星河の覇皇
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第八十三部第三章 今だ目覚めずその六十八
「それでもだ」
「構わないですね」
「それでも」
「まずはそこからですね」
「そこからはじまりますね」
「戦車は最初驚かせるだけだった」
そう言っていい位の兵器だったというのだ。
「一次大戦で登場した時はな」
「その程度でしたね」
「火力は弱く速度も遅く」
「また故障も多い」
「そうした兵器でしたね」
「馬の方がいいと言われていた」
二次大戦がはじまる頃まで実際にそう言われていた、リデル=ハートの様な先見の明がある人物もいたが。
「騎兵の方がな」
「それが、ですね」
「技術革新の結果」
「素晴らしい兵器となりましたね」
「戦車も」
「そうだ、造ることだ」
まずはというのだ。
「何といってもな」
「兵器についても」
「他のものでもそうですが」
「まずは造ること」
「それが大事ですね」
「そうだ、私もだ」
タンホイザーは今度は自分の料理の話もした。
「作ってみてだ」
「そしてですか」
「長官もですか」
「まずは作られてですか」
「それからですか」
「船だが」
その船はというと。
「瓶詰めの船があるな」
「そういえば」
周りの者達はここで言った。
「閣下は模型造りがお好きでしたね」
「しかも帆船が」
「特に瓶詰の船が」
「左様でしたね」
「あれには二つ造り方がある」
瓶詰の船英語で言うボトルシップのそれはというのだ。
「まずは船を造りだ」
「そうしてですね」
「その船を瓶の中に入れる」
「二つに割ったその中に入れて」
「瓶の中に挟んで入れて瓶を接着する」
「そうしたやり方ですね」
「そうだ、そしてだ」
タンホイザーはさらに話した。
「もう一つあるが」
「瓶の中で、ですね」
「割っていないそのままの瓶の中で造っていく」
「小さな部品を一つずつピンセットで入れていき」
「そうして造っていく」
「非常に難しい造り方ですね」
「それが通の造り方といいますが」
周りの者達も言う、これはエウロパでは貴族の趣味の一つとされているが彼等の多くも貴族出身なのでそれがわかるのだ。
「長官はそちらですね」
「そうして瓶詰の船を造られていますね」
「まだご幼少の頃からといいますが」
「そうされていますね」
「あれは難しいとされている」
実際にとだ、タンホイザーは話した。
「そして実際に私もだ」
「最初はですか」
「難しいと思われましたか」
「左様でしたか」
「子供の頃無理だと思った」
自分にはというのだ。
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