イベリス
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第九十話 合宿最後の日にその十二
「おかしな人はどういった人か認識して」
「おかしな人にはならないで」
「それでね」
そのうえでとだ、部長はさらに話した。
「おかしな人には近寄らないで」
「おかしな組織にもですね」
「入らないことだよ、それでおかしな組織もね」
こちらもというのだ。
「ちゃんとね」
「おかしいと思うことですか」
「まあ学生運動の赤軍派とかナチスとかソ連とかは」
「おかしいですね」
「それとやたら偏狭な教えやお金を欲しがる宗教もね」
「おかしいですね」
「自分達以外は皆敵だと言ったり」
こうした宗教団体も存在しているのだ、世の中は。
「それでね」
「お金をですね」
「やたら欲しがる様ならね」
「おかしいですか」
「そう思ってね」
「やっていくことですね」
「それでいいと思うよ、おかしいことをおかしいってね」
その様にというのだ。
「わかることも大事だね」
「何でも正しいじゃないですか」
「百人いれば百人の正義があるけれど」
それでもというのだ。
「偏狭だったり自分しかなかったり他の人の痛みをわかろうともしない様な」
「そうした正義は正しくないですか」
「間違ったものもあるってことがね」
「世の中ですね」
「だからそれぞれの主義主張はあっても」
部長は咲に真面目な顔で話した。
「自分以外はない、他人の命を何とも思わない様なら」
「間違ってますね」
「だから大阪のそのお店も潰れたし」
「親会社ごとですね」
「人の痛みをわかろうともしないレベルの馬鹿を雇う位だったし」
その程度の人を見る目しかなかったからだというのだ。
「やっぱりね」
「おかしいということは何か」
「それをわかってね」
「生きていくことですね」
「そう思うよ、本当にね」
部長は咲に話した、そうした話をだった。
咲は合宿の最期の日の前にした、その上で最後の打ち上げの人を迎えるのだった。
第九十話 完
2022・12・8
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