ハッピークローバー
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第六十四話 料理部だから思うことその二
「虫いるしね」
「アニサキスね」
「アニサキスも怖いから」
この寄生虫もというのだ。
「何でもお腹に入ると凄く痛くて」
「そんなに痛いの」
「私あたったことないけれどね」
「そう聞いてるのね」
「部活でも言われてるし」
その活動の時もというのだ。
「ちゃんとしないとね」
「危ないって」
「そうね」
実際にというのだ。
「言われてるし」
「料理部だからそうしたことを言われるのね」
「しっかりとね、あたることも」
こちらのこともというのだ。
「言われるのよ」
「そうなのね」
「それでね」
かな恵はゲソを食べつつさらに話した。
「烏賊も火を通すか」
「凍らせるの」
「それからよ」
そうした処理を行ってからだというのだ。
「食べるのよ」
「お刺身の時も」
「そう、釣ってね」
「すぐには食べないのね」
「一旦凍らせるかね」
若しくはというのだ。
「細かく包丁を入れるの」
「そうするの」
「烏賊の身にね」
「ひょっとしてそれって」
ブラジルからの娘はかな恵に問うた。
「虫を殺してるの」
「そう、包丁で切ってね」
まさにそうしてとだ、かな恵は答えた。
「そうしてよ」
「食べてるのね」
「さもないとね」
「あたるのね」
「そう、だから烏賊には細かく包丁を入れるの」
「それで寄生虫を切って殺して」
「アニサキスをね」
これがその寄生虫の名前である。
「それで食べるの」
「成程ね」
「さもないと本当にあたって」
「痛い思いするのね」
「後でね、幾ら美味しくても」
「注意は必要ね」
「どうしても生で食べたいなら」
そう思うならとだ、かな恵は飲みつつ話した。
「凍らせるかね」
「細かく切り身を入れることね」
「あとほんの少しでもね」
かな恵はこうも話した。
「焼くとか」
「炙るの?」
「そう、鰹のタタキね」
この料理だというのだ。
「あれ表面でも焼いてるでしょ」
「そうね」
ブラジルから来た娘もそれはと応えた、刺身と同じ扱いでも鰹はそうしたものになっていることに実は不思議に思っていた。
「純粋なお刺身じゃなくて」
「あれあたるからってね」
「生で食べたら」
「だから駄目ってね」
その様にというのだ。
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