』
『私を力ずくで押さえつけて……したのに。あんなの受け入れるなんて私だけよ?』
『それは……てか話を逸らしてんじゃねぇ。』
もはや怒りも冷めて、呆れと面倒くささが優位に立った俺は彼女に説教するのをやめた。
『ま、いいだろう。どのみちお前の甘やかしで堕落するのはアイツらだ。世界が堕落すればリセットする。その時泣くことになるのはお前と我が子たちだ。俺には関係ない話だ。』
『あの子たちは絶対に守る……これ以上悲しませないわ。』
『————さ、そろそろ第一の審判だ。しっかりと吟味しようじゃねぇか。』
俺は彼女から奪った青いデカWRBを……開く。
【ワンダーオールマイティ!】
—————※—————
ライブ会場にて……
「よーし、運び終わったかな。」
「よっしゃぁ!!!」
「何喜んでんだよ……」
初ライブのため可可お手製のグッズを運び込んだ速人と那由多。運び終えたところで突如として奇声を上げた那由多に速人は軽蔑の目を向ける。
「だって俺は……俺はなぁ!!このグッズを作る雑用として———試練を乗り越えたんだよ!!」
「語彙力皆無で意味が全く伝わらんが、なんとなくお前のヴィジョンは伝わってきた。」
速人の左目が彼の語彙力を補う……これはよくある事だ。その補足が彼の語彙力向上を妨げているのかもしれないが。
ともあれ、これにてライブの準備は整った。あとは……
「歌えるといいな。」
「バカ……歌わなきゃ俺が腹を切る。」
「冗談に聞こえるガチ話やめろよ……」
「歌えるさ———可可と一緒なら、イケる。そのために俺は詩を書いたんだからな。」
「————このシスコンがよ。」
「何でそんな単語が出てくんだよ……」
シスコン———確かに速人とかのんはもはや兄妹と言ってもいいほどの関係だろう。それゆえにその間には友情を超えたものもあるのは、那由多から見ても明らかだ。
実際それはかのんとて同じ……しかしそれを知ることはない。【その時】が来るまでは。
そんな時、那由多が辺りを見回す。
「なぁ速人、なんかおかしくねぇか?———さっきから臭いが多くなって上がる。それも物騒な臭いが。」
「確かに……ん?あれは———」
速人はライブ会場の後方に何やら物々しい雰囲気の男たちを見つける。彼らのミリタリーな容態に少し懸念を抱いてしまう。
疑問を解消するために速人たちは彼らに近づく。
すると。
「何かご用ですか?」
「!」
すぐさま声をかけられたことにまず速人は驚く。見た目はちょうど同年代なのも驚きだ。
話す距離まで近付いていない状態で要件を聞かれるというのは、すなわち相手が自分たちの「物々しさを理解している可能性が高い」から。
しかしそんなことを憂慮しているのではダメだ。
速人は彼の「ヘラクレス学生隊 副隊長 宮下陽人」という名札に目を通して話を切り出す。
「お前たちは何者なんだ?このライブ会場で何か起こるのか?」
「あぁ……実は今日、政府高官がこのライブを視察するんだ。俺たちは政府特務機関ヘラクレスの学生部隊、スクールアイドルイベントには学生をあてがった方がいいと言うもんだから。」
「ヘラクレスか……」
速人は「ヘラクレス」という組織はなんとなく知っていた。土御門政樹とかいう長官が政府の公式会見で何度か侍っていたのを見ていた。
しかし何をする組織かそこまで詳しいわけではない。
「そんな組織が一体何の目的で?このフェスは至って健全だと思うのだが。」
「だからそれは…
「明らかに多すぎるんだよ。護衛にしてはな。」
「……」
確かに護衛であれば5人程度でいいはず。それをはるかに上回る50人規模……どう考えても護衛ではない。
何か他のビックイベントがあるからこその警備と言わざるをえない。
「……タイフォンとかいう連中のせいか?」
「!!!———ちょっとこっちへ!」
陽人はその単語を出した速人たち2人を会場から離れた、人のいない広場へと誘った。
「君たち一体……何でタイフォンのことを!?」
「それは————」
「俺たちは仮面ライダーなんでね!!」
「!!!」
那由多が自慢げに言い張る。その言葉に目を見張った陽人に、那由多の言葉に頭を抱えつつも速人は彼に畳み掛けた。
「お前———仮面ライダーだろ?」
「!!……何を理由に?」
「他の隊員とは空気が違う。そして俺たちと同じそれを感じたから……かな。」
少し目を瞑った陽人は観念したようにことのしだいを話し始める……と思った矢先。
「これはこれは———仮面ライダーが揃いも揃ったとは驚きだ。」
「「!!!!!」」
「エルシャム王…!!」
現れたエルシャム王 小原魁。その凄まじいオーラは否応にもこの場の3人に恐怖心に近いモノを抱かせる。
ここで陽人が発破をかける。
「まさか噂は本当だったとはな……今世界で1番狙われているだろうアンタがここにやってくるとは。」
「あぁ。俺の戦友が…主催のフェスだからな。スクールアイドルの発展に力を入れているのを忘れたのか?」
「まさか———タイフォンとアンタは裏で繋がってるんじゃないだろうな!?」
「「!?!?」」
陽人が言った「陰謀論」には因果関係はこれっぽっちもない。しかし疑いは理解し得なくもない。権力者がダミーの団体を使って謀略を仕掛けるなどよくある話。
ゆえに速人も那由多も少し反応してしまう。
だが、彼は不敵に言い放つ。
「どうしてそうなる……と言いたいところだが、別に否定はできないからなぁ。」
「貴様…!」
「だが、今日にとってはそのデマも好都合か。」
「どういう……?」
「キバット、来い。」
黒く荘厳な色合いの蝙蝠……に近いモノが魁の近くに侍る。その奇妙な光景を3人は奇異な視線を向ける———
『お前の威圧に耐えるとは、久々の強者だな。』
「あぁ…行くぞ。」
『絶滅タイムだ!!』
【ガブリ!】
キバットと呼ばれた黒い蝙蝠擬きは魁の右手に噛みつき、エキスを注入。すると鎖の束が腰に巻かれ、黒いベルトを構成した。
「変身…!」
キバットⅡ世がベルトに装着された。
すると黒い膜のようなものが包んだかと思えば、それは瞬時に弾け、赤と黒の鎧となった。
まさしく闇の王……この地を統べる究極の王に相応しい、吸血鬼を模した黒と赤の鎧。
仮面ライダーダークキバ———その顕現の余剰エネルギーはその場の3人を脅すのに十分であった。
「お前も仮面ライダーだったのか…!?」
「予想してはいたが、状況が悪すぎる。だが……逃げられそうじゃないな。」
最悪の状況……それはまさに一択しか選択肢がない時だ。しかしそれは明らかに相手が作り出しているモノ。
勝利は———絶望的だ。
「2人とも、協力を頼みます!!」
「あぁ。初対面とはいえ、3人がかりでようやく——って感じ。」
3人は自分のドライバーをそれぞれ腰に装着する。その際に速人は神妙な面持ちで那由多を見る。
「那由多…」
「バカ。俺は大丈夫だ。俺の戦う理由はもうできた……速人、お前を守ることだ!!」
「!?————ま、いっか。」
速人はそれ以上は語らなかった。
【ブレイブドラゴン!】
【バレット!】
【バット!】
「「「変身!!!」」」
【烈火抜刀! ブレイブドラゴン!!】
【ショットライズ! シューティングウルフ!】
【バーサスアップ! 仮面ライダーライブ!】
速人、那由多、陽人はそれぞれセイバー・バルカン・ライブへと変身を遂げる。
まさに即席トリオ———コンビネーションは期待できない。しかし…やるしかない。
速人は火炎剣烈火をダークキバへと向ける。
「……行くぞ!!」
「「はあああああああ!!!」」
3人は———王に立ち向かう。
—————※—————
「はぁ…はぁ…ぐっ!」
「無駄だ。君にはここで何が何でも死んでもらう。」
早朝にウィル・ゲーテの変身する仮面ライダーゼニスに追われる立場となった、仮面ライダーデモンズこと葉月稔。
しかし……その力は圧倒的であった。
【コング!】
【SET UPGRADE】
ゼニスの腕が急激に膨張し、その剛腕をモロに喰らってしまうデモンズ。その衝撃は50mほど上空に吹き飛ばされる。
ドスンという音を立てながら地面に落下した。
「バイスタンプの力も使えるのか……!」
「当然だ。バイスタンプやプログライズキーは超古代のテクノロジー……それらの力を行使するのが、【使徒のベルト】 ヴィジョンドライバーだ。」
「くそっ…だが、俺はここで死ぬわけにはいかん!!」
デモンズは戦うのを避けて、何とか残されている体力でその場を離れる。
だが……
「逃すか。」
方に装着されていたルーリングレイ2個が着脱し、青い光弾を放ちながらデモンズを追跡する。
デモンズはそれを何とかかわしながら、ゼニスを撒こうとする。
だが———突如見えない壁と衝突する……4つのルーリングレイによるバリアだ。
「ぐっ……バリアだと...?」
「言っただろう?君には———死しかないとなっ!!」
「ぐはっ!!」
強烈な左ストレートがデモンズの腹に一撃。続け様に電磁力を伴った追撃が炸裂していく。
デモンズはその攻撃に耐え切れず、ついに両膝をついてしまう。
「さぁ……グランドエンドだ。」
ゼニスはプロビデンスカードを取り出し、ヴィジョンドライバーにスキャンする。
電磁力による浮遊でゼニスは天高くへと至る。そしてルーリングレイ2つが放つ紐状の光線がデモンズを縛る。
「はっ!!」
【DELETE!】
三角形状のエネルギーフィールドを纏ったライダーキックが放たれた。
身動きの取れないデモンズにこれを防ぐ術は……なかった。
「ぐああああああああ!!!!」
彼方へと吹き飛んだデモンズの装甲はものの見事に弾け飛ぶ。
ゼニスから離れることはできたが……離れても仕方がない。
「うっ……あ……ごばっ!!」
異常な量の吐血———先ほどのキックをモロに喰らったことでもう内臓が手に負えないほど損傷しているのだろう。
もうこうなってしまったら助からない。
「あ、あ、あぁ……クソっ。ここまでか————【先生】、俺は役立てずそっちに……行きそうだ……」
勢いよく仰向けに倒れる稔。その時、ポケットから写真が落ちる————
愛娘 恋と最愛の妻 花との……家族写真。
「花———今からそっちにいくけど……恋はもう———大丈夫だ。君の仇は取れなかったし、何もできなかったけど……—————」
目がどんどん虚になっていく。
天国は…来世はあるのだろうか。あるなら間違いなく自分は地獄を選びたい———不甲斐ない自分へのせめてもの罰。
稔はそう思いながら———
「大丈夫なわけあるか、このどら王子ィ……」
血まみれの家族写真が拾われた———M字の前髪が特徴的なロン毛の……仮面ライダー?
「君のエンディングはここじゃない。」
どうなるのか……?
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