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仮面ライダーAP

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北欧編 仮面ライダーRC&レジスタンスガールズ 第18話


 亡き家族の想いが詰まったコマンドバッシャーと、サイドカーに搭載された九九式二十粍二号航空機銃五型。そのマシンを駆るレオナとヴィクトリアの登場に、苦戦を強いられていた解放戦線の女傑達が沸き立つ。

「はぁ、はぁッ……! な、なんだありゃあ……!? 武装バイク……!?」
「あの子達、あんな代物まで用意していたのか……!?」

 RCとの熾烈な肉弾戦を繰り広げていた4人の新世代ライダー達も、物々しいモンスターマシンの出現に思わず目を見張っていた。

 Hカップの褐色爆乳をばるるんっと弾ませながら、M79の炸裂弾を連射していたエメラダは、戦場を疾走するコマンドバッシャーに目を奪われている。そんな彼女の視線に気付いていたヴィクトリアは、機銃を制御室しながら彼女に向かって軽くウィンクしていた。

「コマンドバッシャー……! 完成していたのねっ!」
「待たせたな皆、仮面ライダー! ここからは……我々、オーファンズヘブン解放戦線の反撃だッ!」

 そして、ヴィクトリアの宣言と共に。コマンドバッシャー本体に搭載されている2門の機銃と、サイドカーに積まれた九九式二十粍二号航空機銃五型が同時に火を噴いた。

 爆音のような銃声がこの一帯に鳴り響き、戦闘機用の大型機銃から20×101mmRB弾が矢継ぎ早に連射される。
 極上の肢体をぴっちりと浮き立たせている外骨格の力で、その反動に耐えるヴィクトリアは、爆乳と巨尻をばるんばるんと弾ませていた。ポニーテールに結われた豪奢な金髪も、風に煽られ大きく揺れ動いている。

「くっ、う……ぉおおおおぉおーッ!」

 機銃を保持する両腕から全身に伝わって来る、戦闘機用大型機銃の反動。その凄まじい衝撃にも臆することなく、ヴィクトリアはただ真っ直ぐに倒すべき仇敵だけを、凛々しく気高い眼差しで射抜いている。銃身に搭載されたスフルお手製の光学照準器が、狙うべき相手の姿を正確に捉えていた。
 ラングニル製の外骨格が無ければ、今頃は反動でサイドカーから振り落とされていただろう。デザインはともかく、彼女の発明品はヴィクトリアの戦いを大いに助けていた。

「……防御体勢に移行。対象を脅威と判断」

 解放戦線が保有する重火器の中でも最大の威力を誇る、まさに彼女達にとっての最終兵器(リーサルウェポン)。そんなコマンドバッシャーの一斉射撃はさすがに無視出来るものではなかったのか、銃弾の豪雨を浴びせられたRCは片腕で防御するかのような仕草を見せている。

 さらに、強固な装甲を誇る輸送車もその動きを停止させていた。装甲そのものは戦闘機用の機銃にも耐え得るほどの強度なのだが――その装甲を通して「車内」に伝播する衝撃までは、殺し切れなかったのだ。

 輸送車自体がどれほど頑強でも、その内側に隠されているLEP本体は精密機器の塊。装甲が破れずとも、着弾点から伝わる衝撃の波紋は、僅かながら内部の本体への「ダメージ」となる。その微かな誤算が、LEPの演算処理を一時停止させているのである。

「おおっ! さすがは僕らの最高傑作! 期待以上の火力じゃないかっ!」
「オ〜ララ〜! やっぱり私達、天才中の天才じゃんっ! 行け行け2人共〜っ!」

 それほどの火力を発揮しているコマンドバッシャーの活躍振りに、開発者のラングニルとスフルは大興奮している。ラングニルのむっちりとした桃尻と、スフルのEカップの巨乳も、その喜びを表すかのようにぷるんぷるんと揺れ動いていた。

 彼女達の愛銃――RL-6と烈風が絶え間無く火を噴く中、真紅の大型バイクは風を切って戦場の街を颯爽と駆け抜けて行く。そのサイドカー部分から機銃を連射しているヴィクトリアの「勇姿」に、ラングニルはにんまりと笑みを溢していた。

「どうだねヴィクトリア、僕特製の強化外骨格はっ! 最高の着心地だろう!? う〜ん、特にそのデザインが良いっ! 自分の才能が心底恐ろしいよ……!」
「……ラングニル、貴様あとで覚えていろよッ!」
「ヴィクトリア、余所見している場合ではありません!」
「分かっている! レン、一気に仕掛けるぞッ!」

 ヴィクトリアの身体にぴっちりと張り付き、扇情的なボディラインをありのままに浮き立たせている強化外骨格。その「出来栄え」にうんうんと頷き自画自賛しているラングニルに対し、ヴィクトリアは頬を赤らめながら忌々しげに唇を噛み締めていた。
 だが、今はラングニルの嗜好に文句を付けている場合ではない。そんなレオナの指摘に同意し、改めてRCと輸送車に照準を向けたヴィクトリアは、敬愛する曽祖父の遺産で敵を討つべく引き金を引く。

「M2機関銃、標的変更。対象を速やかに排除する」

 そんな彼女達を「早急に倒すべき強敵」と認識したLEPも、輸送車のM2機関銃を彼女達の方に向けさせていた。
 その銃口の動きを察知した瞬間、レオナは豪快にハンドルを切り、轟音と共にコマンドバッシャーを急カーブさせる。ヴィクトリアもそれに合わせて機銃の向きを変え、引き金を引き続けていた。

「そんなものッ……当たりませんッ!」

 コマンドバッシャーを狙うM2機関銃の弾雨が、執拗に彼女達を襲う。だが、レオナが操る真紅の大型バイクの加速力は、LEPの予測を大きく上回るものであった。
 元々はただのレーサーバイクだったこの車両も、今はGチェイサーにも引けを取らないレベルにまで「魔改造」されているのだ。ラングニルとスフルが手掛けた「最高傑作」であるコマンドバッシャーは、輸送車からの機銃掃射を最高速度でかわし続けている。

「まだまだッ……! 父さんが遺してくれたこのマシンの底力は、まだまだこんなものではありませんよッ!」

 マシンの性能だけではない。それを完璧に御しているレオナの技量あってこその疾さなのだ。

「貴様の銃撃など当たりはせんッ! 当たるのは……こちらの銃弾のみだぁあッ!」

 そんな中でも絶えず火を噴き続けていた、ヴィクトリアの九九式二十粍二号航空機銃五型。その銃口から連射される20×101mmRB弾が、ついにM2機関銃の銃身を破壊した。
 この戦いで解放戦線のメンバー達を何度も苦しめていた、強力な重機関銃。その「一手」が潰された光景に、女傑達が歓声を上げる。

「やった……! あのクソ厄介な機関銃が、やぁっとブッ壊れたぜッ! さっすがラングニルとスフルだ、良い仕事しやがるッ!」
「良い傾向……! これで輸送車内の本体も、より狙いやすくなる……!」

 瓦礫に身を隠しながら、ハイパワーMk.Ⅲでの牽制射撃を繰り返していたティエナや、TAC-50による狙撃で仲間達の戦闘を支援していたエレインも、思わずガッツポーズしている。それは他のメンバー達も同様であり、笑顔で互いを見遣る彼女達は、この調子で輸送車もRCも仕留め切れると確信していた。

 ――それが、若さ故の過ちだったのだろう。もしくは連戦に伴う疲弊が招いた、注意力の散漫だったのかも知れない。

「よし、この調子ならッ……!?」

 新世代ライダー達を纏めて殴り飛ばしたRCが、足元のアスファルトを砕き割り。その破片を握り締めていたことに、誰も気が付かなかったのだから。

「……ッ!? ヴィクトリアッ! 危ないッ!」
「奴の『投擲』が来るぞッ! 今すぐそこから逃げるんだ、ヴィクトリアッ!」

 コマンドバッシャーに狙いを定めたRCが、アスファルトの破片を握った手を大きく振りかぶった時。ようやくその動きに気付いたニッテとエヴァが、焦燥の声を上げる。

 そんな彼女達の叫びがヴィクトリアの耳に届いた時。RCが握っているアスファルトの破片は、音速を超える超強力な質量弾として打ち出されようとしていた。

「あッ――!?」

 黒死兵ですら、身の丈を大きく越える巨大な瓦礫を難なく投げ飛ばすことが出来るのだ。
 その黒死兵を遥かに凌ぐパワーを持つRCが、本気のフルスイングで破片を投げ飛ばして来たら。一体どれほどの弾速と衝撃力が生まれるのか、全く想像がつかない。

 間違いないのは――コマンドバッシャーが耐えられるような威力では済まない、という点だけだ。

「……うぉおおおおぉッ!」

 何も考えてなどいない。考えている時間などない。純粋な生存本能に全ての命運を委ねた、条件反射の回避行動だった。

 ヴィクトリアが咄嗟にサイドカーから飛び降りた直後。閃光の如く空を切り裂いたアスファルトの破片が、コマンドバッシャーのサイドカー部分を一瞬で吹き飛ばしたのである。そこに積まれていた九九式二十粍二号航空機銃五型ごと、容赦なく。

「……ヴィクトリアぁああッ!」

 目視出来る速さではなかった。対物ライフルすら遥かに凌ぐ弾速と威力。それを「投擲」で実現して見せたRCの膂力に、レオナをはじめとするメンバー全員が叫び、戦慄する。これが、「本物の怪人」の力なのだと。

「……あ、あぁあっ……!」

 無論、それは目の前で曽祖父の遺産を――ファルツ家の象徴を破壊されたヴィクトリアも同様であり。彼女は激しく地を転がりながら、バラバラに砕け散って行く九九式二十粍二号航空機銃五型の最期を、ただ見届けることしか出来なかった。

 もしあとほんの一瞬、反応が遅れていたら。外骨格もろとも、ヴィクトリアの身体は破片の衝撃によって無惨に砕け散っていたのだろう。仲間達の必死の呼び掛けが、彼女の運命を変えたのだ。

(……ありがとう、ございました……! 皆を、守って下ってッ……!)

 ラングニル製の外骨格に柔肌を守られながら、激しく地を転がって行くヴィクトリア。その目尻には、曽祖父の遺産が起こした「奇跡」に対する感謝の涙が溜まっていた――。
 
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