恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十九話 群雄、戦を終わらせるのことその十二
「なら。冥界でも寂しくはないわ」
「冥界でも暴れるつもりなのだ?」
「それも一興ね。けれど何はともあれ」
「御前は今から死ぬのだ」
「そうさせてもらうわ。ではね」
最後に一言言った。その言葉は。
「この世から。完全にさようなら」
こう関羽達に告げてだった。司馬尉もまたその姿を消したのだった。その瞬間九つの首を持つ九尾の狐の巨大な影が見えた。だがそれは瞬時に消えてだ。後には何も残らなかった。
そしてそれを見届けてからだ。関羽は仲間達に言った。
「これでまただな」
「そう、戦いが終わったのだ」
「一つの戦いがな」
こう張飛に言う関羽だった。
「完全に終わった」
「そうなのだ。正直ほっとしているのだ」
実際にその顔を晴れやかにさせて言う張飛だった。
「本当によかったのだ」
「そうね。見れば全体の戦いもね」
黄忠も満ち足りた様な顔でだ。戦場全体を見回してだ。
それからだ。こう言ったのだった。
「終わりに近付いているわね」
「あと一押しだよな」
馬超は十字槍を右手に持ち述べた。
「あたし達の勝ちだよな」
「うむ、ではその最後の一押しをだ」
趙雲も今は素直な微笑みを浮かべ述べた。
「今から仕掛けるか」
「よし、では今から総攻撃だ!」
関羽がまた仲間達に告げた。今度はこの言葉だった。
「そしてこの戦いに勝ち」
「世界を救うのだ!」
張飛は右手に持つ蛇矛を高々と掲げて叫んだ。そしてだった。
五人はまた戦いに赴く。最後の一押しを仕掛ける戦いにだ。
戦いはあと少しのところまで来ていた。それを見てだ。
華陀はだ。確かな顔で妖怪達に述べた。
「いよいよだな」
「ええ、司馬三姉妹も遂に倒れたわ」
「オロチ達も全て消え去ったわ」
妖怪達も確かな笑みでこう華陀に答える。
「残るは于吉と左慈」
「あの二人だけよ」
「本当にこれで最後だな。しかしだな」
確かに戦いは勝利に近付いている。それでもだった。
華陀はそのことを感じ取りだ。こう述べたのだった。
「あの連中は流石にな」
「普通の力では倒せないわ」
「彼等は特別なのよ」
「特別か」
「そう、普通に戦っても駄目なのよ」
「それにあたし達と同じでね」
つまり妖怪と大して変わりない存在だというのだ。
「実は不死身でね。あらゆる世界を行き来して干渉してきてるのよ」
「この世界でだけ仕掛けているのじゃないのよ」
「そうなのか。あんた達と同じか」
「そう、特にこの女の子達の世界にご執心でね」
「あの娘達のいる他の世界にも関わってきているのよ」
二人が明かすのはこの事実だった。
「並行世界っていうんだけれど」
「それぞれの世界に介入して自分達の思うがままの世界にしようとしてるの」
「成程な。ではこの世界で奴等を退けてもな」
「そうよ。あたし達の戦いはね」
「まだ続くわよ」
彼女達の戦いはだというのだ。
「けれどこの世界での戦いは終わりよ」
「そしてこちらの世界に来た彼等の戦いもね」
草薙や覇王丸、彼等のそれもだというのだ。
「長い果てしない戦いだったけれど」
「これで終わるのよ」
「よし、わかった」
その話を受けてだ。華陀はだ。
決意した顔になりだ。そしてこう言ったのだった。
「ではその戦いにこれから俺もだ」
「ダーリンもなのね」
「あたし達と一緒に戦ってくれるのね」
「ああ、やってやる!」
華陀は宣言した。今遂に。
「俺は戦う、そして」
「あらゆる世界を」
「あたし達と共に」
「病を倒す!」
彼にとって病はまさにだ。倒す存在だった。そう宣言してだ。
彼等は今はじまった果てしない戦いを見ていた。この世界が終わってもさらに続くだ。その戦いを見据えていたのだった。そのうえで彼等は決意をあらたにしていたのだ。
第百三十九話 完
2012・1・19
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