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イベリス

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第九十三話 お弁当を食べてからその十

「噛まれたら大変だし生態系もね」
「乱すから」
「だからね」
「そうした生きものを見たら」
「連絡して」
 保健所にというのだ。
「駆除してもらうこともね」
「必要なのね」
「生態系を崩したら」 
 それこそというのだ。
「大変だからね」
「ブラックバスとかブルーギルとか有名よね」
 咲も言った。
「何かと」
「そう、だからね」
「それでなのね」
「実際そうした生きものは問題になってるでしょ」
 母も言った。
「皇居でもね」
「ブラックバスがね」
「お堀に増えてね」
「陛下が激怒されましたね」
「そう、昭和帝がね」
 この方がというのだ。
「もうね」
「お堀の他の生きものを食べて生態系を乱すので」
「激怒されたのよ」
「滅多に怒られない方でしたね」
「本気で怒られたのは二度よ」
 お子にご息女が続いて読んでも生まれて日本全体でどうかという声が上がっても全く動じられず後に平成帝となられる方がお生まれになられるまでそうであった方がだ。
「たったね」
「それも凄いですね」
「長いご生涯でね」
 帝として勤められた六十四年に摂政であられた大正の五年だけでなくだ。
「それだけよ」
「ニ・二六事件と」
「それだけよ」
「ブラックバスね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「あの方が激怒されるとなると」
「生態系のお話って深刻ね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「あんたも昭和帝ア知ってるわね」
「素晴らしい方ね」
 咲も言った。
「明治帝と並ぶ」
「そうよ、お父さんもお母さんも言ってるでしょ」
「素晴らしい方だってね」
「そう。だからね」
 それでというのだ。
「そうした方が言われることだから」
「その通りね」
「あのね、皇室は大事にしないとね」
 母はここで強い声で話した。
「駄目よ」
「日本人ならね」
 それこそというのだ。
「皇室そして陛下とね」
「皇室の方々はね」
「敬意を払ってね」
 そしてというのだ。
「見るべきよ」
「そうよね」
「お母さん見たからね」
 ここで母は深刻な顔で述べた。 
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