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イベリス

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第九十六話 お盆になりその二

「そうでしょ」
「山手線で楽にね」
「特に東京は交通が発達してるし」
「山手線もあって」
「地下鉄もね、私鉄の路線だってね」
「凄いわね」
「そのせいで迷路みたいになってるけれど」
 特に地下鉄がだ、その路線の入り組み方は尋常ではない。
「慣れると行き来はね」
「楽ね」
「都内だったらすぐにね」
 それこそというのだ。
「行けるでしょ」
「そうよね」
「だからね」
 それでというのだ。
「都内に住んでいて同じ都内に実家があったらね」
「楽なのね」
「そうよ、里帰りは近いならね」 
「それでいいのね」
「そうよ」
 はっきりと言い切ってみせた。
「それが一番よ」
「近いイコール正義?」
「同じ日本でも鹿児島に実家あったらね」
 それならというのだ。
「簡単にはね」
「ああ、行けないわね」
「鹿児島なんてね」
 それこそというのだ。
「東京からね」
「すぐには行けないわね」
「そうよ」
 この県はというのだ。
「ましてや外国だと」
「中々ね」
「行けないわよ、日本だと」
 どうしてもというのだ。
「島国でね」
「周り海でね」
「船か飛行機でないとね」
「行けないからね」
「そうはよ」
「里帰りにしても」
「行けないわよ」
 咲にそれはという顔で話した。
「遠いしね」
「外国は」
「海を挟んでることを抜いても」
「遠いイコール悪?」
「悪と言うか行き来しにくいことはね」
「事実なのね」
「鹿児島だってそうだし」
 今話したこの県もというのだ。
「北海道もね」
「遠いから」
「行きにくいでしょ」
「時間かかるしお金も」
 咲はこの両方の話をした。
「そうよね」
「そうよ、その両方の問題がね」
「あるのね」
「東京だったら運賃もね」 
 こちらもというのだ。
「同じ都内だしね」
「あまりかからないわね」
「極端なことを言えば定期でね」
 これを用いてというのだ。
「何なくね」
「行けるのね」
「あんたなんか学生さんだから」
 咲はというのだ。
「定期代滅茶苦茶安いわよ」
「社会人だと高いのよね」
「そうよ、まあ会社が交通料出してくれるから」
 この辺りは企業による、少なくとも咲の父が勤めている八条石油はその辺りもしっかりしている企業である。 
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