星河の覇皇
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第八十三部第二章 撤退の果てにその二十八
「そしてだ」
「我々から見て骨董品でもですね」
「マウリアからしてみれば違いますね」
「我々にとっては百年前の電化製品なぞ骨董品です」
「もう振り返るものでもないです」
「しかしマウリアから見ればだ」
ひいては連合からというのだ。
「全く違う」
「左様ですね」
「マウリアは連合から三百年は遅れています」
「生活用品については」
「あらゆる技術がそうなっています」
「技術的には後進地域です」
連合から見てそうなっているというのだ。
「まさに見るべきものもない」
「そうした国です」
「エウロパでもそうです」
「むしろマウリアよりも技術的に遅れています」
「人類の基本的な技術は備えていますが」
銀河の時代のそれをだ。
「遅れはかなりです」
「我々のそれとは比較になりません」
「まるで産業革命直後と二十世紀です」
「そこまでの違いがあります」
「全くだ、だが技術の差はだ」
それはとだ、艦長はさらに話した。
「その様なものは縮めようと思えばすぐに縮められる」
「かつての我々の様に」
「我々が二十世紀から二十一世紀にした様にですね」
「当時は欧州が技術で圧倒していました」
「産業革命の結果として」
「そうだったな、だがそれはだ」
欧州の技術的優位それも圧倒的なものはというのだ。
「所詮努力によってだ」
「覆すことが出来ますね」
「それが絶対に無理と思われるものでも」
「努力すれば三百年も百年とかからず埋められます」
「そうしたものです」
「彼等はその技術的優位を絶対と思っていた」
欧州の者達はというのだ、これは白人至上主義という人種論にも裏付けされ根強い思想にさえなっていた。
「しかしだ」
「それは、でしたね」
「所詮同じ人間です」
「同じ人間ならです」
「その技術を手に入れることも可能ですね」
「そうだ、我々が出来たならだ」
連合、つまり自分達がというのだ。
「敵もだ」
「左様ですね」
「必然的にそうなりますね」
「エウロパにしても」
「同じ人間なら」
「混血していない人種といってもだ」
連合では人類はそれぞれの人種及び民族が混血すればそれぞれの長所を受け継いでいって進化していくとされている、ここに科学的根拠というこじづけも加わっている。
「しかし人間は人間だ」
「それならばですね」
「普通に我々の技術も身に着けますね」
「進歩して」
「そうなっていきますね」
「産業革命後の技術は白人のみが備えられる」
艦長はまたこうしたことを言った。
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