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おっちょこちょいのかよちゃん

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272 白魔術の凌駕

 
前書き
《前回》
 かよ子はモンテスパン公爵夫人に杖を向けた。その時、杖は白く光り讃美歌のようなオルガンの音色が聞こえてきた。法然によるとそれは白魔術だという。その白魔術を使用してかよ子はラ・ヴォワザンとモンテスパン公爵夫人の黒魔術を弱体化させる。己でも驚くほどの凄さでかよ子は途中で思わず白魔術を解除してしまう。だが、徐々に二人を追い詰めて行き、かよ子は気を取り直してもう一度白魔術を発動させる!! 

 
 かよ子の杖から白魔術が発動された。賛美歌を奏でる時のオルガンのような音色が流れた。
「いけえ!」
 モンテスパン公爵夫人とラ・ヴォワザンの黒魔術が無効化されていく。そして周りの異能の能力(ちから)が更に強まっていった。
「こ、このお・・・、杖を取るどころか強くさせるなど・・・」
「ラ・ヴォワザン。撤退するわよ!」
 モンテスパン公爵夫人は逃走を試みた。周囲に煙を出現させる。そして相手から姿を見えなくさせる事で自分達を瞬間移動させようとするつもりであった。
「・・・、何!?」
 モンテスパン公爵夫人は己の能力を疑った。煙が消えたその場所は今迄と異なる場所に移動される。そのはずだった。しかし、先程と変わらぬ場所だった。
「私の魔術があの小娘の杖に負けただと!?」
「この竜巻雲を受けな!」
 高崎が竜巻雲を放っていた。竜巻で二人共目を回され、身体を振り回されていった。
「あ、おお・・・!!」
 かよ子はあの竜巻を見た。
(あの竜巻を利用できれば・・・!!)
 かよ子は好機と思い、高崎が出した竜巻に杖を向けた。更に強力か竜巻で魔女と公爵夫人を苦しめた。
(なんの・・・。我々の・・・、魔術を・・・!!)
 このまま死ぬわけにいかないと思い、ラ・ヴォワザンは身代わりの人形を出した。そしてモンテスパン公爵夫人は竜巻から脱出すべく、竜巻を破壊しようと試みた。
「雷・・・よ・・・!!」
 竜巻に雷撃を流し込んで消滅させようとする。だが、竜巻は弱化せず電撃も次第に消えていった。
「悪あがきなど通じますか!」
 法然と大五郎もこれ以上の黒魔術を封じるべく法力を強めていたのだった。
(終わるのか・・・!?)
 ラ・ヴォワザンが出した人形も呆気なく竜巻に破壊されてしまった。両者とも呼吸ができなくなった。そして風圧では普通にありえない事に驚いた。胴体が両断されたのだった。
(あ、そんな、信じられない・・・!!もう一度杖を奪える好機だったのに・・・!!やられるなんて・・・。あの杖に白魔術が使えたのかしら・・・!?あの小娘がそんなに成長したって事なの・・・!?納得できない・・・!)
 ラ・ヴォワザンは死に絶えるまでの間、気に食わない文句を心のなかで言い続けた。そして消えた。一方のモンテスパン公爵夫人も悔しがった。
(くう、ここで杖を取り返してレーニン様を喜ばせて差し上げようと思ったのに・・・!!そうすれば貢献できた・・・。なのにこのザマなんて・・・!!)
 モンテスパン公爵夫人も光と化したのだった。白魔術を扱えるようになった杖の所有者達が勝利したのだった。

 本部の管制室。まき子は娘達の戦闘現場にて敵の点が消失した事を確認した。
「かよ子達、勝ったのかしら・・・?」
「きっと勝てましたと思います。連絡してみましょうか」
 フローレンスは通信機を取り出し、かよ子達藤木救出班日連絡した。
「こちらフローレンス。皆様、勝利を飾りましたのですか?」
『こ、こちら山田かよ子。ラ・ヴォワザンにモンテスパン公爵夫人ってのを、た、倒しました!』
 杖の所有者が噛みながら返答した。
「そうでしたか。黒魔術の使い手達を打ち破りますとお見事です。大変でしたでしょう。ご休憩なさってください」
『は、はい。ありがとうございます・・・!!』
「ところで山田かよ子ちゃん」
『は、はい?』
「杖が黒魔術に勝てましたといいます事は杖に何か変化がありましたのではありませんでしょうか?」 
『は、はい、杖が白くなりました・・・!!今迄になかった事です』
「そうですか。貴女の杖には白魔術を操る能力(ちから)が宿りましたのです」
『そうなんですか・・・!!凄い!』
「きっと役に立てますと思いますわ。白魔術は医学や錬金術の(いしずえ)ともなっていますので。応援していますよ」
 かよ子の母も連絡を繋いだ。
「かよ子、凄いわ。お母さんにできなかった事ができたんだから凄いわよ。頑張ってね」
『お、お母さん・・・。ありがとう!!』
 娘は母に礼をした後、連絡を終了させた。
「まきちゃん、よかったね〜。また杖が強くなって」
 奈美子が褒めた。
「うん。あの子もきっと一回杖が取られたから強くなりたいって思ったんじゃないかしら・・・」
 先代の杖の所有者は信じ続ける。娘達こそが元の日常を取り戻し、また日本を戦争への道に進まないように赤軍達の脅威から止めてくれると。

 かよ子達は共闘した法然に岡山県の高校生三人組とその場で休息を取っていた。
「それが君の杖なんネ」
 島がかよ子の杖を見た。
「はい、この世界で一番強いっていう道具の一つに入ってるんです。私のお母さんも戦後、この杖で食料不足とかを乗り越えたんです。
「そうですか、それで我々もその聖なる四つの道具が私でも秘密にされていたのですか」
 法然もその杖を見た。
「法然さんでも知らなかったの?」
 高崎が法然に聞いた。
「はい、それだけこの世界における重要な道具でしょうから。私もフローレンスとイマヌエルから聞いたのですが、この杖は剣、護符、杯と共にこの世界を創り出した根源とされる道具だとの事です。西洋には炎、水、地、風の四つの元素がもとで世が創られるとされており、杯は水、護符は地、剣は風、そして杖は炎を司るものなのです」
「そうなんだ・・・」
「そんな杖と戦えるなんてこっちにゃ凄い事だぜ」
 中本はそう思っていた。
「あ、ありがとうございます・・・」
 かよ子は杖を試す。
「白魔術の杖って、どんなんだろう・・・?」
 かよ子は立ち上がって杖を試してみた。杖が白く光った。そしてまた賛美歌を奏でるオルガンの音色が聴こえる。
「なんか教会に来たみたいやな」
「ああ、これが白魔術の音楽か」
「そうみたいですね。ラ・ヴォワザン達に対してもこの音楽が聴こえると白魔術が発動されるんだ・・・」
 かよ子はそして島の言葉「教会に来たみたい」という台詞であの事も思い出した。
(そういえばりえちゃんも夏休みに清水に来た時は教会でピアノ弾いてたんだっけ・・・?)
 かよ子は今、杯の所有者がどうなっているのかが気になるのだった。

 レーニンと杉山は目的地へと進む途中、トランシーバーを通して房子から連絡を受けた。
「レーニン様。ラ・ヴォワザンとモンテスパン公爵夫人が杖の所有者に倒されたとの事です」
「何だと?ラ・ヴォワザンとモンテスパン公爵夫人がか?」
『どうしますか。我々もそろそろ反撃に動きましょうか?』
「いや、待て。東側はまだ残っている。兎に角杖の所有者の小娘は妲己や紂王が追い払えるかという所だ。念を入れてトロツキーやスターリンと共にまだ制圧されていない地を向かい、守護・迎撃するのだ」
『了解しました』
 トランシーバーの通信を終える。そして杉山は考える。
「・・・なあ、そのラ・ヴォワザンとかモンテスパン公爵夫人ってのは一体どんな使い手だったんだ?」
「何れも黒魔術を武器とする者共だ。黒魔術という強力なものを打ち破れるとはおっちょこちょいの小娘にしては驚きだが・・・。まあ、他の者の協力があってこそかもしれんがな」
「そうか・・・」
(つまりだ、山田の杖はもっと強くなっている・・・。俺も大将に相応しい程に強くなんねえとな・・・!!)
 そして杉山は親友の事を考える。
(大野・・・。お前が転校する前に終わらせてやるから待ってろ・・・!!) 
 

 
後書き
次回は・・・
「唯一の取り柄」
 藤木とりえは雪山の中の氷河に到着した。藤木は己の唯一の特技を披露すべく、スケートの技を披露していく。りえにその姿を虜にさせることはできるのか。そして藤木は「前の世界」でできなかった「ある事」を実行する事に・・・!! 
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