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その小さな女の子のことが気になってしまったんだが、どう接していけばいいんだろう

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第7章
  7-1 ななのの着物姿

 元旦、僕は、木之元の駅までななのちゃんを迎えに来ていた。お正月はお母さんと迎えてからと言って、僕の実家に来ることを許してもらったらしかったのだ。

 ななのちゃんは去年も来ていたダウンのコートに僕がプレゼントしたワンピースで来ていた。僕を見つけるなり、飛びつくようにしてきて

「心細かったよー こんなに一人で乗るのって初めてヤン シュウに会えなかったら、どうしょうと思ってた」と、留めていない髪の毛が風で舞ってしまって

「うん ごめんな そんなだと思ってなかった 僕だって、心配で後悔していた」と、僕は思わず彼女の髪の毛と肩を抱きしめていた。

「シュウ 温かいけど、苦しいよー」と、僕の胸の中から・・ななのちゃんの頭を胸に押し付けていたのだった。

 それから、歩いて実家に向かって、母とかがみさんが迎えてくれた。かがみさんも着物姿で、僕は初めてみるんじゃぁないだろうか。かっての同級生なんだけども。
 座敷にあがると座卓の上にはお節料理とかカニの足が並んでいるのだ。僕の居ない間に兄貴と父はもうそれなりに飲んでいた。

 そして、年末に母が知り合いに聞きまわって、ななのちゃんの着物を借りてきて、隣の座敷に吊り下げていたのだ。その部屋では、昨年生まれた琳太郎が寝ていた。

「ななのちゃん 明日 これ 着せてあげるからネ 地蔵院にでもいってらっしゃい 秀が急に ななのちゃんが来るって言うものだから 慌てて・・・借り物で申し訳ないんだけど」

「ウワー 私 こんなの着れるんですか おばさん ありがとう うれしいぃー」

 その夜は、ななのちゃんは生まれてからひとりぼっちの部屋で寝たことが無いからと、僕の隣で寝るとぐずっていたが、僕は2階の隣の部屋で寝たのだった。
 
次の日、お雑煮で朝ご飯を済ませた後、父がななのちゃんにお年玉と言ってポチ袋を、僕も用意していたので渡すと、ななのちゃんは

「私 こんなー 貰う訳に・・」と、下を向いてもじもじして僕の顔を見ていたけど、母が

「ななのちゃん 遠慮しないで あなたは私達の娘なんだから 欲しいものでも買ってちょうだいナ」

 ななのちゃんは下を向いて、いつものように涙をこらえているようだった。そして、小さな声で「ありがとうございます」と、言っていた。

 その後、ななのちゃんは母に着物を着せてもらって、髪の毛をセットするのでかがみさんが来ていた。

 現れたななのちゃんは、唇にほんのり紅いリップクリームをつけて、眼のあたりと頬もアイシャトーとチークで幾分紅くしているような、夏にも見ていたけど、もっと、大人の顔つきになっていた。髪飾りも大きな花を頭の横に付けてもらっていた。

「シュウ君 どう? アイドルで通用するでしょう?」と、かがみさんが自慢げに話してきた。ななのちゃんは、恥ずかしそうに僕のほうを見たきりだった。

「ウン 可愛い いや 美人だ こんな娘連れて歩いていて、スカウトされたらどうしょうか」

「バカ言うんじゃぁないの それより、痴漢から守ってあげなさいよ お詣りの人多いんだからネ」

「わかってるよー 兄貴達は行かないの?」

「えぇ 琳太郎が風邪ひかれたら大変でしょ あなた達も気をつけなさいネ」

 途中まで兄貴が車で送ってくれて、歩き出すと、ようやく僕の腕に絡みついてきたのだ。

「ねぇ ねぇ 私って きれい?」

「そうだね 予想以上にきれいだし、少し、大人びて・・・」

「うん シュウにそーゆうてもらえるのが、一番 うれしい それにこんなの着せてもらって・・」

 歩いていると、ななのちゃんを振り返って見る人が何人か居たのを僕は感じていたのだ。その時、僕は、小さな優越感を感じていたのだ。

 
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