星河の覇皇
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第八十三部第三章 今だ目覚めずその六十
「非常に優れた政治家だ」
「だからですね」
「政治家のその資質からですか」
「あの兵器について気付いている」
「そうなのですね」
「そうだろう、彼が戦場に出ても私は何も恐れない」
八条は軍人であった、だが戦術家としては問題ないというのだ。
「だが政治家としての戦略はな」
「それはですね」
「恐ろしいものがありますね」
「連合の軍事行政は問題ありません」
「まるで大河が流れる様です」
「そこまで順調です」
「見事なものです」
敵だから尚更わかることだ、エウロパにとっては八条の国防長官としての手腕はそれだけ恐ろしいものであるのだ。
だからだ、彼等も言うのだ。
「防衛戦略も見事ですが」
「それだけではないですね」
「予算の使い方も問題なく」
「兵器の開発も素晴らしいです」
「敵ながら」
「優れた政治家は優れた軍人でもある」
タンホイザーはまた言った。
「それがあの御仁がな」
「それで、ですね」
「今回のことも気付いて」
「そしてそのうえで」
「手を打ってきますか」
「そうなのですか」
「そうだ、おそらくあの御仁はわかっていて若しかすると」
八条、彼はというのだ。
「あの兵器を連合軍の中でだ」
「開発していますか」
「まさか」
「まさかと思いますが」
「既にですか」
「あれだけ見事な政治家はそうはいない」
このことは敵であるエウロパとりわけ軍務省の者達が行っていることだ。
「兵器のこともよくわかっているからな」
「それだけにですね」
「あの御仁はですか」
「既にですか」
「あの兵器を連合で、ですか」
「開発もしていますか」
「そうかも知れない、我々もわかればだ」
その時はというのだ。
「あの兵器をな」
「研究し開発し」
「そしてですね」
「実用化し製造し」
「艦隊に配備してですね」
「運用し」
「攻撃にも使う、見えない兵器はな」
それはというと。
「これ以上はない武器になり得る」
「発見されれば終わりにしても」
「それでもですね」
「それだけで、ですね」
「強い武器になりますね」
「だからだ、夢の兵器でもある」
タンホイザーはこうも言った。
「そうした兵器はな」
「ですね、確かに」
「姿が見えないとなると」
「相手は対処出来ないです」
「これ程強い兵器はないです」
「例え弱点が多くとも」
「発見されれば終わりにしても」
「無敵の兵器は存在しないが」
それでもというのだ。
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