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イベリス

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第九十四話 牛丼を食べてその八

「昔はね」
「もっと評判悪かったのね」
「そうでね」
 それでというのだ。
「避けられていたのよ」
「カレーとかにしたら美味しくても」
「牛丼とかには合わないから」
 愛は先程自分達が食べたものの話もした。
「それでよ」
「和食に合わないってことね」
「お刺身にも納豆にもね」
「それでなのね、私もね」
 納豆と聞いてだ、咲は言った。
「納豆好きだしね」
「身体にもいいしね」
「朝よく食べるけれど」
「納豆はやっぱりね」
「ジャポニカ米ね」
「これが合うし昔の朝ご飯って」
 愛はさらに言った。
「和風ばかりで」
「納豆多いわね」
「関東だとね」
「関西じゃ食べないのよね」
「昔は全然だったのよ」
「そうだったみたいね」
「だからね」
 それでというのだ。
「卵焼きとか海苔とかメザシとかお漬けものにもね」
「ジャポニカ米ね」
「それが合ったから」
 だからだというのだ。
「尚更だったのよ」
「インディカ米避けられてたのね」
「日本ではね」
「そうなのね」
「まあ今は洋食のね」
 そうした朝食もというのだ。
「多いでしょ」
「パンね」
「あと目玉焼きとかね」
「そういうの多いから」
「だからね」
 今はというのだ。
「タイ料理とかのお店も増えたし」
「インドのカリーのお店もね」
「カレーと違うわよ」
「カレーは日本のお料理ね」
「元はカリーでも」
 インドのそれでもというのだ。
「それがイギリス経由で日本に入って」
「カレーになったのよね」
「だからルーもとろみがあるし」
 カレールー、カレーをカレーたらしめているこれもというのだ。
「ジャポニカ米にね」
「合う様になってるわね」
「そうよ、けれどインドもね」
「インディカってインドだし」
 この国の料理でというのだ。
「カリーだってね」
「インディカ米に合ったお料理でね」
「そのお店もあるし」
「前以上にね」
「インディカ米に慣れてるわね」
「日本人もね、だからね」
 こうした事情があってというのだ。
「咲ちゃんの学校でもね」
「インディカ米もなのね」
「出てると思うわ」
「そうなのね」
「まあ丼とかカレーにインディカ米だと」
 その場合はとだ、愛が少し考える顔になって話した。
「ちょっと変かなってなるかもね」
「合わないから」
「けれどそれ位でね」
「食べられるのね」
「食べられないことはないから」
 決してというのだ。 
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