仮面ライダーAP
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北欧編 仮面ライダーRC&レジスタンスガールズ 第13話
今年に入ってから世界各地に出没し、その圧倒的な強さで数多の都市を陥落させて来た黒死兵。彼らと幾度となく交戦し、襲われた都市を解放して来たライダー達にとっては、彼らはもはや「慣れた相手」なのだ。
無論、強敵であることに変わりはない。それでもライダー達には、恐れる必要などないと言い切れるほどの「経験値」がある。
「ハァッ! トゥ、トゥイヤッ!」
「トゥッ! トォアッ!」
それを裏付けるように。彼らは黒死兵達のナイフを鮮やかな後ろ回し蹴りで払い落とすと、顔面目掛けて強烈な裏拳を連続で叩き込んでいた。
「行くぞ皆ッ!」
「おうッ!」
その流れるような連撃に、黒死兵達が大きく仰け反った瞬間。歴戦のライダー達は力強く声を掛け合い、彼らを一掃するべく「必殺技」の体勢に移って行く。
ケージの掛け声に応じたライダー達は、各々が標的としている黒死兵達に向かって一気に走り出して行った。
「はぁあぁあーッ!」
空中で身体を捻り、飛び蹴りの体勢に入ったケージの「ジャッジメントストライク」が唸りを上げ、1人目の黒死兵のボディに炸裂した。
「でぇえぇッ……ああぁああァッ!」
滞空しながら上体を翻し、後ろ回し蹴りの体勢へと移行していたオルバスも。足裏にある蹄鉄の意匠に眩い電光を纏わせ、渾身の一撃「FIFTYΦブレイク」を2人目の顔面に叩き込んで行く。
「ライッ、ダアァアァッ! スゥマアァアァッシュッ!」
エネルギーを右腕の拳に集中させたUSAも、渾身の力を込めたストレートパンチ「ライダースマッシュ」で、3人目の横っ面を殴り飛ばしてしまった。
「エクストリーム――シャフトスラッシュッ!」
そして、専用拳銃「シャフトブレイカー」にソードイグニッションキーを装着したターボは。刀剣形態に変形させた直後に再びキーを捻ることによって刀身にエネルギーを集中させ、4人目の身体を袈裟斬りにしてしまうのだった。
そんな彼の「エクストリームシャフトスラッシュ」が決まり、4人目のボディが二つに切り分けられた瞬間。新世代ライダー達の必殺技を浴びた4人の黒死兵達は、同時に爆散してしまうのだった。
「よし……仕留めたッ! 皆、市長公邸に向かうぞ! 先に突入した彼女達が気掛かりだ……!」
「了解ッ……!?」
その爆炎を見届けたケージは自分達の勝利を確信し、ニッテ達の後を追うべく公邸に向かおうとする。そんな彼にオルバスが続こうとした――その時だった。
4人の黒死兵を飲み込んだ爆炎の向こうから――1台の兵員輸送車が走って来たのである。ケージ達の目前で停車したそれが単なる輸送車ではないことは、彼らも本能で察知していた。
「M59……? 見掛けはベトナム戦争期のアメリカ軍車両……のようだが、どうやらただの輸送車ではないようだな」
「……ご丁寧なことだ。あちらさんから出向いて来るとは」
「先行した彼女達の生命反応は一つも途絶えていない。……どうやらこいつ、彼女達を素通りして直接俺達のところに来たようだ」
ケージとUSAが険しい声を漏らす一方で、ターボはニッテ達の生命反応に変化がない点に気付き、この輸送車の目的が自分達であることを見抜いていた。
「……見てくれは単なる輸送車だからな。恐らく彼女達も、公邸から逃げ出した敗残兵の車だと思って、相手にしなかったのだろう」
「そして真っ直ぐに俺達のところに来たってわけだ? モテる男は辛いねぇ〜、どうやら俺達の魅力は無機物までメロメロにしちまうらしい」
冷静に状況を分析するケージに対し、オルバスは軽口を叩きながらエンジンブレードを構えている。輸送車の車体上部に搭載された重機関銃が、彼ら目掛けて火を噴いたのはその直後だった。
「……ッ!」
ライダー達は咄嗟に両腕で防御姿勢を取り、「挨拶代わり」の掃射を凌ぎ切る。銃撃に伴う硝煙が立ち込める中、彼らは蚊が刺した程度にも効いていないと言わんばかりに、ひらひらと手首を振っていた。
「……へっ、ブローニングM2か。随分とノスタルジックな代物を持ち出して来るじゃねーか。物持ちの良い奴は嫌いじゃないぜ」
ブローニングM2重機関銃。その銃口から連射された弾丸を防ぎ切ったオルバスは、仮面の下で皮肉混じりな笑みを浮かべている。
そんな彼らの殺気を敏感に感じ取ったのか――輸送車のハッチが即座に開かれ、そこから仮面ライダーRCがゆっくりと身を乗り出して来た。
「……どうやらただのロボット怪人、というわけではないようだが。どんな相手だろうと、ノバシェードの尖兵として立ちはだかるのなら容赦はせん」
その異様な姿と気迫に戦慄を覚えながらも――ケージを筆頭とする4人の新世代ライダーは、剣や拳を構えて臨戦態勢に突入していく。
「……標的の4名を捕捉した。これより、『学習』を開始する」
そんな彼らと対峙することになったRCは、濁った機械音声で独り静かに呟いていた。
ひび割れたアスファルトの上に降り立った鈍色の怪人は、俯いていた顔をゆっくりと上げ、静かに両手を広げる。その大きな複眼からは、禍々しい輝きが放たれていた。
それは「学習」という名の、「戦闘」を始める合図だったのである。
◆
――よぉ、あんたか。なんだなんだ、心配になってわざわざ連絡して来たってのか? ハッ、見かけによらず過保護なんだな。LEPなら今頃、仮面ライダーの坊主達と遊び始めた頃だろうよ。余興としてくれてやった俺の花輪、さぞかし大ウケだったろうなぁ。
――心配しなくたって、こんなところでブッ壊されるようなLEPじゃねぇよ。そんなことはあんたの方がよく分かってることだろう?
――47年前、あんたがツジム村で鹵獲したティーガーIの現地改修車。アレを羽柴が「タイガーサイクロン号」と名付けて乗り回すようになってから、アイツは「仮面ライダー羽々斬」と呼ばれるようになった。
――だが、その名で呼ばれた最初の男はアイツじゃあない。あの外部端末は最初から、LEPを積んだ装甲車と併せての運用を前提とする設計で、清山に造られていた。仮面という名の外装で何もかも覆い尽くした、マシンありきのブリキ野郎。だから……「仮面ライダー」の名を最初に与えられた。
――その「始祖様」が直々に出張っていらっしゃるんだ、ここはドンと構えて見守ってやろうじゃねぇか。あのRCこそが……この世界にとっての、「仮面ライダー0号」なんだからよ。
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