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大阪幽霊談議

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第三章

「織田作さんの幽霊出るって話があったらしいで」
「ほんまかいな」
「煙草屋でヒロポン買うっていう」
 そうしたというのだ。
「話があるけどどうもその時のな」
「織田作さんの幽霊もかいな」
「詳しいことはわからんけど」 
 それでもというのだ。
「どうも」
「足あるんかいな」
「織田作さんが死んだと思ってたら」
 その時にというのだ。
「馴染みの煙草屋さんにな」
「織田作さん来てかいな」
「ヒロポン買うって」
「そんなお話があるんやね」
「それでその時の織田作さんの幽霊は」
 織田作之助が亡くなったのは昭和二十二年一月十日のことだ、東京に取材に行きそこで持病の結核が悪化し世を去ったのだ。
「どうもこれが」
「足あったんかいな」
「そうみたいやねん」
「そやってんな」
「それでな」 
 ジェーンはビールを飲みながら友人にさらに話した、お好み焼きを焼くその手捌きも見事なものである。
「大阪に幽霊の足形あるお寺があるそうや」
「手形やなくてか」
「足形や」
 それだというのだ。
「それがあるらしいわ」
「そうなんやな」
「それで今度そのお寺に行ってみるけど」
 自分が焼いたお好み焼きにソースにマヨネーズそれに鰹節に青海苔もかけてへらで切りつつ話した。
「マネージャーさんも一緒やけど」
「私もかいな」
「どないや、今度の日曜」
「そやな、彼氏もおらんし」
「お互い欲しいとこやな」
「ほんまな、しかし暇なんは幸いや」
 今はというのだ。
「ほなな」
「一緒に行こな」
「そうしよな」
 こうした話もしてだった。
 ジェーンは津々子と一緒にマネージャーも交えて三人でその寺に参った、そうして寺の僧侶に話してだった。
 その足形を見せてもらった、すると。
「ほんまにあるな」
「そやね」
 津々子はジェーンの言葉に頷いた。
「幽霊の足形が」
「ほんまにあるなんてな」
「まさかと思ったけど」
「幽霊に足がある証拠やな」
「これは」
「はい、何でもです」
 寺の僧侶が二人に話した。
「江戸今の東京からここまで一瞬で」
「来たんですか」
「そうなんですか」
「それで当時の住職は瞬時にわかったそうです」
「その来た人が幽霊やと」
「そうわかったんですか」
「そうらしいです、そして足形を貰ったのですが」
 その幽霊からというのだ。
「それがです」
「この足形なんですか」
 マネージャーもその足形を見つつ話した。
「そうですか」
「はい、そうです」
 まさにというのだ。
「これはまさにです」
「幽霊に足がある証ですか」
「そう言えるものです」
「そうなんですね」
「幽霊と人間の違いは何でもないです」 
 僧侶はこうも言った。 
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