星河の覇皇
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第八十三部第三章 今だ目覚めずその六十七
「日本には感謝の意を述べている」
「最後まで同盟者だったからだと聞いていますが」
「最後の最後までドイツを裏切らなかった」
「他の枢軸国がドイツを裏切るか降伏する中で」
「日本だけは最後まで供にあったので」
「そうしたという、そしてその日本だけでなくだ」
タンホイザーはここからまた話を戻した。
「我々もだ」
「技術的優位なぞ絶対ではない」
「誰でもひっくり返せる」
「それで、ですね」
「我々もですね」
「そうする、今それを全分野で挑んでいるが」
これも現総統であるギルフォードの政策だ、彼はエウロパの発展の為に技術革新と発展を掲げているのだ。
それをタンホイザーも受けてだ、それで言うのだ。
「それをだ」
「軍でもですね」
「行っていきますね」
「総統は軍もそこに入れておられますし」
「それも最も発展させるべき分野の一つ」
「そう言っておられますし」
「だからだ」
それだけにというのだ。
「ここはだ」
「軍としては」
「兵器をどんどん発展させています」
「それならですね」
「そうしていきますね」
「そうだ、今の戦艦や空母等も発展させていくが」
それだけでなくというのだ。
「その兵器もな」
「開発してですね」
「実用化する」
「連合軍に対抗する為に」
「そうもしていく」
こう言うのだった。
「いいな」
「わかりました」
「では、ですね」
「今は観戦武官達に観てもらい」
「そのうえで、ですね」
「詳しい情報を届けてもらう」
「そうしてもらう、しかし」
タンホイザーはまた言った。
「最初に我々が持つその兵器は拙いかも知れない」
「連合軍と比べても」
「オムダーマン軍のそれと比べても」
「そうかも知れないですね」
「その兵器は」
「そうだ、しかしだ」
それでもというのだ。
「まずはだ」
「開発することですね」
「それが大事ですね」
「開発、製造し実用化し」
「運用することですね」
「最初は例えおもちゃの様なものでもだ」
そう言う位拙いものでもいいというのだ、タンホイザーはそのテノールの声、バリトンに近いがそれでもテノールであるその声で語った。ワーグナーの楽劇で知られているヘルデン=テノールの声であった。
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