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仮面ライダーBLACK RX〜ネオゴルゴムの陰謀〜

作者:紡ぐ風
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第十一話『恐怖の大怪人』

 傅く三神官の前にクリムゾンエクリプスは歩み寄る。
 「ソフィル、エピメル、そしてリシュナルよ。よくぞ今まで持ち堪えた。今こそ、人類への宣戦布告のときだ!」
 クリムゾンエクリプスは右腕を掲げる。すると、その右手に真紅の光が集まり、世紀王が振るいし聖剣、サタンサーベルが復元されクリムゾンエクリプスはそれを握る。
 「かつて仮面ライダーBLACKによって破壊された聖剣、今この手で復元した。」
 クリムゾンエクリプスはサタンサーベルの使い勝手を確認する。
 「ああ、なんと凛々しいお姿。」
 その姿にリシュナルは歓喜の声を上げる。
 「お前たちから注がれた3つの石、返却してやろう。お前達も石を取り込み、新たな力を得るのだ!」
 クリムゾンエクリプスは自身に取り込まれた火、水、風の石を出現させ、ソフィル達に吸収させる。
 「おお、石の力が!」
 「我らの肉体に溶け込んでゆく!」
 「これが、バラオム達が使えた大怪人の力!」
 三つの石がそれぞれの体に溶け込むと、神官達のローブが破れ落ちる。そこには、カメロケラスの鎗状の殻を右腕に武器として備え、触手が五本の指を形成する大怪人ソフィル、始祖鳥の羽毛をドレスの様に纏い、防風を発生させる翼を有する大怪人リシュナル、ティタノボアの長く太い尻尾を振るい、穿ち砕く牙を光らせる大怪人エピメルへと進化した三神官の姿があった。
 「大神官程に至るまでの力はないが、大怪人の力があれば、地上の制覇など容易なものだ。大怪人達よ、今こそネオゴルゴムの名を人類共に轟かせるのだ!」
 クリムゾンエクリプスの言葉に、大怪人達は頷いた。

 フンコロガシ怪人の撃破から1週間。ネオゴルゴム怪人が現れることはなく、光太郎達は束の間の平和を不審に思っていた。
 「兄貴、あれからネオゴルゴムの足跡が一切消えたけれど、何かあったんだろうか?」
 「分からない。だが嫌な予感はするんだ。フンコロガシ怪人の行動は明らかに不自然すぎた。」
 「不自然?一体どういうことだ?」
 「ただ人間同士の不信感を煽るのが目的なら、他に方法はいくらでもあったはずだ。どこか、時間稼ぎのために行動していたように見えるんだ。」
 霞のジョーの疑問に光太郎は答える。
 「ねえ、だとしてもどうして時間稼ぎをする必要があるのかしら?」
 「ネオゴルゴムのことだ。きっと碌でもない事に違いない。」
 響子の疑問に悩んでいると、それは突然起きた。ニュースが映していたのは、クモ怪人とコウモリ怪人を従え、人々を襲う大怪人達の姿であった。
 『我等はネオゴルゴム!かつて仮面ライダーBLACKに敗れしゴルゴムの意志を継ぎし者だ!今までは仮面ライダーBLACK RXに邪魔をされたが、我等に大怪人としての力が備わりし今、邪魔など無意味!再びこの日本を我等の手で掌握してみせる!』
 エピメルはカメラに向かって宣言すると、強靭な尾を振るいカメラを破壊する。
 「こいつらが兄貴の言っていた神官達か!?」
 「ああ。まさか大怪人の姿になって現れるとは。行こう。」
 光太郎達はすぐさまキャピトラを出て現場へ向かった。

 「さあ怯えろ!そして仮面ライダーを呼ぶのだ!」
 光太郎達が現場へ着くと、翼から真空波を放ちビルを薙ぎ倒すリシュナル、火炎放射で大地を焼き放つエピメル、右腕の鎗で人々を切り裂くソフィルがいた。
 「そこまでだ!」
 光太郎の声を聞き大怪人達は振り向く。
 「来たか、南光太郎。どうだ、大怪人へと至った我らの力は。」
 ソフィルは待っていたと言わんばかりにいう。
 「どうして罪のない人々を襲うんだ!」
 「くだらんな。ネオゴルゴムにとって人類は邪魔な種族。滅ぼそうとして何が悪い。」
 光太郎の質問にエピメルは呆れるように言い、その答えを聞き光太郎は拳を握りしめる。
 「無意味なやり取りは終わりにしましょう。行きなさい、クモ怪人!コウモリ怪人!」
 リシュナルは複数のクモ怪人とコウモリ怪人をけしかける。
 「変…身!」
 光太郎の変身の掛け声とともに体組織を変化させる変身ベルト、サンライザーが出現し、キングストーンと太陽、2つのハイブリットエネルギーが全身を駆け巡り、南光太郎は、仮面ライダーBLACK RXへと変身するのだ。
 「俺は太陽の子!仮面ライダーBLACK!RX!」
 RXが高らかに名乗ると、クモ怪人達は一斉にRXに向かっていく。
 「兄貴、こいつらは俺達に任せろ!」
 「光太郎さんは大怪人のところへ向かって!」
 そのクモ怪人達は霞のジョーと響子が引き受け、RXはソフィル達の方へ走ってゆく。
 「小賢しい人間たちだ!やれ、コウモリ怪人!クモ怪人を援護しろ!」
 エピメルの指示を受け、コウモリ怪人達も霞のジョー達の方へ向かってゆく。
 「そこ!」
 響子はアーチェリーの腕前を駆使してコウモリ怪人の翼を撃ち抜き、墜落させる。
 「これでどうだ!」
 霞のジョーも釵を使ってクモ怪人を切り裂き、倒してゆく。
 「おのれ、人間如きの分際で!」
 リシュナルは苛立つ。
 「人間はお前達が思っているほど弱くはない!」
 そんなリシュナルにRXは掴みかかり、蹴りを打ち込もうとするが、
 「させん!」
 エピメルの尻尾による強烈な打撃によりRXは怯む。
 「我等大怪人の前に、貴様は今日敗北するのだ!」
 ソフィルは追撃するように右腕を突き出してRXを串刺しにしようとするが、RXは受け身を取りながらそれを除け続ける。
 「大怪人になって、戦闘力が上がっている!」
 RXは大怪人三人を同時にこのまま相手取ることを不利と判断し、ロボライダーへ変身する。
 「俺は悲しみの王、RX!ロボライダー!」
 「姿を変えようが無駄だ!」
 エピメルは再び尻尾を叩きつけようとするが、ロボライダーの腕力によって抑え込まれ、ロボライダーはそのままエピメルの尻尾を握りしめ、力強く投げ飛ばす。
 「貴様!」
 リシュナルは真空波を放つが、ロボライダーの鋼の装甲に傷を与えることはできず、ロボライダーは突き進み強化されたパンチをリシュナルの腹部に放ち、怯ませる。
 「これならどうだ!」
 ソフィルはロボライダーの背後から左手の触手を伸ばしてロボライダーを捕らえる。
 「しまった!それなら!」
 ロボライダーは触手の1本を掴み、緩ませるために自身の方へ引き寄せるが、
 「それが狙いだ!」
 ソフィルは引き寄せられることを計算し、力を込めてロボライダーに体当たりをする。肉体の大部分を固く重厚な殻で覆われたソフィルの体当たりにロボライダーは目的であった触手を引き剥がすことはできたが大きく後退してしまう。
 「これでも食らいなさい!」
 リシュナルは後退し隙のできたロボライダー相手に防風を巻き起こして瓦礫を叩きつけようとする。
 「危ない!」
 ロボライダーは一瞬のうちにバイオライダーへ変身し、ゲル化して瓦礫を避け実体化するが、
 「貴様の弱点、見切った!」
 エピメルはバイオライダーが実体化する地点へ火炎放射を放ち、無防備なバイオライダーにダメージを与える。
 「しまった!」
 バイオライダーは受けたダメージを回復するためにRXに戻り、キングストーンのエネルギーを使って火傷を癒やす。その時、
 「大怪人達よ、三人がかりでその程度か!」
 空気をひりつかせる声が響き、何者かがガシャン、ガシャンと音を立てて近づく。
 「この音…信彦なのか?」
 RXは聞こえてくる足音にシャドームーンと同じものを感じ、警戒する。しかし、そこにいたのはシャドームーンと同様レッグトリガーとヒールトリガーを有した深紅の色をした仮面ライダーBLACKと呼ぶべき姿の戦士がいた。
 「貴様、何者だ!」
 RXは問う。
 「我が名は、クリムゾンエクリプス。ネオゴルゴムの世紀王だ!」
 RXの問いにクリムゾンエクリプスは高らかと宣言した。
 「来い、サタンサーベル!」
 クリムゾンエクリプスの声に反応し、サタンサーベルは飛来し、クリムゾンエクリプスはそれを握る。
 「馬鹿な!サタンサーベルはあの時俺の手で消滅させたはずだ!」
 「甘い!太陽と月、二つの世紀王の力を宿す我が手にかかれば復元させることなど容易なことだ!」
 クリムゾンエクリプスはサタンサーベルを振るい、RXを切り裂く。
 「まさか、この為にあの時俺を待ち伏せしていたのか!」
 RXは三神官との初対面自体が計画のカモフラージュだったことに気づく。
 「今更気づいても手遅れだ!ネオゴルゴムにはネオゴルゴム独自の世紀王が必要。我々が欲しかったものは貴様の血液とシャドームーンキングストーンだけだ。元よりブラックサンにも、シャドームーンにも出る幕などなかったのだ。」
 ソフィルは嘲笑うように言う。
 「まさか、信彦の体からキングストーンを剥ぎ取ったのか!」
 RXは怒りで立ち上がる。
 「絶対に許さん!」
 RXはクリムゾンエクリプスに飛びかかり、激しいパンチを放つが、クリムゾンエクリプスはそれを受けきり、
 「クリムゾンビーム!」
 深紅の雷を放ち、RXを攻撃する。
 「強い…なんて力だ…」
 RXはよろめきながら立ち上がる。それを見たクリムゾンエクリプスは右手にエネルギーを込める。
 「クリムゾンパンチ!」
 クリムゾンエクリプスは立ち上がったRXに深紅に光る拳を放ち、RXを吹き飛ばす。
 「これで終わりだ!」
 クリムゾンエクリプスが右足にエネルギーをためていると、何かによって突き飛ばされる。
 「撤退しましょう、RX。」
 その正体はアクロバッター、そしてRXの次元移動を助ける車、ライドロンであった。
 「逃さん!」
 クリムゾンエクリプスはすぐさま立ち上がるが、突然苦しみながら倒れる。
 「初めての戦闘で限界が来たか。RXよ、命拾いをしたな。」
 大怪人達はクリムゾンエクリプスを支えながら撤退した。
 「大怪人達に世紀王クリムゾンエクリプス…なんて強敵なんだ…」
 変身を解除した光太郎は新たな脅威から人々を守る決意をより一層固めるのだった。
 続く

 次回予告
 飲食店で次々に起こる薬物の過剰反応。ナツメグ怪人の魔の手が人々の安全を脅かす。『ネオゴルゴム流地獄料理』ぶっちぎるぜ! 
 

 
後書き
 怪人図鑑

 神官ソフィル
 身長:165cm
 体重:不明
 能力:高圧水流、頭脳
 ネオゴルゴムの水の神官であり、神官達のリーダーを務める。かつて大神官ダロムの補佐をしていたが、隠しきれない野心をむき出しにしておりダロムからは大神官を任せるに至らないと認識されていた。作戦の立案を主に行うが、詰めの甘いところが目立つ。クリムゾンエクリプスによって水の石を吸収させられ大怪人へと進化した。

 神官エピメル
 身長:230cm
 体重:不明
 能力:火炎弾、怪力
 ネオゴルゴムの火の神官を担う二十代後半のような若い声の聞こえる男性神官。かつて大神官バラオムの補佐をしていたが、暴力的で不遜不敬な態度が目立つことからバラオムからは大神官の器足り得ないと認識されていた。主に作戦実行中の怪人達のサポートを行う任務に就く。後にクリムゾンエクリプスによって火の石を吸収させられ、大怪人に進化した。

 神官リシュナル
 身長:185cm
 体重:不明
 能力:風の弾、知略
 ネオゴルゴムの風の神官を担う、唯一の女性神官。かつて大神官ビシュムの補佐をしていたが、メンバーに推薦する人物に対する人選のセンスがなかったためビシュムからは大神官にするわけにはいかないと認識されていた。ネオゴルゴムのメンバーのスカウトを主な任務としてこなす他、作戦の立案も率先して行う。クリムゾンエクリプスの誕生に伴い風の石を吸収させられ大怪人へ進化した。 
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