その小さな女の子のことが気になってしまったんだが、どう接していけばいいんだろう
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8-2 ななの中2 夏まつり
当日は、やっぱり乗り換え駅で待ち合わせをして、ななのちゃんはジャンパースカートに麦藁帽だった。今回はお母さんも安心して送り出してくれたみたいだった。今日は、奥琵琶湖の展望台に行くからと、少し早い目に出てきていた。
「シュウ お弁当作ってきたよ 上で食べようと思ってなー」
「そうか リュツク重いだろう 持とうか?」
「平気 電車 多分 座れるでしょ?」
途中、ななのちゃんは窓からの風景を懸命に見ていて
「なぁ いつも思うねんけど なんで、もっと琵琶湖が見えるとこ走ってないねんやろーネ 田んぼとか工場ばっか」
「うーん 琵琶湖の側は水害もあるし、地盤もあるだろうし、昔の街道が山寄りだったせいもあるのカナ あっちは、住んでる人も少ないし」
「そうかー じゃーぁ 新幹線はもっと際にすれば良かったのにネ」
「あぁ そうだね でも、風景だけの為に新幹線を作ったのじゃぁ無いからなぁー」
実家に着いた後、挨拶もそこそこにして、早速出て行った。と、言っても借りたのは軽トラックでエアコンも付いていなくて、窓を全開で走っていて、ななのちゃんの髪の毛も後ろになびいていたりして、彼女なりに両手で抑えていた。
「すごいね ここが琵琶湖の北の端なんだ 波も静か 鏡みたいなんだね」
「そうだよ 周りを山で囲まれているからな 昔はな、この大浦から、丸子船というので坂本とか大津に荷物を運んでいたんだよ」
「へぇー 何運ぶん? 椎茸?」
「いや それは無かったと思う 敦賀の港に着いた北海道からの主に昆布とか海産物だった」
「そーなんやー そやから関西の人は昆布だしを大事にするんやなー 昔は北廻りの船やから、江戸には持って行かへんやったんやろー? 家康さん 味音痴やから 醤油ばっかーで 濃いぃー 味になったんやな」
「まぁ それはどうだかな ななのちゃんは、想像がすぐに脹らむなぁー いや 悪いことじゃぁないと思うけど」
そして、展望台に着いた時も、いきなり走り出して、琵琶湖を眺めていた。
「わぁー すんごく広いんだねー 大津のほう見えない 私等住んでるとこも見えない 島もあるんだね 水面が鏡みたいに光ってる」
そして、適当な場所をみつけて、ななのちゃんが作ってきたというお弁当を広げて
「あのね おにぎり 私のとお母さんが作ったのがあるからね どっちが私のんか 当ててみてー」
ひとつは海苔が巻いてあって中身は糸こんにゃくと かにかまを和えたもの もうひとつは鰹節、にんじん、えのき茸を細かくしてご飯と混ぜて握ったもの。微妙に甘辛いのだ。ほかには、定番の玉子巻きと豚肉でピーマンを巻いて味付けしたもの。
「ななの どっちもおいしいしー わからない」
「うーん 嫌だ よーく考えてー どっちが私の味? いつも食べてるからわかるでしょ?」
「そーだなぁー こっちカナ 御飯に混ぜてあるやつ いつもの ななのの味カナ」
「ピンポーン 正解 やっぱり シュウ 私への愛情の証だね」
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