恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十四話 徐庶、敵陣を見るのことその八
「ここまで辛いとな」
「楽進さん韓国料理好きだよな」
「こちらとしても作りがいがあります」
ドンファンとジェイフンもだ。笑顔で述べる。
「韓国料理はやっぱり辛くないと駄目だよ」
「昔は違った様ですが」
「むっ、辛くない韓国料理もあるのか」
その話を聞いてだ。楽進は意外といった顔をだ。微かに見せた。
そのうえでだ。二人に尋ねたのである。
「では唐辛子が入っていないのか」
「ああ、こっちの世界じゃもうあるけれどな」
「僕達の世界では十六世紀まで韓国に唐辛子はなかったんです」
「で、その頃はまだ辛い料理じゃなくてな」
「大蒜も今より使っていなかったんです」
「ううむ、そうなのか」
その話を聞いてだ。意外といった顔でまた言う楽進だった。
「そちらの世界の食文化の発展は私達の世界よりも遅かったのだな」
「ああ。というかこっちの世界の食文化とか服の文化の進化がな」
「かなり違っています」
こちらの世界の方が特異だというのだ。
「多分この世界だけだろうな」
「お米も北で摂れますし」
「そうそう、そっちの世界やったら黄河流域では米食べられへんかってんな」
李典もだ。その辛ラーメンを食べている。
そうしながらだ。それで述べるのだった。
「そやから炒飯もやな」
「ああ、長い間黄河流域ではなかったんだよ」
「包や餅を食べていました」
米ではなく麦を練ってそれを焼いた餅のことである。
「他には稗や粟も」
「稗に粟なあ」
そうした穀物についてはだ。李典も楽進もだ。
それぞれ顔を見合わせてだ。それで話すのだった。
「家畜は食べるけどな」
「もう人は食べることはしない」
「その辺り全然違うからな」
「こうしてからくり人形も作れますし」
「そのうち電化製品とかできるんじゃないのか?」
「僕達の世界よりずっと早く」
とにかくそこまで変わっているのがこの世界だった。そうした話をしつつだった。
彼等は辛ラーメンを食べだ。そうしてだった。
食べ終えてまた人形を作れる。そうしてだった。
翌朝だ。彼等は満足した顔でだ。将帥の天幕にいる劉備達にだ。
それぞれの人形を出してだ。こう言うのだった。
「出来ましたさかい」
「後は十絶陣に送り込むのですね」
「はい、有り難うございます」
劉備の傍らに控えている徐庶が李典と楽進に応える。
「ではそれでは」
「そうね。十絶陣に送り込みましょう」
「それでどういった陣か見ます」
徐庶は確かな顔で劉備に応える。そうしてだった。
早速十絶陣にだ。それぞれ人形が送り込まれることになった。それを見てだ。
司馬尉はだ。余裕の笑みでだ。同志達に言った。
「何をするつもりかわからないけれど」
「十絶陣を通ることはなんだな」
「絶対にできないわ」
自信に満ちた声でだ。社に言うのだった。
「この陣は誰にも通れないわ」
「では安心して見守っていればいいんだな」
「ええ、それでね」
それでだというのだ。
「こちらの戦い方だけれど」
「ああ、妖術を使ってだな」
「敵の後方に出てそれで」
「補給を叩くか」
「そうして敵の戦力を削って」
連合軍が予想した通りだ。司馬尉はそうしたゲリラ戦術を考えていた。
そのうえでだ。また話すのだった。
「敵の継戦能力がなくなったところでね」
「そこで、だな」
「反撃に出るわ。総攻撃よ」
ただだ。十絶陣を敷いたのではなかった。そこには策があったのだ。
そしてその時を窺いながらだ。司馬尉はだ。
十人、実は十体の人形達がそれぞれの陣に入っていくのを見ていた。動くことはない。
だがその動かないことについてだ。左慈が尋ねた。
「なあ。あのまま入らせるんだな」
「十絶陣にはこちらも入ることはできないな」
「陣を敷いたあんた以外はか」
「ええ、他の人間が入れば」
それでだ。どうなるかというのだ。
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