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イベリス

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第八十八話 合宿を過ごしてその五

「何でもね」
「笑わせる」
「そう思ってやってるから」
 純粋にというのだ。
「面白いみたいよ」
「そうなのね」
「だからその漫画もよ」
「面白いのね」
「何でもパワーで」
 咲にさらに話した。
「気迫があればね」
「パワーがあるの」
「だからよ」
 それ故にというのだ。
「面白いのよ、そもそも笑わせようと思わないと」
「笑わせないわね」
「やる気がないとよ」 
 さもないと、というのだ。
「何も出来ないでしょ」
「それはね」
 咲も答えた。
「やっぱりね」
「だからね」
「笑わせようと思ったら」
「もう全力でよ」
「努力して」 
 同級生は言った。
「やらないとよ」
「笑わせられなくて」
「それでよ」
「このマカロニほうれん荘もなのね」
「面白いのよ」
「そうなのね」
「そう言うと」 
 同級生はさらに言った。
「私も読みたくなったら」
「じゃあ一巻読む?」
 咲も応えた。
「そうする?」
「一巻読んだの」
「もう私三巻に入ってるから」
 それでというのだ。
「一巻はね」
「いいのね」
「というか読まないと」 
 咲は読んで笑いながら話した。
「損するわよ」
「そこまで面白いのね」
「もう人間笑ったらね」
 咲は笑いながらこうも言った。
「勝ちってね」
「そこまで言えるの」
「読んでね」
 そのうえでというのだ。
「言えるわ」
「そうなのね」
「だからあんたもね」
「笑うことね」
「どれだけ辛くても」
 そうした状況でもというのだ。
「笑えたらね」
「それでいいのね」
「いや、笑うのってね」
 咲は読みつつ話した。
「やっぱり難しいわよね、辛い時は」
「それね、辛い時こそ笑えって言うけれど」
 その娘も咲に話した。
「そうした時ってね」
「落ち込んでいたりしてね」
「もうどん底の時なんか」
 そうした精神状況の時はというのだ。
「どうしようもない位で」
「何も出来ないわよね」
「流石に目の前が真っ暗になったことはないけれど」
「私も。そこまではね」
 咲も話した。 
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