イベリス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八十五話 夕食もその四
「絶対によ」
「ユダヤ教徒は食べられないですね」
「そうなのよ」
「ううん、宗教のそうした話は」
咲は唸る様にして話した。
「この学校に来てです」
「わかったのね」
「はい」
先輩にその通りだと答えた。
「本当に」
「宗教は中々ね」
「それぞれの宗教で戒律があって」
「それは守らないといけないから」
だからだというのだ。
「どうしてもね」
「こうして学校でお料理を作って食べるにしても」
「そこは考えて」
そうしてというのだ。
「やっていかないとね」
「そういうことですね」
「それもね」
「国際交流ですね」
「キリスト教の国ってね」
先輩は眉を顰めさせて話した。
「その実ね」
「そうしたことがですか」
「出来てなかったのよ」
「そうだったんですね」
「何しろ他の宗教認めてなかったでしょ」
先輩はこのことから話した。
「そうだったでしょ」
「ああ、そうでしたね」
「だから十字軍とかもあったし」
歴史に悪名を残すこれもというのだ。
「ローマ帝国の神殿とかもね」
「壊して」
「神様の像とかね」
「それでオリンピックもでしたね」
「ずっとなかったのよ」
異教徒の行うイベントであったからだ、キリスト教がローマ帝国の国教になりそれで禁止されたのである。
「そうだったのよ」
「そうした宗教だったので」
「それでね」
その為にというのだ。
「こうした気遣いもね」
「なかったんですね」
「そうよ、もう違う宗教の人のことなんて」
「知ったことではなかったんですね」
「違う文化もね」
キリスト教以外のというのだ。
「壊してもね」
「平気だったんですね」
「そうだったから」
それでというのだ。
「こうしたこともね」
「最近まで、ですか」
「してこなかったって言えば」
それはというと。
「なるわ」
「そうだったんですね」
「これは共産主義でもよ」
「ああ、あの思想は」
「宗教自体を否定してるでしょ」
「だからキリスト教もですね」
「もう全部の宗教をね」
まさにというのだ。
「否定してよ」
「教会とかも壊してましたね」
「何でもね」
「ソ連とかそうでしたね」
「だからこうした気配りもね」
「なかったですね」
「そうだったのよ」
その為イスラム圏に共産主義者が亡命してきても信用されなかった、大酒飲みの無神論者なぞ誰がとなっていたのだ。
ページ上へ戻る