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イベリス

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第八十五話 夕食もその二

「専門でやってる人達にはよ」
「負けるのね」
「そうよ」
 こう言うのだった。
「流石にね」
「そうなのね」
「そうよ、じゃあお野菜切ってね」
「お肉も切ってね」
「今日のカレーはチキンカレーなのよね」
「そうそう、何でもね」
 同級生は笑って話した。
「何処かで鶏肉が大量に余って」
「うちの学校にも来ていて」
「それでね」
 その為にというのだ。
「今日のカレーはね」
「チキンカレーね」
「まあいいわよね」
「いや、というかね」
 咲はここで真顔になり小さい声で話した。
「うちの学校世界中から人来るから」
「ああ、宗教ね」
「これの問題でね」
「鶏肉が一番無難ね」
「牛肉はね」
 まずはこの肉の話をした。
「インドから来たね」
「ヒンズー教の子達が駄目ね」
「もうビーフカレーなんか出したら」
 それこそというのだ。
「失礼の極みだから」
「それでよね」
「出せないし豚肉もね」
 この肉の話もした。
「イスラム教徒の子達が」
「いや、結構ね」
「実は食べるわね」
「私キリスト教徒だれど」
 それでもというのだ。
「言うけれど」
「ムスリムの人達ってね」102
「実はね」
「結構豚肉も食べるのよね」
「アッラーに謝ったら」
「それでいいわね」
「おおっぴらでなくても」
 それでもというのだ。
「イスラム教は寛容だから」
「いけるわね」
「そうよ」 
 これがというのだ。
「あの宗教は」
「けれど今みたいにおおっぴらにはよ」
 咲は眉を曇らせて話した。
「食べられないでしょ」
「そうなのよね」
「だからね」
「最初からなのね」
「ポークカレーも」
 このカレーもというのだ。
「出せないのよ」
「ビーフカレーと同じで」
「最初から」
「それでなのよね」
「チキンカレーね」
「これが一番ね」
「チキンカレーか野菜カレーね」
 料理部の二年の先輩、フランス人の彼女も言ってきた。淡い茶色の髪の毛は長く目は栗色であり人形の様な顔立ちだ。
「出していいのは」
「そうしたカレーですか」
「ムスリムの人はチキンカレーでなくてもね」
「いいですか」
「ビーフカレーでも羊でもね」
「いいんですか」
「ええ、けれどね」
 それでもというのだ。 
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